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EP10 ていうか、初めての宇宙戦!

「…………はあ」


「ん? どうかしたの、リジー?」


「……うん……宇宙は広いと思われ。続くよどこまでも、と思われ」


 当たり前でしょう。ていうか、線路じゃないんだから。


「もう三日経つけど、行けども行けども真っ暗闇ばかり。長い暗闇を越えると、そこは目的地だった……はいつなの?」


 今度は雪国かよ!


「ていうか、どうかしたの? いつもなら呪われアイテム磨きに精を出してるのに」


 その言葉を聞いたとたん、リジーの両目からブワッと涙が……って、ええ!?


「ちょっとどうしたのよ!? 大丈夫なの!?」


「う、ううう……全然だいじょばなあああい! 私の大切な呪われアイテムが! 呪われアイテムがあああああっ!」


 へ? 呪われアイテムって…………ああ、そうか。


「私の魔法の袋(アイテムバッグ)以外は全部使えなくなっちゃったんだっけ」


 ヴィーのもナイアのもダメだった。袋自体は残ってたんだけど、ただの皮袋と化していたのだ。


「呪われ、呪われアイテムぅぅぅ! 磨きたい磨きたい磨きたいぃぃぃ!」


 ……ずっとこの調子だとうるさいだけだな。


「リジー、なら代わりのモノを磨いたら?」


「…………代わりのモノって、例えば?」


「そうねぇ…………宇宙船(マーシャン)とか?」


「やった。そうしたら『くすぐったい』とか『そ、そこは駄目なのじゃ』とかうるさかったから止めた」


 すでにやってるのかよ! ていうか、宇宙船のくせにマーシャンには感覚があるのかよ!


「……なら、自分の鎧とか…………もうやってるわよね、そうよね」


 リジーの機械的鎧はいつもピカピカ。あまりにも磨きすぎたらしく、表面のキュアガーディアンズマークが消えてかかっている。


「ならカースブリンガーを」

「普段柄だけの武器を!?」


 とかいいながらも、やっぱりピカピカか。


「なら磨けるモノを探して磨けばいいじゃない」


「うぅぅ……やっぱり呪われアイテムが磨きたい! 呪われアイテムがいいの!」


 そう言われてもねぇ……私は呪われアイテムなんて持ってな…………あ。


「……一つだけあったわ」

「何!?」


不殺の褐剣(アンチキル)


「………………それはいい」


「そう…………って、あ、いっぱいあったんだった」


 ガラガラガラ!


「う、うわわわわ! 呪われアイテムがいっぱい!」


 そういえばリジーのエサ用にいっぱい仕舞ってたんだった。


「呪剣士はたまーに呪いを摂取しないといけないんでしょ? だから安い呪われアイテムを集めてたのよ」


 実際に夕ご飯の一皿に禍々しい武器が並ぶこともあったのだ。


「いい! これでいい! 食べるなんて勿体無い! 私が徹底的に磨きあげる!」


 ……まあいいか。今は呪剣士じゃなくバーサーカーなんだから、呪いの摂取は必要ないでしょ。


「ま、ほどほどにね。すり減るまで磨いちゃダメよ」


「磨り減るまではやりません!」


 いやいや、さっきまでのリジーの様子を見てれば、やりかねないと思われ。


「うふふふ、うふふ、呪われ呪われ〜♪」


 呪われアイテムを全て両手で抱えて、リジーは自室へと引き上げていった。


「……嫌われちゃったわねぇ、不殺の褐剣(アンチキル)


 不憫に思え、久々に褐剣を腰に差した。


「羽扇が消えちゃって不便だったから、活躍してもらおっと」


 苦笑いしつつ、褐剣の柄を撫でていると。



『emergency emergency』

 ヴィーッ、ヴィーッ



「な、何!? マーシャン、何が起きたの!?」


『SOSじゃな。これより先で貨物船が海賊の襲撃を受けているようじゃ』


 海賊! ちょうどいいわ!


「マーシャン、ステルス機能をフル活用しつつ、全速力で現場に向かって!」


『……其方は何故難題ばかりを……まあやれるだけやってみるがの』


 すぐにテレフォンを作動させる。


「みんな、緊急事態よ! 海賊が暴れてるらしいから、急行するわ! 各自戦闘準備!」


『『了解!』』

『うふふ、うふふふ、了解』


 ……リジーは放置でいいかも。


 ……タタタタ


「サーチ、海賊は何処ですか!?」


 おお、ヴィーが一番か。


「今現場に急行中。ていうか、早いわね」


「はい。先程から名前を連呼されていましたので」


 ……………………あぁ、警報音か。確かに「ヴィーッ、ヴィーッ」って鳴ってたわね。


 ……タタタタ


「お待たせ致しました。準備完了ですわ!」


 おお、近代化魔女っ子も到着。


「あとはリジーだけど……まあいいか。今はお楽しみ中みたいだし」


『サーチ、見えてきたぞい。あの船じゃ』


 早っ! まだ時間かかるんじゃなかったのかよ!


『いやはや、流石はワシが制御しているだけあるわい。自分でも想定外の速度じゃ』


 自分のキャパをちゃんと理解しててよね!


「まあいいや! とりあえずマーシャン、海賊船へ強襲揚陸開始!」


『うむ、衝撃に備えて全員シートベルトじゃ!』


 やっぱりシートベルトなのね……大事だけど。ていうか、宇宙船できるくらい科学進歩してるんなら、シートベルトの代替品作れよ。



『行くぞい! 体当たりぃぃぃ!』

 ずどおおおおん!


 船の先端を海賊船に突っ込ませる。船体から接着剤? を噴射し、亀裂を埋める。


『よし、完全に繋がったのじゃ。派手に暴れてくるがよい!』


 いよっしゃあ! ブレードを起動させて左右の刃を立ち上げると、先頭で海賊船内部に突っ込んでいった。


「何が起きたんだぎゃあ!」


 一人目、殺。


「キュ、キュアガーディアンズだああがはっ!」


 ヴィーの頭の触手が敵を貫く。


「せ、戦闘準ぶべっ」


 ナイアのサイ・ハンマーが海賊の頭を砕く。


「サーチ、弱いですね」

「全く手応えがありませんわ」


 そんな感じね。なら。


「ヴィーとナイアで海賊船を制圧! ヴィーは艦橋、ナイアは動力源を押さえて!」

「「了解!」」


「私は貨物船に救援に行くわ!」


 立ち塞がった海賊を二人始末すると、最大速度で貨物船へと向かった。



 揚陸した箇所にいた海賊をなぎ倒し、海賊船から貨物船に乗り移る。


「さてと、キュアガーディアンズのバッジを付けて……」


 これをしてないと、貨物船の乗組員に攻撃されかねない……らしい。何故かこういう知識は最初から持っているのだ。


「だ、誰だ……って、キュアガーディアンズ! もう来てくれたのか!」


「あんたは?」


「貨物船『ランドエクスプレス』の船員だ。ほら、船員バッジ」


 船員バッジにキュアガーディアンズのバッジを合わせる…………敵性無し。これで船員かどうか確認できるのだ。


「海賊はどこ?」


「今は艦橋前で戦ってる。けど動力源は押さえられた」


 なら……。


「ヴィー、そっちはどう?」


『制圧しました。ナイアも既に完了しています』


「ならナイアに海賊を任せて、ヴィーはこっちに来て。艦橋へ救援を」


『わかりました』


「……さて、私は動力源ね。船員さん、案内してくれる?」


「わかった、こっちだ!」


 船員に案内され、船の奥へ向かった。

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