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第十話 ていうか、次はどこにしようかな……やっぱピラミッドかな……。

「さーて、次はどこにしようかな……」


 碑文はソレイユが調査を進めてくれるらしいので、全部ナイアに送ってもらった。何かマズい場所に落ちたらしいので、責任はナイアに転嫁しとこう。


「ストーンヘンジ・万里の長城・ククルカン神殿では異世界の戦士の遺留品は見つからなかった……」


 現地で聞いてみたりしたんだけど、古代の剣闘士のような格好をした死体がいくつか回収されたらしいけど、しばらくしてから忽然と消えたらしい。遺留品も含めて。


「……ねえ、ヴィー。自軍の戦士の死体や遺留品を、魔術で回収することって可能?」


「できますよ。例えばですが、放ったアサシンが失敗した場合を考えて、死んだ場合は別の場所に転移するように設定できます」


 な、なるほど。


「死体を燃やす、または爆破する、といった具合に証拠隠滅には色々な手段がありますよ」


「……難易度的には転移のほうが難しい?」


「それはもう、段違いに。私が実行するなら燃やす方を考えますね」


 うーむ。そうなるとわざわざ死体を回収した理由がわかんないな。


「あるいは難易度を無視して魔術を施せる……可能性もあるかと」


 ? どゆこと?


「もしも≪万有法則≫(コトノハ)を用いたなら、難易度は一切無視できるでしょう」


「……また≪万有法則≫(コトノハ)かぁ……」


 ホントに便利な魔術だこと………ん?


「あ、あれ? 今さらだけどさ、≪万有法則≫(コトノハ)ってスキルだったよね?」


「そうですよ」


「……でもさ、ヴィーは魔術扱いしてなかった?」


「? 当たり前じゃないですか、≪万有法則≫(コトノハ)なんですよ?」


 ……はい?


「ヴィーさん、もしかしてサーチはちゃんと≪万有法則≫(コトノハ)を理解していないのでは?」


「……あ、そうですね。サーチはあくまで戦士であって、魔術士ではありませんからね」


 ……??


「サーチ、≪万有法則≫(コトノハ)が魔術でもあり、スキルでもある理由はわかりますか?」


「全く見当もつきましぇん」


「……ヴィーさん、一から魔術とスキルの違いを説明なさっては?」


「……基本中の基本なんですけど……わかりました」


 ごめんよう。魔術基礎の授業は寝てましたので。



「まずは魔術とスキルですが、決定的な違いはわかりますか?」


 えーっと…………あ。


「MPを消費するかしないか?」


「その通りです。基本的な違いはMPを消費するかしないか、です。サーチもわかるとは思いますが、スキルによってはデメリットが発生するモノもありますよね?」


「そう……ね。ヴィーの≪石化魔眼≫(ゴルゴン)みたいな」


「そうです。魔術もそれと同じです」


 はい?


「魔術はそもそも『MPを消費するデメリットによって、他のスキルと同等の現象を起こせる』スキルなんですよ」


 あ、そういうことか。


「魔術とスキルは別モノで考えがちだけど、実際は魔術はスキルから派生したモノなのね?」


「そうです。ですから≪万有法則≫(コトノハ)はスキルでもあり、魔術でもあるのです」


「元々魔術は≪万有法則≫(コトノハ)をモデルにして開発された、という説もありますわね」


 なるほどなるほど、勉強になり申した。


「……って、モデル? それって≪万有法則≫(コトノハ)もデメリットがあるっての?」


「…………正直不明ですわ。但し」

「あれだけの事象を起こせるスキルです、何か犠牲になってない方が不自然ですよ」


 ……ま、そんなもんか。某錬金術でいうところの「等価交換」ってヤツね。


「ねーねー、サーチ達は何の話をしてたの?」


 おっと、紅美が風呂から出てきたか。


「相対性理論を覆らせることができないか対話してたの」


「……???」


「まあいいわ。ねえ、紅美。ピラミッドとバベルの塔、どっちのほうが気になる?」


「し、質問の流れがイマイチわかりにくいんだけど……そりゃ気になるのはバベルの塔ね」


 でしょうねー。


「だけどバベルの塔は空想だし、実際に見てみたいのは何かって言われたら……やっぱりベタだけどギザの三大ピラミッドかな」


 そう? 私は階段ピラミッドや屈折ピラミッドのほうが興味ある………………あ。


「そうだ……そうだったわああああ! しまった、ピラミッドってメチャクチャあるんだったあああ!」



 早速ヴィーにネットで調べてもらった。


「……ざっと百五十基はあるようです」


 ひゃ、百五十基!?


「しかもあちこちに点在してます」


 ……エジプトってかなり広いわよね……。


「でもさ、エジプトのピラミッドの大半は崩れかかった岩山になってるはずだよ? 見応えのあるピラミッドなんてそんなに無いんじゃないかな?」


 ……そっか。崩れかかったようなピラミッドじゃ、空間の扉が出現するような隙間すらないわよね。見応えのあるピラミッド=保存状態がいいピラミッドって感じか。


「ならギザの三大ピラミッド、サッカラの階段ピラミッド、ダハシュールの屈折ピラミッドに赤いピラミッドかな……」


 この辺りのピラミッドならあり得るわね。


「でしたらそれらのピラミッドで何か事件が起きてないか調べてみます」


 ヴィーが再びパソコンに向き直る。私もタブレットで調べてみるかな……。


「ねえ、何で事件なんか調べてるの?」


 …………しまった。紅美の存在を忘れてた。


「……ってい」

 ぶわっ

「はみゅ!? ……がくっ」


「ナイア、部屋に寝かしといて。眠りの毒で眠らせたから」


「サーチ、もう少し注意深く発言なさった方が宜しくてよ?」


 うるさい。


「……ぅぁ……」


「ん? どしたの、ヴィー?」


「…………調べた全てのピラミッドで事件が起きています」


 全て!?


「どのピラミッドでも内部で異世界の……私達の世界の兵士の死体が発見されてます。全て斬殺されていたそうです」


 ……。


「そのうちの一つ、階段ピラミッド近くで一般人がスマホで撮影した死体の画像が、ネットに出回ってました……こちらです」


 ……うわ、ヘタクソな斬り傷……っていうか、この特徴ある胸当ては……。


「……暗黒大陸の兵士ね」


「ええ。おそらくは神聖ラインミリオフ帝国の兵士ではないかと」


 ……やっぱり裏で何かしてたのね、アントワナのヤツ……。


 ブルルルル!


 ん? 私のスマホ?


「……誰、これ……はろはろ〜♪」


『やーやー、我こそは魔王ソレイユなりー』


 ソ、ソレイユ!?


「あ、あんたどうやってこのスマホに!?」


『理屈は念話水晶と同じだからね、波長さえ合えばチョチョイのチョイだよ』


 ウッソだぁぁぁ!


『……ま、それはいいんだけどさ。こっちでも動き始めたよ』


「へ?」


『育児旅行中のリルが事情を聞きつけてね、エカテルを伴って暗黒大陸に向かったよ』


「リ、リルが?」


『それでリジー・エイミアと合流して、暗黒大陸の中央に向かうってさ』


 中央?


「確か湖くらいしかなかったはず……?」


『その湖にあるらしいんだよ、碑文を封印した神殿が』

エジプト行ってみてえ。

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