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EP23 ていうか、高い買い物だし。

 謎の飛行物体を片づけて戻ると、心配そうにヴィーとリジーが待っていた。


「ただいま……ていうか、何よ二人とも。そんなに不安だった?」


「いえ、サーチですから、絶対大丈夫だと確信していました」

「サーチ姉は殺されても死なないと思われ」


「そ、そう……」


「それよりもサーチ! 先程の移動装置、私も是非乗ってみたいのですが!」

「私も私も!」


 目的はそれかよ!


「……とりあえず火星に着いてからね。こんなとこで停泊してたら、また何に襲われるかわかんないし」


 あ、それよりモンスターのことを説明しとかないと。


「みんなに話しておきたいことがあるんだけど」


「もしかしてモンスターの事ですか? でしたら大体はシャロンから聞きました」


 あ、もう聞いてたか。


「……ちなみにだけどヴィー、何か感じるモノは……」


「ありません。やはりモンスターは名ばかりで、私達とは全くの別モノだと思います」


 だろうねー。


「ま、しばらくはモンスターについても情報収集しましょ。それと宇宙スクーターの人数分の確保、実際に使ってみての訓練も必要かな」


「その宇宙すくたーというモノ、既にピックアップしてあります」


 早いな!


「……ていうか、まさかネット通販?」


「そうですよ」


「…………アマ○ン? 楽○?」


「いえ、サバンナと爆天です」


 何なんだよ、その微妙なパクり具合!


「ヴィー姉、私はこれがいいと思われ」

「そうですか? やはり見た目よりも性能を重視すべきだと思います」


 ………………まあいいか。言うのも見るのもタダなんだし。


「買うときはちゃんと私に言いなさいよ〜」


「「はーい」」


 一応釘だけは刺しておく。かなり高い買い物だから、そこは慎重にならないと。


「マーシャン行こ……ってあれ?」


『妾はこれが良いと思うのじゃ』


「…………」


 マーシャンを引き摺っていく。


『な、ちょっと! 妾も欲しいのじゃ!』


「自力で飛べるあんたには必要ないでしょうが! 余分な買い物しないの!」


『わ、妾も見たいのじゃ! ヴィーやリジーとキャッキャウフフしたいのじゃああああ!』


 ホンネはそれかよ!



 フィーン


 艦橋の扉が開くと、端末を操作していたナイアが振り向いた。


「あら、お帰りあそばせ」


「ナイアが当番?」


「ええ。ワタクシも陛下と同じで、自分で飛ぶ手段を持っておりますから」


 そう言ってサイ・ハンマーを指し示す……ていうか、飛べるって?


「まさかホウキ代わりにそれで?」


「そうですわ。何回かサーチの前でも飛んで見せましたわよ?」


「じゃなくて、宇宙空間を飛べるのかってこと!」


「ああ、それは問題ありませんわ」


 ……私の前世の宇宙観が破壊されていく……。


「……何か宇宙空間にこのまま出ていけそうな気がしてきたわ……」


「駄目ですわよ、死にますわよ?」


 わかってるわよ!


『それより火星まで、どのくらいかの?』


「ええっと……少々お待ちあそばせ」


 ナイアが人差し指で端末を操作する。


「……ていうか、シャロンに聞いた方が早いでしょ。シャロン、火星到着までの残り時間は?」


「あああ、聞いては駄目ですわ! ワタクシが端末で調べる予定なのですから!」


 んなもん、いつになるかわかんないし。


『……よろしいのですか?』


「オッケー」

「駄目ですわ!」


『……この場合はマスターの意向を優先させていただきます。あと三日と四時間です』


「ああああああっ!? ワタクシの長年の苦労の結晶がぁ!」


「長年って……キーボードを打つ練習し出したの、いつくらいから?」


「せ、先週ですわ」


 ずいぶんと短い長年だな!


「あんたはまずこれからやってなさい」


 小学生向けのタイピングソフトを渡すと、使っていない端末に押しやった。


『よくできたねー、じょうずたねー。よくできたねー、じょうずたねー』


 初回から高得点を叩き出して嬉しかったのか、ナイアは夢中になってキーボードを叩いている……ていうか、人差し指だけじゃ意味ないんだっつーの。


「……ま、いいか。シャロン、ア○ゾン……じゃなくてサバンナに繋いでくれる?」


『了解』


「それとモンスターに関わる情報をありったけ集めといて」


『了解。ある程度情報整理してから、サーチの端末に送っておきます』


「お願いね」


 空中に現れた画面を操作して、宇宙スクーターの値段を検索した。



 夜、寝室でシャロンが集めてくれたモンスターに関するデータを眺めていると。


 コンコン


 ん?


「はーい、開いてるわよ」


 フィーン


 自動扉が開くと、そこにはヴィーとリジーが立っていた。


「ていうか、珍しい組み合わせね。どうしたの?」


「昼に話していた移動装置の件ですが」


「…………ああ、忘れてたわ。まさかずっと探してたの?」


「「はい」」


 訓練しろよ!


「それでなのですが、私はこれが……」


 ……えっと……立ち乗りのタイプね。ハンドルはスクーターの操作方法と同じだけど、サイ・テンタクルと接続可能…………あ、つまり。


「両手が自由な状態で操作できるわけね?」


「はい。私のように聖術……サイキックを多用するタイプには、両手の自由がないと不便ですので」


 そうね〜……聖術だろうがサイキックだろうが、両手の動きは重要だからね〜……。


「……わかったわ。ちなみに値段は?」


「はい、中古で八万エニーでありました」


 八万か……それくらいなら何とかなるわね。


「オッケー、注文していいよ」


「わかりました……と言うより、すでに発注済ですが」


「早っ!」


「この条件ならばサーチは許可してくれると思っていましたので」


 確信犯かよっ!


「……まあいいけどさ。今度からは一言くらいはお願いね?」


「わかりました」


 ヴィーはルンルン状態で私の部屋を出ていった。注意されたこと、忘れてね?


「次はリジーね。いいのがあったの?」


「うい。私のは鎧に埋め込むタイプ」


「鎧に?」


「鎧の八箇所に小型スラスターを着けて、更に空気バリア発生装置を背負う」


「ふーん……つまりは鎧そのモノを移動装置に変えちゃうわけね」


「そう」


 現在リジーが着用してる機械的鎧が、ますます機械化されるわけだ。


「で、いくら?」


「中古でヴィー姉のモノとあまり変わらなかった。だからすでに発注済」


 あんたもかよ!


「……はあ、もういいわ。八万くらいなら何とかなる金額だし……」


「ありがとう」


「で? そんなに変わらないって、いくらくらい差があるの?」


「本当にそんなに変わらなかった。せいぜいゼロが二つ多いくらい」


 そう、ゼロが………………………は?


「ゼ、ゼロが? 二つ?」


「うん、二つ多いだけ。そんなに変わらない」


 ゼロが二つ…………ってことは……八百万エニー!?


「リジーーーーーーーーーーーっ!!」



 この日、私達は再び財政難に陥った。

リジー、再び財政ボンバー。

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