表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
871/1883

EP22 ていうか、お仕置き?

 ナイアと合流して街の中へ。

 が。


 ザッザッザッ


「げ、厳戒態勢ね……」


 街中に軍隊が出回り、軍靴の音が響き渡る。


「これは面倒なことになったわ……」


「駅まで行けますか?」


「……たぶん外出禁止なんじゃないかな。市民は一人もいないよ」


 私達は軍や警察に職質されながらも、どうにか隠れ家まで戻った。

 が。


「……ストップ」


 中に入る前に、おもいっきり違和感を感じる。


「中に誰かいる。たぶん数十人」


「だ、誰がですの!?」


「この状況下ですから、おそらく警察では」


 ファーファのヤツ、私達が生きてる可能性を考えて……とんだ置き土産していきやがった!


「……ホテルも封鎖されてるでしょうね」


「ワタクシ達はマークされてるのでしょうね」


「……ねえ、だったら一ヶ所心当たりがあるよ」


 カイトの一言に全員の視線が集まる。


「どこ!? キュアガーディアンズ絡みは期待できないわよ!?」

「ファーファ絡みは駄目ですよ!?」

「暗殺者絡みも駄目ですわよ!?」

「当然、警察絡みも駄目と思われ」


「お、落ち着いて。大丈夫、多少抵触もするけど、間違いなく安全だから」


「だから、どこ!?」


「ファーファの家だよ」



「お、お邪魔しま〜す」


 カギを針金でこじ開けてから入る。


「……ホ、ホントだ、誰もいない」


 念のために隠しカメラや盗聴機の類も探してみるけど……な、何もない。


「ここはファーファが私的に借りてた部屋だからね」


 そう。私達が来たのは、最初にファーファと出会った場所。つまり、ファーファがご近所さんから孤立して籠ってた部屋だ。


「……あれってもしかしたら、リアルだったのかな」


「いや、流石にブラッディーロアの幹部がそれは……」


「おそらく私達を油断させる為の演技と思われ」


 演技……ねえ。あの段階から私達の訪問を予測できてたとしたら、マジでエスパーよね。


「ま、どうでもいいや。とりあえずご飯でも食べて、今後の対策でも練りましょう」


 冷蔵庫を開けてみる…………あるのは調味料とひき肉と玉ねぎ……卵か。


「ハンバーグでも作るつもりだったのかしら……」


 ご飯は……あるな。だったらアレを作るか。



「「「「……何これ」」」」


「何これって……オムライスよ」


 我ながら会心の出来映えなんだけど。


「た、卵で何か包んであるのですか?」


「そう。チキンライスを薄焼き卵で包んであるのよ」


「ち、ちきんらいす?」


「もー、さっさと食べなさいよ。冷めちゃうわよ」


「あ、はい。いただきます」


 最初にヴィーが食べる。ていうか、何で全員で見守ってるんだよ。


 カチャカチャ……ぱく


「…………♪♪!!」


 あ、表情がめっちゃ緩んだ。


「お、美味しいです! とても美味しいですよ!」


「当たり前よ。ほら、みんなもさっさと食べて」


「「「……」」」


 ヴィーが食べるのを見守ってから、全員席につく。


「……あんた達、ヴィーを毒味役にしたわね……」


 全員あさっての方向を向く。図星か。


 カチャカチャ ぱくっ ぱくっ ぱくっ


「「「!!?」」」


 全員顔が緩む。


「美味しい!」

「美味しいですわ!」

「美味しいと思われ」


 美味しかったのならいいけど、さすがに毒扱いはムッとなる。ここは喝を入れてやるか。


「あーそー、それは良かったですね!」

 だんっ!


 自分のオムライスの皿を机に叩きつける感じで置く。


「「「!?」」」


 ヴィー以外が全員青ざめる。


 がつがつがつがつがつがつ


「ふんっ! せっかく作ってやったのに! ヴィー以外は毒だとでも思ってたわけ!?」


「「「そ、そういう訳では……」」」


 がつがつがつがつがつがつ ばん!


「あ〜、あったま来た! 当分の間料理は各自で何とかしなさい! 私はもう知らん!」


 空になった皿を再び叩きつけると、エプロンを投げ捨てて部屋を出た。


「ちょっ!? サーチ!」


 ヴィーが追っかけてくる。


「落ち着いてください、サーチ!」


「落ち着いてるわよ」


「…………はい?」


「あれだけ怪しまれれば、流石にムッとしたけどね。そこまで怒ってないわよ」


「な、なら何故……」


「ん〜……実はね……」


 私の説明を聞いたヴィーは、今回の計画に賛同してくれた。行き当たりばったりの突発的な計画だけど……うまくいくかな?



「……やっちゃいましたね」

「やってしまいましたわね」

「……どうしよう」


「「「…………」」」


「謝りに行く?」


「いや、今は何も言わない方がいいですわ」


「流石にタイミングが不味いと思われ」


「「「…………」」」


「ならどうするの?」


「……どうしましょう」


「……どうしよう」


「「「…………」」」


「ならボクはサーチに謝る」


「話を聞いてましたの!?」

「今は止めた方がいいと思われ!」


「だからって立ち止まってたら意味ないじゃないか!」


「「そ、それはそうだけど……」」



「おー。意外とカイトが引っ張るわね」


「サ、サーチ、いつの間に監視カメラを仕掛けたのですか!?」


「オムライス作る片手間に」


「そんな時から計画を練っていたのですか!」


 私が突発的に考えた計画は、この三人を馴染ませることだ。

 パーティに入ったばかりで、まだ遠慮がちなカイト。

 先日自分のミスでナイアに重傷を負わせてしまい、まだ気にしてる状態のリジー。

 そして致命傷を受けたこと自体を悔やんでいるっぽいナイア。


「ああも気にされると、こっちが滅入っちゃうのよ。いい加減に乗り越えてもらわないと」


「言う事はもっともですが、計画がずさんじゃありませんか?」


「ずさんとは何よ、ずさんとは」


「これで逆に拗れて、更に気まずくなったらどうするのですか?」


「…………そのときはそのときよ」


「考えてなかったのですね……」



「……というわけで、ボク達が料理を作ってサーチに貢献しようよ!」


「そうですわね!」

「それがいい、それがいい」



 ていうか、いつの間にか話がまとまりだしてる!?


「いい傾向ですね。何か目標を持って一致団結しているのですから」


「ていうか、何で料理を作るっていう発想に?」



「何を作る?」


「そうですわね〜……この際ですから同じモノを作りませんこと?」


「それがいい、それがいい」



「は、初の共同作業がオムライス!? いきなりハードル上げたわね!」


「難しいのですか?」


「まあ、そこそこ」



「材料は……卵と米と肉と野菜……」


「でも米が赤かったですわよ? 何か塗料が必要では?」


「塗料って……食べるモノだからね!?」


「わかってますわよ!」


「赤くするなら真っ赤な血が最適と思われ」


「リジー、それは何か違いますわよ!?」


「あ、それいいかも……じゅるり」


「カイトさん!?」



 ふ、不安だ……。

閑話を挟んで、新章になります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ