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第二十一話 ていうか、突然行方不明になったヴィーとナイア。

「途切れたって……まさか何かに襲撃されてる!?」


『かもしれやせん。急いで行ってみましょう』


 急いで念話水晶を取り出す。


「ナイア、リジー、緊急事態発生よ。急いでヴィーのいるエリアへ向かって。敵襲の恐れがあるわ」


『ヴィーさんが!? 了解しましたわ、すぐに向かいます』

『えまーじぇんしー、えまーじぇんしー。めいでぃ、めいでぃ。すぐに向かう』


 ……リジー、エマージェンシーとかメイデイとか叫ぶのは、危険な目に遭ってる方だからね?


『ワタクシが一番近い位置ですわ。すぐに合流して………………な、何ですのあれは!?』


 ん? ナイア?


「どうかした?」


『い、いやああああああああ! あんなの勝てるわけがありませザザッ…………』


「ナイア! ナイア!? 一体何があったの!? …………ちぃぃ、リジー!」


『何?』


「ナイアもロストしたわ。一旦合流しましょう」


『ナ、ナイア姉まで!? わ、わかりましたと思われ』


 ……一体……何だってのよ……?



「サーチ姉!」


「リジー、あんたは無事だったのね」


 数分後、リジーと無事に合流。


「ねえ、イタチーズ。あんた達の仲間も連絡つかないの?」


『……へえ。だいぶ呼び掛けてはいるんでやすが……』

『そんな……ヴィーさんには長老が付いていたはずなのに……』

『な、なあに。百戦錬磨の長老が付いてるんだ、大丈夫さ、は、ははは……』


 悲観的なモノ言いすな!


「イタノスケ、可能性として考えられるのは?」


『……そうでやすね。敵の存在を察知し、隠れている可能性がありやす』


「隠れたってことは……ヴィー達は『勝てない』と判断したと?」


『へえ。その場合は風の膜をぶ厚くして、気配を遮断する事になってるんでさあ』


 視覚的にはヴィーが聖術で消せば……まああり得なくはないか。


「…………ねえ、サーチ姉。もしもそんな強大な敵がいるなら、ヴィー姉達を探して叫びまくってた私達の位置って……」


 ………………あ、モロバレだわ。


「ええええまーじぇんしー! えまーじぇんしー! めいでぃめいでぃあいた!?」


「うるさい! 使うシチュエーションは合ってるけど!」


 そのとき、巨大な何かが私達の頭上に現れた。


「何よ、いきなり暗くな…………!!」

「な、何これ……?」


 イタチーズも呆然とするほどの巨大な影は、ゆっくりと向きを変える。そして私達に迫って……。


「……あ、あの無機質な目……そして三角の特徴的な歯……な、何よりこの圧倒的な大きさ……!」


 間違いない。こいつは以前私達の前に現れた、伝説の海王……!


「な、何でこっちの世界にテラロドンがいるのよ!?」


 私達はすぐに逃げ出そうとするが、何かが引っ張る力によって阻まれる。


「こ、これって吸い込まれ……!?」


『ス、スゲえ力だ! に、逃げ切れねえ……!』


 こ、このままだと食われる……!


「……仕方ない、一旦吸い込まれて、内部から攻撃しましょう!」


『な、何だってえ!?』


「どんな強大な生物でもね、腹の中は無防備なもんなのよ!」


『だ、だからって……』


「じゃあ聞くけどさ、この状況下から逃げ出せるの!?」


『そ、それは……』


「明らかにムリでしょ! いざとなったらテラロドンの腹の中で大砲の零距離射撃やってやるから、安心して吸い込まれなさい!」


『安心して食われたくねえええええっ!』


「いやああああああああ! 食われるなんていやああああああああ!」


「安心しなさい、リジー。私なんかテラロドンに食われるの、二度目なんだから」


「はいっ!?」


「しかもエリザもろとも吐き出されたんだから」


「……………………よ、よっぽどマズかったと思われ」


 ……リジー……あとで覚えときなさいよ。


 ぐおおおおお…………!


「「『『『うわあああああああぁぁぁぁぁぁぁ…………』』』」」


 何だかんだで、結局テラロドンの口に吸い込まれた。



「「あひゃああああああああ!」」


 食道と思われる長い肉質の通路を滑り落ちる。


『『『うわわわわわわわっ!?』』』


 イタチーズはキレイに一列でくっついて私の首にすがり付く……ていうか重いよ!


「こここのまま行くと胃袋に落下すると思われ!」


「消化液で溶かされたくないわね。イタチーズ、広い場所に出たらすぐに私達を抱えて飛行して!」


『『『ガッテンだ!』』』


 ……ていうか、イタチーズのノリって一体……。

 肉質の表面はヌメっているため、お尻が擦れて痛いってことはない。たまに足を踏み込んでブレーキをかけながら、スピードを調節する。


『サーチさん、もうすぐ広い空間に出やす!』


「どうやら胃袋みたいね。一旦体勢を整えてから、全員で胃壁に集中攻撃するわよ!」


『待ってくだせえ、サーチさん! この風の反応は、胃袋なんて生易しい広さじゃありやせんぜ!』


「ど、どういうこと?」


『ま、まるで別世界に出るくらいの……』


 はああ?

 何て言ってる間に、出口が見えてくる。長い食道(トンネル)を越えた先は、ピンク色の胃壁に囲まれた消化液の池……。


「う、うっそおおおおおお!?」


 ……ではなく、豊かな緑色に染まった森だった。



「イ、イタチーズ! 飛んで飛んで飛んでえ!」


『へ、へえ!』


 ブワッ


 イタチーズの風が私達を包み、自由落下を免れる。


「ウ、ウソだあ……何でテラロドンに食われた先に、こんな森林地帯があるわけ……?」


「……たぶん異世界に繋がっていたと思われ」


 腹の中が異世界って、テラロドンってどういう腹してんのよ!?


 ブルルルルッ ブルルルルッ


 ん? 念話水晶が?


「はろはろ〜♪」


『サ、サーチ! やっと通じました!』


 ヴィー!


「無事なのね!?」


『はい! 鼬の皆も、ナイアも一緒です!』


 良かった、全員無事なのね。


「今どこにいるの!?」


『その事なのですが、私達は少々不思議な体験をしまして……』


 この展開だと……まさか。


「テラロドン 食われてみれば 異世界へ?」


『何故五七五……? と言うより、何故知っているのですか!?』


 ……ってことは……。


「まさか……あんた達もテラロドンに食われたの?」

『まさか……サーチ達もテラロドンに食われたのですか?』


「…………マジか」

『…………まさか同じパターンに陥るとは……』


 仲良く腹の中ってわけっすか。

 ははは……笑えねえ。

またまた異世界?

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