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EP6 ていうか、味方いっぱいいた。

「何であんたが!?」


『妻が事前に異変を察知してね。咄嗟に結界を張ってくれたんだよ』


 さすがケンタウルスさん。ダンナとは一味も二味も違う。


『……どうせ妻様々だよ』


 勝手に想像を膨らませて勝手にスネるな! その通りだけれども!


「で、私達に話があるって聞いたけど?」


『あ、そうでした。実は私やリルさん達を見ればわかるでしょうが、私達の世界もそちらの世界の改変に巻き込まれています』


 でしょうね。


『それで、大体はコーミさんのように記憶を失い、〝知識の創成〟(アカデミア)によって刷り込まれた新しい記憶に従って行動しています』


 ちょっと待て。記憶を失った?


「こ、紅美? 私のことはわかるのよね?」


「わかるわ。私が私に戻れたのは、全部デュラハーン室長のおかげだから」


『実は私は、最初に姿を見かけた時はサーチさんだと思ったのです。それでコーミさんを呼び出して、一対一でひえっ!?』

「ちょっと待て。ナニをしたのかな? 返答次第ではこの世界でも首が外れるわよ?」


『ちょ、通話越しに殺気を届かせないでください! ただ状態異常の治療薬をかけただけですよ!』


「サーチ、本当だよ。会議室に呼び出されて入室した途端、バケツいっぱいの治療薬を頭から被ったから」


 乱雑だな!


『……今のご時世、部下の女性を会議室に連れ込んだという事実だけで、社会的に抹殺されますから……これなら勘違いでも痴漢扱いはされないでしょう』


 痴漢扱いはされないけど、十分不審者認定されますから。十分に社会的に終わりですから。


『そしたらサーチさん本人ではなく、並行世界の同位体だったとは。いやはや、吃驚しました』


「事情は室長から大体聞いたわ。世界が改変されちゃったのよね?」


「うん、そんな感じかな。私達も昨日気がついたがついたばかりだから、何がどうなってるのかは把握してないけど」


「……でしょうね」


「ちなみにデュラハーンが気がついたのは?」


『サーチさんと同じです。昨日不意に』


「……なら……私達以外にも知り合いがいる可能性は大ね」


『何はともあれ、まずは味方を集める事が先決……と魔王様は仰ってみえました』


 ……ん!? 魔王様!?


「ソレイユもいるの!?」


『はい。お元気ですよ』


 そっか。ソレイユがいるなら百人力だわ!


「あとは……リファリスとエリザよね。デュラハーン、何か知らない?」


『いえ。最初にキュアガーディアンズに所属しているか調べましたが、名前はありませんでした』


「……そっか。なら一般人ってことね?」


『おそらくは』


 ……あとは……。


「……院長先生……ヒルダは?」


『ヒルダ? まさか〝飛剣〟のヒルダですか?』


「そう、そのヒルダ」


『でしたら検索して一番最初に判明しました。ヒルダはブラッディロアの最高幹部「血の四姉妹(フォーシスターズ)」の一人です』


 敵の最高幹部かよっ! らしいっちゃあらしいけど!


「あと〝刃先〟(エッジ)もそうでした」


 あいつもかよっ! って、まさか……。


「……〝竹竿〟も?」


『いや、〝竹竿〟の名前はヒットしませんでした』


 …………よかったああ……A級冒険者が全員敵だったら、マジでシャレにならないとこだった。


『但し、残りの二人の通り名が……ちょっと……』


「何? どうしたの?」


『……正体はわからないのですが、一人は〝繁茂〟、もう一人が……〝絶望〟(ディアボロス)なのです』


「はああ!?」


『確実に絶望の獣(ディアボロス)とは何かしらの繋がりはある、と思われます』


 ……どうして〝絶望〟(ディアボロス)を名乗ってるわけ?


『それに〝繁茂〟も気になります。魔王様は何も反応されませんでしたが……』


「……今〝繁茂〟はソレイユと一緒にいないの?」


『この世界になっていた時には、既に姿は無かったそうです』


 ……この辺も〝知識の創成〟(アカデミア)が画策したことなのかしら?


「…………今はあれこれ考えても仕方ないわ。まずは行動あるのみ。ソレイユは?」


『しばらくお待ちください。もう少しで時間がとれるそうですから』


 時間がとれる? つまり忙しいってことか。キュアガーディアンズのお偉いさんにでもなったのかな?


「わかったわ。オーケーなら声をかけて」


『わかりました。コーミ、君はしばらく席を外しても構わない。今後の事を話しておきたまえ』


「わかりました。では失礼します」


 そう言って紅美は通信を切った。


「……ていうわけで、私は少しだけフリーになったから」


「じゃあ少し話でもしましょうか…………ていうか、エイミアとリルはどうしたのよ?」


 私と紅美を見て、ポカーンとしてる。


「ま、まさか……」

「ここまでソックリだとは……」


 ま、それは私も最初はビックリだったけど。


「紹介するわ、私の従姉妹設定の紅美。実際は並行世界の同位体だけど」


 さらに実際は娘です。


「で、金髪のボーッとしてるのがエイミア。元勇者の電撃バカで、私の親友……いや悪友か」


「しょ、紹介が酷すぎます!」


「で、向こうの子連れ猫娘がリル。姉御肌で頼りになるけど、身体のある一部分については禁句だからね」

 がしぃ!

「サーチ……どういう意味ニャ?」


 ニャ、ニャんでもありません。


「リ、リル、気にしない気にしない! ほら、サーチと紅美を見分けるのも、その一部分が最適ですし! こ、個性ですよ個性!」



 ピキィィィン



「く、空気が……凍りつきました」

「ひ、避難した方がいいと思われ」

「し、失礼致しますわ……」


「へ? わ、私、何か変な事言った?」


「あ、あの、ヴィー、私は無実よね? 何も悪くないよね?」

「ええ、コーミは何も悪くありません。だから堂々と逃げて大丈夫ですよ」


「……エイミア……」

「……命知らずだな、お前……」


「え? え? サ、サーチ、リル、目が怖いんですけど?」


「そりゃあ、怖いだろうなぁ……なあ、サーチ?」

「ええ、怖いに決まってるわ。だって」


 リルが指を鳴らし、私はブレードを伸ばす。


「「……私達を怒らせたんだから」」


「え、ちょっと待って。話せばわかる、わかるよね?」


「「話してもムダ」」


「あ、あははははは……た、助けて、皆!」


「あーあーあー、聞こえません」

「空耳だと思われ」

「月からの御告げでしょうか」

「…………エイミア、ごめんなさい」


「裏切られた!?」


「裏切られたってのはヒドい言い方だな」

「そうよ。だって、悪いのは……」

「「あんたなんだから」」


「ひ、ひ、ひえええっ! 誰かあああ! へるぷみいいいいいいいいっ!!」



『……ごめんごめん、お待たせ〜……って、あれ? どしたの、空気がギスギスしてない? つーか、何でエイミアがボロ雑巾になってるの?』


「……魔王様、聞かないであげてください」

明日は更新お休みです。

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