EXTRA 悲惨分クッキング
調理……カイト
アシスタント……リジー
裏方……ナイア
そして、解説はサーチでお送りします。
「「「こんにちは」」」
……誰にあいさつ?
「今日はボク達でオムライスを作りまーす!」
「ワタクシが本気を出すんですもの、美味しくないはずがありませんわ!」
「オムライスの具材達よ、我がカースブリンガーの錆となれ」
「…………」
「…………」
「ちょっと、カイトさん。この台詞、必要ないのではありませんの?」
「何でこんな恥ずかしい台詞?」
「恥ずかしくありません! 勇壮でカッコいいじゃないですか!」
「か、格好良い?」
「こ、これが?」
出だしでつまずいてんじゃねえよ。ていうか、何でセリフを打ち合わせてるんだよ。
「とりあえずこれは削除ですわ」
「わ、わかったよ……じゃあここを削除して、最初から」
最初からやらんでいい!
「せーの、「「こんにちは」」」
「カイト!」「ナイア!」「リジーの」
「「「三人クッキング!」」」
……何か聞いたことがあるような……。
ちゃらちゃちゃちゃちゃん♪ ちゃらちゃちゃちゃちゃん♪
例のテーマを流すな! ていうか踊るな!
「……カイトさん、ホントにこの流れは必要ですの?」
「必要だよ! まずはカタチからだよ!」
普通はやらねえよ。
「……さっさと始める」
「ちょっ! リジー! ちゃんと結束を深めないと! リジー、リジー!?」
今回はリジーを全面的に支持します。
「えっと、まずは材料です」
「今回はご飯と卵、ハムとグリーンピースと人参とケチャップと…………以下テキスト参照」
「リジー、めんどくさがっちゃダメだよ!」
それは完全な人選ミスだよ。
「では最初にチキンライスから始めまーす」
サポート役らしいナイアがそそくさと準備をする……ていうか、料理担当はナイアの方がいいでしょ。
「まずは玉ねぎをみじん切りにします」
「玉ねぎ半玉でーす」
ズダダダダダン!
お、手際はいいね。
ズダダダダダガギ!
「あ、刃が」
おいおい、玉ねぎのみじん切りで包丁が欠けるか、普通?
「…………まあいいや。次は」
まてまてまて! みじん切りに欠けた刃が混じってるって!
「人参とグリーンピースも同じように切ります」
「人参一本とグリーンピース一缶でーす」
お、おいおい、グリーンピースまでみじん切り!?
「ハムも同じように切りまして」
「ボンレスハム一本でーす」
ハム多いな!
「……では最初に玉ねぎから傷めていきます」
ん? 傷める?
「うりゃ! うりゃ! うりゃ!」
だんだんだんだん!
「カイトさん!? 傷めるではなく炒める! フライパンで火を通すのですわよ!」
「え!? …………あはは、やっちゃった☆」
テヘペロすんな。可愛いけど。
「え、えーと、まずはフライパンを温めて「油、油」う、うん、わかってるよ!」
「油でーす」
ジュウウ……
「いい感じに温まってきましたので、玉ねぎを入れます」
ジュウウ!
「ちゃんと火が通るまで炒めます」
うんうん、あめ色玉ねぎってヤツね。
「ここに人参とグリーンピース、更にハムを入れます」
…………やっぱハム多くね?
「これもよーく炒めます…………で、出来たモノがこちらでーす」
出来たヤツがあるのかよ! ていうか、明らかにハムの量減ってるよな!?
「これにご飯を加えます」
「三升でーす」
多すぎるよ! どんだけの量作る気だよ!
「……あらら、フライパンに入りきらない?」
当たり前だ!
「ま、まあいいや。これを強火で炒めていきます」
ご飯を減らせ。今すぐ減らせ。
「……………………………………時間かかりそうだね」
だからご飯を減らせ!
「……あ、え? あ、はい。すでに出来たモノはこちらでーす」
また出来たヤツあるのかよ! ていうか、明らかにご飯減ってるだろ!
「はあ、はあ……」
見えないところで必死にフォローする、ナイアの息切れがリアルすぎる。
「それでは調味料をー……まずはケチャップ」
「適当でーす」
「次に塩コショウ」
「勘でーす」
「更にお醤油」
「騙し騙しでーす」
そのやる気のないリジーを何とかしろ。
「これでチキンライスは完成です。続いて卵を用意します」
「卵百個でーす」
だから! 数がおかしいから!
「えー、まずは卵を割っていきます……」
パカッパカッパカッパカッパカッパカッパカッパカッ
「…………飽きた」
早いな。まあ、百個もあれば飽きるだろうけど。
「え? あ、あー、すでに割ったモノがこちらでーす」
それもあるんかい! ていうか、ちゃんと適量になってるし!
「こ、これをかき混ぜます」
ウイイイイ!
「ちょっ! 何を使うんですの!?」
「え、電動泡立て器」
「箸で十分ですわ!」
……別に使うのはありだと思うけど……。
ウイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ!
「ちょっ! やり過ぎですわよ!」
メレンゲでも作る気か?
「えー? 混ぜれば混ぜるほど美味しいって言ってたよ?」
「誰が!?」
「リジー」
先生の人選が間違ってる!
「まあいいや。それじゃ焼いていきます」
ジュウウ!
「…………」
ジュウウ!
「…………」
ジュウウ!
「ひっくり返しませんの?」
「え? あ、はーい」
くるん
はっ?
「ちょっ!? フライパン丸ごとひっくり返してどうするんですの!?」
「え? 直火で卵を焼くのかと」
「あーあー、コンロが……! 後はワタクシがやりますから、カイトさんは見ていてくださいまし!」
「はーい」
いやいや、最初からそうしろよ。
「…………」
ジュウウ! カチャカチャ ジュウウ!
おお、流石ナイア。手際がいい。
「皿にチキンライスを盛っていただけます?」
「はーい」
「ちょっ!? そんなてんこ盛りにしたら、卵はどうするんですの!」
うわー、ヤバいくらいに山盛りだわ。
「ワタクシがやりますわ…………オムレツを乗せて、半分に切って……」
ス、スゴい。半熟でキレイに広げた。
「後はケチャップをかけて……はい、これで完成ですわ」
ナイア、女子力ハンパねえ。
「……というわけで、完成です!」
カイト、お前は何もしてない。
「完成でーす」
リジーもな。
「……というわけで、どうぞ!」
「は、はあ」
まあ、ナイアが作ったヤツなら間違いはないか……ていうか、臭いな。
「じゃあいただきまーす……ぱく……う゛っ」
ぶふぅーっ!
「き、汚いなあ!」
「か、辛……これ、ケチャップじゃないわよ!」
「え? …………あ、キムチの素だ」
どおりで臭いと思ったよ!
「準備したのは?」
「「カイト」」
……カイト、あんたはキッチンに出入り禁止。
明日から新章です。




