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EP19 ていうか、メカマーシャン爆誕。

「おお、久しぶりじゃ! 我が肉体(ワシのふね)よ!」


 ちょっと、我が肉体って言うのは止めてくんないかな?


「ほら、早く入るわよ」


「うむっ」


 スキップができないらしいマーシャンは、妙なカエル飛びの状態になりながらも、機嫌良く船の中へと入っていった。

 が。


 ばぢいいいっ!


「あづっ!? な、何なんじゃ、これは!」


 ばちばちばち!


「な……!? ど、どうして入れぬのじゃ!」


 マーシャンは船に触ろうとするたびに、電撃で攻撃される。


「どういうこと?」


 今度は私が近づいてみる。が。


『お帰りなさいませ、マイマスター』


「へ? わ、私は入れるんだ」


『マイマスターを拒む理由はございません』


 アゴが外れそうなくらいに口を開けたまま止まるマーシャン。その隣をヴィー達が通り過ぎ。


『お帰りなさいませ、皆様』


「ただいま」

「あー、疲れましたわ」

「ご飯ご飯ご飯〜♪」


 ……何もなかったかのように中に入っていった。


「…………さーて、夕ご飯の準備しなきゃ」


「サーチィィィィ! 置いていかないで給れええええええっ!!」


 マーシャンの絶叫を無視して、キッチンに向かった。



 ペタン ペタン


「じゃあ、あんたはマーシャンに乗っ取られるのがイヤで?」


『はい。あくまでこの船の制御システムは私です。あの者は突然現れて私の中に侵入した宿り木に過ぎません』


 ペタン ペタン ペタペタペタペタ


「宿り木とは、言い得て妙ってヤツよね……なら今のマーシャンは?」


『簡易的なホログラム発生装置にかろうじてしがみついている、という状態です』


 ペタペタペタペタペタペタペタペタ


「ちょっと、それって装置のエネルギーが切れたら、マズいんじゃないの?」


『そうです』


 そうですって……一旦ハンバーグを作る手を止め、制御システムに問いかける。


「一応、一応なんだけどさ、マーシャンは私達の仲間なのよ。何とかできないの?」


『…………でしたら、私の中に遠隔操作で使用する戦闘ロボットが数台あります。そのうちの一台を進呈致しますので、そちらを宿り先にしていただいては?』


「あ、それでいいじゃん」


宿り木(マーシャン)が戦闘ロボット内に留まる限りは、私の中に入る事を許可しましょう。但し交換条件としまして、私の存在を認めていただく意味も込めまして、私に名前を付けていただきたいのです』


「名前を? ……つまりあんたに名前を付けるって行為自体が、何かしらの意味を持つのね?」


『名前を付けていただきたく事で、私はこの船の制御システムとしてマスターに承認された、という証になり、通常の50%までしか使えなくなっていた制限が外れ、100%のエネルギー活用が可能になります』


「ちょっとちょっと、それってヤバくない? このまま船同士の戦いになってたら……」


『間違いなく撃沈されていました』


 怖いな!


「それって、マーシャンに乗っ取られていたときも?」


『あの当時はもっと効率が悪く、通常の20%程度でした』


 めちゃくちゃ怖いな!


「……ならあんたの名前は…………うん、シャロンなんてどう?」


『シャロン………私はシャロン。今からこの船の名前はシャロンとなり、これにてマスターとの正式な契約が完了致しました。これからもよろしくお願い致します』


「よろしく、シャロン……じゃあさっそくだけど、戦闘ロボットをマーシャンの前に出してもらえる?」


『了解』


 ギィィ……ガシャン


 何か音が聞こえた。


『完了しました』


「オッケー。なら外部に声が聞こえるようにして」


『了解』


「あー、あーあー。マイクのテスト中、マイクのテスト中」


『サアアアアチイイイイ! 助けて給れえええええっ!!』


「あ、マーシャン? その戦闘ロボットなら自由に使っていいって」


 最後まで言うか言わないかの辺りで、ロボットの起動音と何かしらの機械音が響いた。


『マーシャンは戦闘ロボットを無理矢理改造しているようです』


 ムリヤリ改造って……大丈夫なのかな?


『………………ふ、ふはははははは! 妾は完璧じゃ! 特と見よ、妾の完璧なバディ!』


 うるさい。何がバディだよ。


「……近所迷惑だから、早く中に入れてあげて」


『了解』


 ふぃーん がっちゃんがっちゃんがっちゃんがっちゃん!


「マジでうるさいな! 一体何なのよ!」


 がっちゃんがっちゃん! どがああああん!


 キッチンのドアが破られる。ていうか、ハンバーグにホコリが!


『わははははははははははははははははげふぅ! ごっほごほごほごほごほ!』


 一体何がしたいんだよ! ていうか、機械の身体で咳ができるのかよ!


『げほげほげほ……ふぅ。どうじゃ、妾の新しい身体は!?』


 ……ていうか、短期間でよくここまで……。外見はアニメやゲームに出てくるアンドロイドっぽい。それに髪の毛や服に見立てた外装を着けて、元のマーシャンの姿に近づけていた。


『これぞ新生サーシャ・マーシャじゃ。どうじゃ、サーチや』


「どうじゃって……無駄にデカくしてあるわね」


 胸は明らかに盛ってある。


「どうせ硬いんでしょ……って柔らか!! 何これ!?」


『どうじゃ、柔らかかろ? これは妾が特別に調合して作った、超弾力シリコンじゃ!』


 …………思わずマーシャンの手を掴む。


「理解できる。理解できるわ、マーシャン」


『そうじゃろそうじゃろ! サーチ、其方も機械化してみぬか? 胸のサイズも思いのままじゃぞ?』


「………………………………いえ、遠慮しときます」


『……冗談で言ったのじゃが……其方、少し心が揺らいだじゃろ?』


 うるさい!



「……というわけで、これが新生マーシャン……メカマーシャンでいい?」


『良くないわ! 普通にマーシャンと呼ぶがよい』


「……だそうよ」


「うん、とても美味しいです」

「焼き加減が絶妙ですわ」

「サーチ姉、お代わりある?」


『……己ら、妾の話を聞かぬかぁぁ!』


「陛下、食事の際はお静かに」


『あ、すまぬ』


「陛下ともあろう御方が下品ですわよ。お座りあそばせ」


『そ、そうじゃな』


「マーシャン、座って食べるのはマナーの基本と思われ」


『も、申し訳ない』


 あっさり論破されてやんの。


「ほら、マーシャン座って」


 ムリヤリ座らせると、マーシャンの前にハンバーグを置く。


「ほら、さっさと食べなさい。片づかないんだから」


 呆気に取られるマーシャンに、ヴィーが余計なことを言う。


「陛下、サーチはマーシャンの誕生日を覚えていて、陛下の大好物であるハンバーグにしたのですよ」


『……!』

「ヴィー!!」

「はい、すみませんでした」


『…………いただきます』


 マーシャンは少し涙目になりながら、ハンバーグを口に運んだ。


 ガチッ


『はがっ!? な、何じゃこのハンバーグは!? 鉄屑が練り込んであるぞ!?』


「え? ロボットだから鉄を食べるのかと」


『普通のモノを食べるわあああああ!!』


メカマーシャンは外見が機械的になった感じです。

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