表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
71/1883

閑話 その頃のマーシャン

作者自身マーシャンのことをすっかり忘れていた…。

「ふーい……まだ痛いのう……」


 パンドラーネのギルドにある冒険者用治療所。柔らかな陽射しが窓から入り、室内はほんのりとした暖かさで包まれていた。


「……暇じゃのう」


「暇じゃ暇じゃとうるさい奴だ」


 廊下には気難しい顔をした初老の男が立っていた。服装から言って医者らしい。


「暇なら出ていけ。もうとっくに治っているだろう?」


「つれないのう。もう一日半の付き合いじゃろ?」


「何を言うか。私がお前を初めて診察したのは三十年以上(・・・・・)前だぞ」


「そうじゃな。闇深き森(ディープフォレスト)がまだ緑深き森(ディープフォレスト)と呼ばれ、“八つの絶望”ディスペア・オブ・エイトがまだ“七つの絶望”ディスペア・オブ・セブンだった頃じゃ」


「そうだったな」


 ……しばしの間、静寂が……。


「あーー!! こういう真面目な雰囲気が一番嫌なんじゃ!」


「……なんだよ、せっかく付き合ってやったのに」


 自分でやってみてわかったわい。真面目なんて虫酸が走るわい! 何が陽射しじゃ! 何が静寂じゃ!

 ワシは早くエイミアの胸に飛び込みたいのじゃ!


「もういいじゃろ! ワシは行くぞい」


 立て掛けていた“賢者の杖”(マスターロッド)を手にする。


「……旦那さんの墓参りか?」


「……いや」


 ワシは進む。


「再会じゃよ!」


 ……緑深き森(ふるさと)へと。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ