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第十九話 ていうか、次はヴィー……じゃなくてメドゥーサの群れ「カチンッ」

 有翼人(ハーピー)を撃退して先に進むと、だだっ広い空洞が途切れて普通のダンジョンの道になった。


「やっとダンジョンらしくなってきたわね」


 いやはや、この世界でも大活躍、頭のホタルん。少し明るさがあった空洞と違ってだんだん暗闇が濃くなっていくはずなんだけど、松明なんかとは比べモノにならない明るさだ。


「……そういえばサーチ」


「ん〜?」


「先程の有翼人(ハーピー)達の討伐証明部位はとりませんの?」


 …………あぁ、そういえば私達のパーティは、普通の冒険者が当たり前にやることをしなくなってたわね……。


「……竜とか、めっちゃ儲かるモンスターはやるんだけど……そういえば私達、もろ一攫千金パーティになってるわね……」


 一挙に稼いで徐々になくなり、資金が尽きそうになるとまた焦って一攫千金を狙う……このパターンだわ。


「要は行き当たりばったりなのですわね」


 うるさい!


「サーチもナイアもお喋りはストップです。次のお客様がいらっしゃいましたよ」


 ヴィーの一言で一気に緊張感が高まる。両手に短剣を作り出し、気配を探る………ん?


「ヴィー、何も気配を感じないんだけど?」


 ナイアも同様らしく、キョトンとしている。


「いえ、来ています。私は近い(・・)からわかるのだと思います」


 近いって………あ、まさか!


「メドゥーサ?」


「おそらく。蛇の特性を発揮して、気配を消して近寄ってきているのだと思います」


 相手がメドゥーサなら、注意すべきは≪石化魔眼≫(ゴルゴン)か。


「ヴィー、視線を合わせなければ石化する心配はない?」


「一応は。ただし念を込めれば視線を合わせなくても相手を石化できますので」


「そ、そうなの!?」


「ただし相当な集中力を必要としますので、動きは完全に止まります。そうなっているメドゥーサを優先して倒せば、全く問題ありません」


「わかったわ……っと、来たわよ!」


 流石にここまで近寄られればわかる。十体くらいが少しずつ進んで、こちらに近づいている。私も≪気配遮断≫と≪忍び足≫を発動して走り、一気にメドゥーサに詰め寄って機先を制する。


 シャア!?


 メドゥーサとはいえ、姿形はヴィーと似ても似つかない。共通点は頭から蛇が生えているくらいで、顔も手足も全て爬虫類のようなウロコで覆われ、全員四足歩行で進んでいた。


「……のんびり観察してる場合じゃなかった」

 ザンッ ブシュッ


 一番前にいたメドゥーサの頸動脈を切断する。うわ、血が青い。

 倒れたメドゥーサを踏み越え、次にいたヤツの胸に突き刺す。


 ギィアアア!


 心臓を狙ったつもりだったけど、どうも違うっぽい。短剣から手を離し、今度は針を作って脳天に突き刺した。


「首から上を狙った方が無難か。心臓の位置がどうにもわかんないし」


 さらに三匹ほど始末してから毒霧の煙幕を吐き出し、一旦退却した。


「どうでしたか?」


「メドゥーサっちゃーメドゥーサだけど、あれは完全に別モノね。四足歩行だし、血も青かったし………………」


「? 何ですか、サーチ?」


 ちょっと気になって、ヴィーの指先に針を刺した。


「痛!? な、何をするのですか!」


 指先から垂れる血は……赤か。あぁ、良かった。


「……ま、まさか私の血の色を確かめたのですか!?」

「あっはっはっは………」


 やべえ。ヴィーの目が笑ってない。


「……サーチ。次の宿は同部屋ですからね?」

「え゛」

「寝かせませんからね!?」


 は、はい……トホホ。


「はいはい、無駄口はお閉じなさいませ。いらっしゃいましたわよ!」


 ナイアはホウキの先をグーの形にして、如意棒みたいに伸ばした。


 ぐぉん! バガッ!

 グヘェ!


 先頭のメドゥーサが吹っ飛んで壁にめり込み、そのまま動かなくなった。


「はああ!」


 ぐぉん! グシャ!


 もう一度伸ばし、動かないメドゥーサの頭を潰す。


「頭は確実に潰しますわよ。そうすれば≪石化魔眼≫(ゴルゴン)も防げますわ!」


「へ? 死ねば大丈夫なんじゃないの?」


「頭が残っている限りは、目には≪石化魔眼≫(ゴルゴン)の効力が残りますわ!」


「く、詳しいわね」


「昔、人狼(ウェアウルフ)とメドゥーサ族が対立した際、念の為に研究しましたの。幸いな事に、戦いには発展しませんでしたが」


 意外なとこで知識が役に立つもんね。


≪聖々弾≫ホーリー・ホーリーバレット!」


 ヴィーの≪聖々弾≫(ホリホリだま)がメドゥーサを蹴散らす……って、そういえばミスリルみたいな聖属性に弱いんだっけ。


≪偽物≫(イミテーション)!」


 早速ミスリルのトンファーを作り出し、メドゥーサの頭にぶつける。


 ばがんっ!


 おお、属性効果で威力も倍! これはいいわ!


 がぁん! ごんごんごん!


 ブーツもミスリルでコーティングし、メドゥーサの頭を次々とかち割っていった。



「はあ、はあ、はあ……か、数が多すぎる!」


 あれから何匹倒したかもわからなくなるくらい倒したけど、まだまだ湧いてくる。


「お、同じメドゥーサでも、流石にこいつらは嫌です!」


「同じではありませんわ! ヴィーさんの方が綺麗でしてよ?」


「ありがとうございます、と言いたいところですが……こいつらと比べられても嬉しくありません!」


「……確かにそうですわね。失礼致しました」


 今は軽口を叩いていられるけど、全員息があがってる。これはマズいかも……!


「ヴィーさん、この方々を一気に石にしてくださいませ!」


「できますけど、私自身がデメリットで寝てしまいます!」


 ……そうよ、こいつら自身を石化しちゃえば……! 近づいてきたメドゥーサの頭を一太刀で斬り飛ばす。その頭を拾い上げ、作った盾にくっつける。


「サ、サーチ?」


「くらえ、これこそ真のイージスの盾!」


 私は盾をメドゥーサ達に向けた。すると。


 かちんっ かちんっ


 数匹が石化する。よし、うまくいった。


「な、成程。メドゥーサの≪石化魔眼≫(ゴルゴン)を逆手に取って……ならば≪聖なる鏡≫ホーリー・ミラーシールド


 ヴィーは聖術で鏡っぽい障壁を作り出し、メドゥーサに向ける。


 かちんっ かちんっ


 鏡で自らを見たメドゥーサ達も次々に石化していった。


「ナイア、私達が石化したメドゥーサを砕いていって。それで元には戻れなくなると思うから」


「了解ですわ。それそれそれそれ!」

 どっかんどっかんどっかん!


 嬉々としてハンマー型ホウキを振り下ろすナイア。次々とメドゥーサは粉々になっていき、やがて塵となって消えていった。



 どかんっ!


「ふぅ……これで終わりですわね」


 最後のメドゥーサを倒してから、盾にくっつけていた頭を地面に転がす。


「あ、そーれ♪」


 再びナイアがホウキを振り下ろし、完全に決着がついた。


「ちょうどいいですわ、この先が地下への階段ですの」


 これでようやく地下一階が終了、と。今日は一旦引き上げて、明日から攻略を再開することにした。あーあ、疲れた。

明日は更新お休み。エルフィンお婆様でお楽しみください。

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