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幕間 リル達の旅路、エイミア達の出発

「……ここが暗黒大陸……か」


 ソレイユさんに協力してもらって、暗黒大陸に転移してもらいました。相変わらず真っ暗です。


「見えますか? 何でしたらホタルを捕まえてきますけど?」


「大丈夫だ、私は猫獣人だぞ? 暗闇を進むのは得意だよ」

「ときゅいだよ」


 あ、そうでしたね。


「で、ここはどの辺りだ?」


「えーっと、ここは第三王国の近くだから……うぁ、エイミア様達がいるリングナイとは正反対の位置ですね」


「距離的には?」


「大陸の最北と最南西です」


「マ、マジか! ……一番早い移動手段は!?」


「一応乗合馬車はありますけど、それを乗り継いでも一ヶ月以上はかかりますね」


「な、何じゃそりゃあああ!? 何でソレイユはこんなヘンピな場所に転移したんだ!?」


「……リルさんがソレイユさんを急かすから……」


 あまりにリルさんが「早く! 早く!」ってソレイユさんをせっついたから、怒って途中で転移場所の検索を止めちゃったんですよ。


「〜〜〜っ! ソレイユのヤツ、今度ブッ飛ばしてやるぅぅ!」

「やりゅぅぅ!」


「リルさん、お子さんの教育にあまり良くありませんよ」


「!! そ、そうだったニャ! ターニャ、いい子ニャいい子ニャ!」

「ニャ! ターニャいい子!」


 ターニャというのは、リルさんのお子さんの名前です。何で猫獣人に呼びにくい名前にしたのか……本当はターナなんです。


「でしたら念話水晶でエイミア様達を呼び出して、中間の街で合流すればいいのでは?」


「……そ、そうだな。それがいいか。エカテル、お前頭いいな」

「いいニャ〜」


 ど、どうも。


「よし、ならリジーに……」


『…………ぷるるるるる、ぷるるるるる、がちゃ、はい、もしもし』


「……何で口でぷるるるるる、とか言ってるんだよ?」


『……久しぶりなリル姉に精神的ショックを与える為』


 …………駄目。やっぱりリジーの事は理解不能です。


「相変わらずだな、リジー。元気だったか?」


『少し死にかけたけどサーチ姉に助けてもらった』


「そーかそーか…………って何ぃ!?」


『もう大丈夫だから、心配しないで……と思われ』


「そこは思われじゃねえだろがあああ!」


 ……リルさんって根っからの突っ込み体質なんですね……。


「おもわりぇ〜!」

「こらターニャ、あれはマネしちゃダメニャ!」


「リル姉、何気に失礼! ……っ? リ、リル姉、その物体(こども)は?」


「え? 私の子に決まってんだろ……っておい、何で後退ってるんだよ」


 あ、リジーがパニクってる。


『え、えまーじぇんしー! えまーじぇんしー! めーでー! めーでー! えすおーえすぅ!』


「ちょ、落ち着けリジー! な、何か古代語を連発してやがるぞ!」


 リルさん、突っ込むところはそこじゃないでしょう。


「リジー、落ち着いて。獣人は種族によっては成長が早い場合もありますよ。それとリルさん、あれは古代語じゃなくてサーチさんの前世の言葉です」


「あ、ああ、そうだったな。古代語じゃなかったんだったな……メモメモ」


 何か呟きつつメモをとるリルさん。表には「古代語」と書かれた題名が二重線で消され「サーチ語」と変えられていました。サ、サーチ語って……。


『それより何か用?』


「あ、そうだった。今私とエカテルが暗黒大陸に到着したんだ」


『暗黒大陸に? という事はサーチ姉の件で?』


「ああ。何か進展はあったか?」


『稀に空中から降ってくるタライ便で事情は聞いてる』


 タ、タライ便?


『サーチ姉達は向こうで≪万有法則≫(コトノハ)の碑文を収集中』


「こっちにも連絡があった。三冠の魔狼(ケルベロス)を通じてソレイユにな」


『魔王様に?』


「ああ。私はソレイユ経由でサーチの転移の件を知って、育児旅行を兼ねてここまで来たのさ」


『い、育児旅行?』


「リジー、一部の獣人の習慣ですから」


『わ、わかった。それでリル姉達が知ってる事は?』


「……なあ、リジー。良ければ中間の街で落ち合わないか? 直接会って話したほうがいい気がする」


『……話す内容が複雑?』


「たぶんそれはお互いにだろ。念話水晶でムダに魔力を使うより、お互いにジューヤ湖に向かいつつ合流したほうが建設的だぜ」

「けんせちゅちぇきだじぇ」


『……わかったと思われ。私とエイミア姉とですぐに向かう』


「ん? マーシャンは?」


『エイミア姉にお仕置きされて入院中』


「………………なら仕方ないな。マーシャンは放置して急いで出立してくれ」


『うぃ!』


 プツンッ


「……つーわけだ。中間の街でちょうどいい場所はあるか?」


「そうですね………アサンリバーならちょうどいいかも」


「アサンリバーだな。なら乗合馬車で向かうか」

「むかうか」


「何でしたら音速地竜(ソニックランドラゴン)を借りる手も…………止めましょう」


 涙目のリルさんを見て断念しました。


「な、なら高速馬車で行きましょうか」


「高速馬車?」


「少し値は張りますけど、目的地まで直行してくれますよ」


「お、それいいじゃん!」


「同じ場所へ向かう人を募れば、料金も折半できてお得ですね」


「よっしゃあ! なら近くの町で早速同乗者を探そうぜ!」

「さがそうじぇ!」



「リジー、誰から連絡だったの?」


「リル姉」


「そう、リル………リル!?」


「リル姉。今暗黒大陸に着いたって」


「あ、暗黒大陸にっ!?」


 リルがどうして!? 新婚生活の真っ最中のはずじゃ!?


「子供連れてた」


 こ、子供!?


「エカテル姉もいた」


 エ、エカテル!?


「魔王様と連絡をとったみたい」


 ソ、ソレイユと!?


「サーチ姉から連絡があったみたい」


 サーチから!? ……ああ、もう!


「リジー、話をバラバラにしないで、ちゃんとわかりやすく話してちょうだい!」


「冗談と思われ」


 ……未だにリジーとの会話は疲れます……。



「……というわけで、中間の街で落ち合う予定」


「中間の街ですね! ここからでしたら………イブニハリーがいいですね。すぐに出発しましょう!」


「マーシャンは放置?」


「放置!」


 私とリジーは手早く旅の準備を調え、南へと向かいました。



 あとから聞いたんだけどさ、リル組とエイミア組、ちゃんと合流する場所を指定しなかったもんだから、何回も何回もすれ違いを続けたらしいわ。やっぱ私が仕切らないとダメみたい。


「サーチ、エジプト行きの便が取れましたよ」


「オッケイ! なら次はエジプトの首都カイロを経由して、ギザの三大ピラミッドね!」


やっぱりサーチがリーダーじゃないとダメみたいです。

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