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EP13 ていうか、剥いて剥かれて自分で剥いて

 歩き始めて四日目。


「ああ、地平線の彼方に何かが見えますわ!」


「……街ね」

「街ですね」

「街だと思われ」

『街じゃな』


 はしゃぎ回るナイアを温かい目で見守る私達。そんなにはしゃいでると、かろうじて持ちこたえてる服が……。


 ビリッ


「「「『あ』」」」


 バラバラバラッ


 先日の虫の群れによって食い荒らされたナイアの服は、今の衝撃によってついに限界を迎え。


「キャ、キャアアアアアアアアアア!」


 私達以外いない砂漠の真ん中で、ナイアは一人ストリップを敢行することとなった。



「は、離れないでくださいまし!」


 はいはい。ナイアを真ん中にして、四人で囲んでガードする。


「とりあえずは下着ね。ホントに予備がないの?」


「ありますわ。ただ最近トップのサイズが小さくなってきてますの」


「……つまり胸がデカくなってきてると?」


「ええ」


 イラッ。


「……ナイア100%」

 ササッ


「きぃあああああ! な、何をなさるんですの!?」


 お、何人かの男が鼻血を吹いて倒れた。見えちゃったかな?


「気のせい気のせい。あはは」


「あはは、じゃありません! 他所様に自分の裸を晒すなんて……!」


 あ、涙ぐんでる。


「ちょっと、そこまでショックなの?」


「当たり前ですわ!」


 そうかなあ……チラッ。お、何人か鼻血吹いた。


「サ、サーチ!? 恥ずかしくありませんの!?」


「え? 別に。ビキニアーマー着てれば、たまに見えちゃうこともあるから、いちいち気にしてない」


「「「『いやいや、そこは気にするべき』」」」


 全員一致かよ。ていうか、別にいいじゃん。減るモノじゃないんだし。



 とりあえず下着と適当な服を購入し、路地裏で着替えさせる。


「……ふう、助かりましたわ。協力してくださって感謝します……サーチ以外は」


「何で私だけ除外!?」


「ナイア100%の恨みは忘れませんわ!」


 ええい、執念深い。


「じゃ、どうすれば許してくれるってのよ?」


「え………………そ、そうですわね。明日一日デー「却下です」……じょ、冗談ですわ、ヴィーさん」


 デーまで言いかけたナイアを、ヴィーのどす黒い殺意が遮る。一体何を言おうとしてたわけ?


「……なら、一日中サーチ100%をしてればいいの?」


「いやいや、それは罰になってませんわ」

「見せるのが平気だと公言してるサーチには無意味ですね」

「露出狂のサーチ姉だし」

『……リジー、知らぬぞ』


 マーシャンの指摘に首を傾げたリジーの背後に、殺気をみなぎらせた私が立っていて……。


「今度はリジー100%!」

「え!? いや、どこに触って……! いや、助けて、いやああああああ!」


 往来で剥かれ始めたリジーに向かって、三人は同時に両手を合わせ。


「「『自業自得』」」

「そんなああああああああああっ!?」


 悲しい叫びが響く路地裏で、リジーは順調に剥かれていくのだった。



「…………っ」


 今度はリジーを真ん中にして、四人で囲んでガードする。


「いやはや、ちょっとやり過ぎたかな」


「よ、鎧や下着まで駄目にするなんて、サーチ姉酷すぎ!」


 うるさい。私に露出狂ぬかすヤツは死あるのみ。


「仕方ありませんわ、先程の服屋で一式揃えて、ワタクシの装備と一緒に修理に出しましょう」


「それしかないですね。サーチ、程々にしてくださいね。これも余計な出費ですよ?」


 うっ。き、気をつけます。


「ていうか、リジーも下着の予備ないの?」


「ない」


「何で? まさか、あんたまでサイズが?」


 再びリジー100%が必要かな?


「違う! 毎回毎回サーチ姉に剥かれる度に、下着も駄目にされるから!」


 あらあら、それは失敬。


「……ていうか、そこまでされて反省しないあんたも大概だと思うけど?」


「うっ! そ、それは……」


「……まさか、リジーにもそういう趣味が?」


「違うっっっ…………っ、だ、だけどサーチ姉になら見せ「却下です」……じょ、冗談であります」


 再び最凶オーラのヴィー。今日は一体どうしたんでしょう?


『全く、服の一枚や二枚で騒ぐでないわ』


「……マーシャンにだけには言われたくないわね」


『どういう意味じゃっ』


「だって、今のマーシャンはアンドロイドなんでしょ? 要は何も着てないようなもんじゃない」


 お風呂入るにも脱ぐわけじゃないんだし。


『た、戯け! 妾のこの姿を愚弄するでないわ!』


「別に愚弄してるわけじゃないけど、考えようじゃ素っ裸で外を歩いてるようなもんじゃない」


「……言われてみればそうですね」

「いつも同じ格好ですわね」

「着替えは不可能と思われ」


『ぶ、無礼な……! 妾はハイエルフの女王であるぞ!』


「「「「だけど今は、ただのロボット」」」」


『ロボットではなあああああああい! アンドロイドじゃああああああ!』


「あーはいはい、スマホね」


『違う! 違う違う違う違う! ちいいがああううううう!!』


 あ、ロボット……じゃなくてアンドロイドでも赤くなるんだ。


『よ、よくもここまで虚仮にしてくれたのぅ! ならば見てみるがよい、妾の神秘的な裸体を!』


 ガラン! バラバラバラッ! ガン!


 あ、マーシャンの外装が剥がれて……って、えええ!?


『どうじゃ、妾の肉体は!』


 た、確かに人間の形した裸体だけど……。


「結局鉄板ですわね」


 ナイアの言う通り、マーシャンの皮膚……じゃなくて表面は、見事なほど鉄板だった。


『だ、弾力はあるぞ』


 ほーう。どれどれ。


 ペコン、ペコン


『どうじゃ!』


 これ、弾力って言うのかな?


『な、ならば胸! 胸はどうじゃ! しっかり揺れるぞよ!』


 ピョンピョン跳ねるとブルンブルンと震える。確かに胸っぽい揺れだけど。


「……ゴムね」

「……ゴムですね」

「……ゴムですわね」

「……ゴムと思われ」


『ゴ、ゴムゴム言うでない! シリコンじゃ! シリコンなのじゃ、これは!』


「どちらにしても、不自然すぎるわよ」


 ていうか、バストを盛りすぎ。完全に体型と合ってない。


「そういや昔のアニメで、胸の部分がミサイルになって飛んでいく描写があったわね」


「え? 陛下、その胸飛ぶんですの?」


『飛ぶわけがなかろうがああああああああああっ!』


 いい加減マーシャンがマジギレしそうなタイミングで。


「ちょっと、君」

『なんじゃ!?』

 カチャッ

「公然猥褻罪で現行犯逮捕」


「……あ」


『な、何故妾に手錠を!?』


 け、警察がいつの間にか……。


「君達も関係者?」


 全員一斉に首を横に振る。


「そうか。ならば良いが……君は署まで来てもらおう」


『な、何故じゃ! 何故妾が捕まらなければならぬ! ええい、離せ、離すのじゃー!』


 引き摺られていくマーシャンを、私達は無言で見送った。


「……ヘタしたら私達も捕まってたわね」

「気を付けましょう」

マーシャン収監。

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