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第七話 ていうか、スケベモンスターには、こちらもスケベな手を。

「……はっ!?」


 柔らかい枕の感触を楽しんでいたら、何かヴィー(いつもの)と違うような……と感じて目を覚ましたら、青い瞳じゃなくて赤い瞳と目が合った。


「気付きまして?」


「……ナイアか。私何をしてるのかしら?」


「覚えてませんの? リジーとのいざこざで……」


 ……あ、ああ、ああ、そうだったわね。


「ごめんねナイア、ちょびっとやり過ぎだったわ」


「……ちょびっと? あれがちょびっと?」


 あかん。かなり怒ってますわ。


「え、えーっと、大変遺憾でイカンと思われます」


「……何が言いたいんですの……?」


 こ、これは火に油を注いぢゃったか。


「あ、え、えーっと……ナイア愛してる♪」


「え…………ええええええええええっ!?」


 あら、意外とウブ? めっちゃ動揺してるし。


「そ、そんな、いけませんわサーチ。ワタクシとサーチは女同士、そのような不自然な関係……でもサーチが望むのならば……」


「? ちょっと、何をジャブ食らって動揺してるのよ? これくらいでフラフラしてたら……」


 イタズラ心が疼いた私は。


 チュッ


 ナイアの唇に追撃をかけてみた。


「ほら、いくわよナイア。これから作戦会議を開くからさ」


「…………」


 自分の唇に触れていたナイアは「ぼふんっ」と音が出そうなくらい赤くなり。


「……はうっ」


 そのままひっくり返った。



「もーーナイアちゃん、ウブすぎて困っちゃうわ〜ごめんなさいごめんなさい」


 顔を真っ赤にしてハンマー型ホウキを振り上げたナイアに平謝りする。


「それで、サーチ姉。作戦会議って何かあった?」


「あ、うん。今気絶してる間に、ルーデルのヤツが夢の中に出てきてさ」


「ルーデルが?」


「……そのルーデルとは何方ですの?」


「ルーデルはサーチ姉の元彼で初めての相手おぐっふぅ!!」

「もうちょっと柔らかい言いかたしてくんないかな!?」


 リジーは鳩尾を押さえてのたうち回ることになった。


「も、元彼……? 初めての……?」


「あ、あのさ、ナイアにだって元カレくらいいるでしょ?」


「……否定はしませんわ」


「ま、そういうことよ。この件は追求しないで」


「……わかりましたわ。今回は(・・・)退きますわ」


 む。これは意外と執念深いか?


「……まあいいわ。それよりルーデルからの情報なんだけど……」


 烈風鼬(トルネードダンス)について説明する。


「ひょ、氷結大陸のモンスターですの!?」


「らしいわ。それ以上に厄介なのが」


「人型のロケットおっぱいに興味津々って点?」


 ストレートに言うわね〜……まあリジーの言う通りなんだけどさ。


「……つまりどうしろと言うんですの?」


「要はね、あまりにもすばしっこくて倒すの大変だから、一人が胸を晒して烈風鼬(トルネードダンス)を釘付けにして、その隙に一網打尽にしようってこと」


「…………はあ」


「……で、ナイアかリジーのどちらかが犠牲になってほしいんだけど」


「「……はい?」」


「……だから露骨な言いかたすれば、どっちかが上半身裸で戦うってことで」


「は!?」「へ!?」


 二人揃って真っ赤になる。


「い、嫌ですわよ!」

「嫌だと思われ!」


「悪いけどこれは決定事項よ。二人で話し合って決めなさい」


「そ、そんな無体な!」

「サーチ姉、強引すぎると思われ!」


「リーダーとしての権限を行使します! これはギルドの決まりにもなってる、ちゃんとした権限だからね!」


「「うぐっ」」


 あまり知られてないけど、パーティのリーダーは色々と責任が生じる代わりに、かなりの権限も与えられているのだ。最悪調停にもつれ込んでも、リーダー側が圧倒的に有利なくらい。


「こ、此処でリーダー権限を持ち出すのは卑怯ですわ!」

「そーだ! そーだ!」


「っるさい! ルーデルの話だとね、デカいヤツに群がるらしいのよ! だったら私よりもデカい二人のどっちかにするしかないでしょ!」


 やれるもんなら私がやってるわよっっ!!


「そ、そうでしたの……」

「な、なら仕方ないと思われ……」


 私のただならぬ気配に圧されて、二人は引き下がった。


「……じゃ、はい。二人で平和的に決めなさい」


 ……どうせすんなり決まらないでしょうけど。



 私の危惧した通り。


「「あいこでしょ! あいこでしょ!」」


 これで三桁……どんだけあいこになるのよ。


「「あいこでしょ! あいこでしょ! あいこでしょ! あいこでしょ!」」


 ……イライラ。


「「あいこでしょ! あいこでしょ! あいこでしょ! あいこでしょ!」」


「……あんた達さあ、マジメにやってくんない?」


「何を言ってるんですの!?」

「私達は十分に真面目と思われ!」


 いやいや、リジーが言うな。


「「あいこでしょ! あいこでしょ! あいこでしょ! あいこで」」

 ぶちぃ

「だあああああっ! これで最後の勝負よ! 今度あいこだったら二人とも上半身裸で戦ってもらうからね!」


「えええ!?」「そんなぁ!」


「るさいっての! ほらいくわよ、最初はグー!」

「「ジャンケン……」」


 ……二人の気合いが限界まで高まる。そして。


「「ポォン!」」


 ……二人はお互いを殴りつけるかのように、固く握られた拳を繰り出した。



 ヒュウウウ……


「ほ、本当にやるんですの?」

「は、恥ずかしいと思われ」


「文句は無しよ。お互いに最後グーであいこだったのは間違いなかったでしょ?」


「それは……」

「そうなんだけど……」


 ……たく。こんな人っ子一人いない荒野の真ん中で、何を恥ずかしがってるんだか。


「ほらほら、脱ぎなさいっての!」


「きゃあ! サ、サーチ、引っ張らないでくださいまし! わかりました、脱ぎますわよ!」


 半ばヤケクソになったナイアがその場でワンピースのローブを脱ぎ、ブラを外した。


「……イヤがってた割に、脱ぎっぷりは大胆たわね」


「もう腹を括りましたわ。男性が前にいようが、堂々と戦ってみせましてよ!」


 そう言ってホウキを振り回す。それと共に弾む胸…………くそ。


 キュッ

「はああああああん!!」


 先っぽをつままれたナイアは、腰が砕けて座り込んだ。


「はい、次はリジー」


「え、え〜……」


「何を恥ずかしがってんのよ。もうあんたの裸なんか腐るほど見てる私達よ。遠慮なんかしなくていいわ」


「で、でも……」


 ぶちぃ

「えええい、さっさと脱がんかあああい!」

「ひゃ、ひゃあああああああああ!?」


 五分と経たずに全て剥かれたリジーは、半泣きで腰が砕けて座り込んだ。


「な、何で私だけ全裸!?」


「やかましい! うだうだしてるからでしょ!」


 そう言ってから私もビキニアーマーのトップを脱ぎ捨てた。


「え?」

「サ、サーチ姉も?」


「当たり前じゃない。あんた達だけ脱がすなんて卑怯なことはしないわよ」


「……サーチ姉はただ脱ぎたいだけじゃぐっほうっ!」

昨日の誤投稿を修正しました。

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