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第十四話 ていうか「サーチ、今回は許しません!」ばぐんっ!

「ただいま戻りましたが…………で、サーチ、一体何をしているのですか?」


 ……へ? げっ!


「お、お帰り〜……」


 や、やべ。ホテルのプールで日焼けしてるとこ見つかった……。


「私達が暑い砂漠で必死に探査していたのに……!」


 あ、あはははは……。


「わ、私達も聞き込みとかしてたのよ。い、今はちょーっと一休みしてただけで」


「一休みの割には随分と日焼けしてますね」


 ぎくっ。


「紅美、このプールには何時から?」


「えーっと、ヴィー達が行ってから毎日かな」


「紅美!?」


「サーチ、嘘はいけないよ?」


 う・ら・ぎ・り・も・の〜!!

 私が呻いていると、ヴィーが私のビキニの肩ヒモを少しずらす。


「な、何よ」


「……いえ、いい具合に日焼けしてますね……コーミ、申し訳ありませんが私をサーチと同部屋にしてもらえます?」


 読まれてるーー!!


「いいよー」


 裏切られたぁパートツー!!


「……というわけで、日焼けした小麦色の身体、しっっかりと堪能させていただきます」


「………………はい」



 それから朝まで、宣言通りにしっっかりと堪能された。



「さ、さあ、未知のピラミッドが眠るサッカラへ、頑張って行こう!」


「……ねえサーチ、何で膝が笑ってるの?」


 うるさい!


「本当に。生まれたばかりのバンビみたいですわよ?」


 うるさいうるさい! ナイアは理由も知ってるくせに、わざとらしい!


「サーチ、言われた通りにレンタカーで4WDを借りてきましたよ」


 ……クソ、ヴィーのヤツ。やたらツヤツヤしてやがる……。


「あ、ありがと。じゃあサッカラに向かうわよ」


「ワタクシは別の方法で行きますわ」


 車酔いするナイアは大体このパターン。ホウキを含め空を飛ぶヤツには滅法強いんだけど。


「え〜、ナイア、たまには一緒に行こうよ」


「へ!?」


 あらら、紅美の天然がナイアに牙を剥いた。


「ワ、ワタクシは少し用事がありまして」


「車内で恋ばなとかしてみたいのに」


「うぅ! し、しかし、とても重要な……」


「……私と親睦を深めるよりも重要?」


「ううぅ! サ、サーチ、何とか言ってくださいよ!」


「……私は運転手だから関係ないし」


「そ、そんな! ヴィ、ヴィーさん!」


「……私は助手席でナビゲートしますので」


「ヴィーさああああああん!!」


「……ナイア」


「は、はい!」


「……紅美を悲しませたら許さないわよ」


「………………はい」


「やほー! ナイア、一緒に後部座席に座ろー!」


「………………はい」


「……嫌なの?」


「い、いえいえいえ! そんな事はありませんわ! とっても楽しみですわよ!」


「本当に? イェ〜イ♪」


「い、いぇ〜い…………………はぁ」


 気休めになるかはわからないけど、酔い止めを渡しておいた。それと大量のビニール袋と。



「いぃぃぃやっほぅ!」


 ザザザザザザザッ!


「サ、サーチ、止めて! 止めてください!」


 ヴィーが真っ青になって叫ぶ。


「え〜、いいじゃん。砂の上ならドリフトし放題だよ?」


「砂の上でも道路上でも止めてくださいいいい!!」


 普段ドリフトしてたら、ヴィーにめっちゃ叱られた。それ以来控えてたんだけど……最高♪


「ヒャッハー! サーチやっちゃえやっちゃえ〜!!」


 後部座席で盛り上がる紅美。


「お、【食事中は厳禁】ぇぇぇ!!」


 ビニール袋の半数を使い切ったナイア。どうやら後ろは阿鼻叫喚な模様。


「サ、サーチ、この辺り! この辺りで止めてください!」

「あいあいさー!」


 ドリフトっちゃう!


 ずざざざざざざあ!

「ぎゃあああ!」

「きゃっほううう!」

「【見せられないよ】ー!!」


 お、お、車が傾いた傾いた。


「はーい、重心を寄せてー!」


 私の言葉に反応して、浮いた側に全員移動。


 ギィィ……どたん!


「はい、横転回避。止まったわよ〜…………あれ?」


 ヴィーは……気絶してる。後ろを向くと……ナイアもビニール袋持ったまま気絶してる。


「紅美は………………あれ?」


 やだ、この子、にっこり笑ったまま白目剥いてるわ。当然のごとく絶賛気絶中。


「……ちょーっと刺激が強すぎたかな」


 とりあえずヴィーを最初に起こした。どうせ怒られるだろうから、先に済ませておこう。



「……さて、この下までどうやって潜るかですね」


「あの〜……ヴィー? 離してもらえない?」


「そうですわね。大体何mくらいありますの?」


「あの〜……ナイアさん? ヴィーに何か言ってもらえません?」


「クスクスクス」


「紅美ー!! あんたもむす……従姉妹なら助けなさいよ!」


 ……今の私は罰としてロープでぐるぐる巻きにされてるわけで。


「ちょっとー、助けなさいよー、ぶーぶーぶー」

「「うるさい!」」


 ……すいません。


「……で、ヴィーさんの聖術ではどうにもなりませんの?」


「無理ですね。あまりにも砂の質量が大きすぎます」


「ねー、せいじゅつって何?」


「「……あ」」


 二人そろって何してんのよ! 紅美の前での会話には気をつけなさいっての!


 びしっ!

「はう!? ……キュウ……」

 ……パタッ


「二人とも、迂闊すぎるわよ」


 とりあえず首筋をチョップで一撃して気絶させる。


「サ、サーチ……」


「真実を知るということは、それだけ危険に近くなるってことよ。お願いだから紅美は巻き込まないで」


「「す、すみませんでした……」」


「……わかってくれればいいわ」


「……って、サーチ!? どうやって縄から脱け出したんですか!」


 あ、しまった。


「それはほら、こんな風に」


 ごきんっ


「うわっ!?」

「か、肩を自分で外したんですの!?」


「ま、これができれば縄脱けなんてわけないわよ」


「……成程。では肩を外した状態で縛ればいいのですね!」


 うわわ、しまったあ!


「ナイア、押さえてください!」

「わかりましたわ!」


 のおおおおおっ!



「……ねーえ、もう許してよぉ」


「いーえ、駄目です!」

「今回は徹底的に懲らしめますわ!」


 しまったな……肩外しを目の前で見せたのはマズかったなぁ……。


「……まあ手は他にもあるんだけどね」


 髪の毛の中に隠したワイヤーをどうにか取り出せれば……!


 …………ズズズズ


 ん? 地震?


「な、何ですの、この地響きは?」


「……地震じゃありませんよ、これ。段々大きな魔力が近付いて……」


 ……これは……地面からだわ!


「二人とも、避けて!」

「「え?」」


 イマイチ反応が鈍い二人に、どうにか立ち上がってタックルする。


 どんっ!

「きゃ!」「わっ!?」


 その瞬間。


 ばぐんっ!



 私の周囲は真っ暗になった。

サーチ、天罰てきめん?

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