表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
686/1883

第十話 ていうか三億円獲得の慰労パーティー!

「かんぱーい!」

「「かんぱーい!」」


 銀行強盗からの三億円強奪計画は見事にうまくいき、私達の活動資金もできた。おまけに銀行と強盗犯との保険金詐欺も発覚し、銀行のお偉方が次々と逮捕されている。いやぁ、愉快愉快♪


「ヴィーもナイアもよくがんばってくれたわ。今日は腕に縒りを掛けて作ったから、たーくさん食べなさいよ!」

「「はーい♪」」


 今日はすき焼きをメインに、他にもいろいろと作ってみました。計画完遂を祝して牛肉パーティなのだ♪


「スキヤキと言うんですの? 甘辛くて美味しいですわ!」


 おお、ナイアには好印象だ。牛肉も超有名ブランドのA5を選んできたんだからね♪


「……」


 と思ってたら、ヴィーはフォークを止めたまま動かない。も、もしかして牛肉苦手?


「ヴィー、どうしたの?」


「……これ……」


 準備しておいた生卵を指差し。


「何度言ったらわかるのですか! 私は生卵の丸飲みはしません!」


「あー、そういうことか。違う違う。この料理は生卵につけて食べるのよ」


「あ……あぁ、そういう事なのですか。なら最初に言っていただければ……」


「あはは、言ってなかったっけ。ごめんごめん」


 お詫びに私が卵を割ってあげる。無論、片手割りはお手のモノ。


「ナイア、あんたも卵……」


「はい? ワタクシ、既に食べてしまいましたの」


 …………へ?


「か、殻は? 卵の殻は?」


「? 皆さんは丸飲みなさいませんの?」


 ヴィーじゃなくてあんたが丸飲みするのかよ!


「なかなか喉越し(・・・)がまろやかで、癖になりそうですわ」


「「…………」」


 ……私とヴィーは顔を見合わせ。


「ヴィー、生卵まるごとって喉越しいいの?」


「知・り・ま・せ・ん!」


 ……怒られた。



「そういえばあんた達には好き嫌いがないわね。特に嫌いなモノはないの?」


 牛肉を足しながら聞く。すき焼きの具の減り具合を見る限り、二人ともがっつりと肉食だ。


「そうですね……私は以前にサーチが朝食に出してくれたナトウ? が嫌いです」


 納豆だよ。どっかの軍事同盟じゃないんだから。


「そうですか? ワタクシは大変美味でしたわよ」


「……あんたって意外と順応性高いわね。もしかしてらっきょうや梅干しもイケるんじゃない?」


「どのような食べ物ですの?」


 冷蔵庫に入れてあったらっきょうと梅干しを出し、ナイアに渡した。


「どれどれ……あら、中々香しい匂いですわね」


 らっきょうの匂いをそう評せるって、相当な通だよ。


「どれどれ……あら、甘酸っぱくて歯応えがあって、美味しゅうございますわ」


 ……通だ。


「次はウメボシですの? こちらも刺激的な匂いですわね」


 あ、迷わず口に入れて……ちょっと顔をしかめて。


「く、癖になりますわね。ご飯が進みそうですわ」


 ……マジで通だ。


「そ、そんなに美味しいんですか……ぱく」


 あ、ヴィーが梅干しを……。


「……っっ!? 〜〜〜っ!!」


「わかるわかる。酸っぱいのね?」


 ちなみに、今のヴィーの顔はまさに(´*`)だ。


「こ、これが食べ物なのですか!? これが身体に悪影響を及ぼさないのですか!?」


「塩分さえ気をつければ、かえって身体にいいんじゃないかな」


「か、身体に良い……? こちらの世界の食文化は、奥深いのか理解の範疇を越えるのか……」


 私の故郷に対して、何気に失礼だっつーの。


「そうですか? ワタクシはとても共感が持てますわよ? ポリポリ」


 ……らっきょう一瓶食べちまいやがった。



「……あらら、ビールが切れちゃったわね」


「他にアルコールはありませんの?」


「ワインがあるわ。どうせだから開けちゃおか」


「ワインですか、いいですね」


 すき焼きを平らげたあと、おつまみとビール片手に談笑していたんだけど、ビールからワインへの切り替えと同時に、おつまみも一新することにした。


「ワインといえばチーズ。今回は手の込んだモノはないけど」


「チーズですか。全然問題ありませんよ」

「チーズですの……ワタクシは遠慮しますわ」


 あら? ナイアの手が止まった?


「ナイア、チーズが苦手なの?」


「チーズそのモノと言うよりは、匂いが苦手なんですの」


 匂いかぁ。たまにいるよね、そういう人。


「そうですか? とてもいい香りだと思いますが」


 ワイン片手にパクパクとチーズを食べるヴィー。さっきとは立場が逆転してるわね。


「ハムがあるから切ろうか?」


「お、お願い致しますわ……」


 冷蔵庫を開けてハムを取り出し………あ、これもあったんだ。


「ヴィー、このチーズは食べられる?」


 私は含み笑いをしながら、そのチーズをヴィーに渡した。


「はあ……あら、とてもいい香り」


「はあ!? そ、それ、ブルーチーズよ!?」


 とっても臭いことで有名な、独特なチーズなんだけど!


「え? 美味しいですよ?」


 すでに食べてるし! ていうか、ナイアは半泣きで逃げてるし!


「か、換気ですわ! 換気してくださいまし!」


 ヴィーがブルーチーズを食べ終わってから、換気扇と聖術の応用で室内の空気の入れ替えをした。それでようやくナイアが納得してくれた。やれやれ。



「お互いに苦手な匂いには気を付けましょう」


「そうですわね。スメルハラスメントは、気配りで防げますわ」


 ま、お互いに苦手なモノがわかったのは良かったのかもしんない。


「それじゃ、私のとっておきを出すわ。マジでうまいわよ〜」


 そう言って大量の唐揚げを出した。


「いただきます………あ、美味しい」

「本当ですわ、美味しいですわ」


「お互いに口直しになるでしょ。見た目と違って(・・・・・・・)さっぱり系なのよね」


「へ!?」「み、見た目って……」


「はい、次はこれ。香ばしくてうまいわよ〜」


 私が出したモノを一目見て。


「「ぎいゃああああああああああああっ!!」」


 ヴィーとナイアは悲鳴をあげた。


「何よ、蜂の子は立派な食べ物よ?」


「サ、サササーチ! さっき私達が食べたのって……!」


「え? カエルだけど?」


「「い、いやああああああああ!」」


「何言ってんのよ。食用蛙っていうくらいだから、カエルは食べられるのよ?」


「そ、それは! そうかもしれませんけど!」

「せ、せめて一言言ってくださいまし! こ、心の準備が……!」


「なーに言ってんのよ。サソリやタガメよりは見た目はマシでしょ」


 意外とおいしいけどね、サソリとタガメ。


「ま、参りました……サーチは私達の次元を遥かに越えています!」

「ワタクシ達の好き嫌いなんて、まだまだ甘いモノでしたのね……」


 ちょっと、何か悟った目で私を見るのは止めてくんない?


「……そんなこと言っちゃうんなら、とっておきを開けちゃうぞ」


 そう言って私は、シュールストレミングを取り出した。

サーチ、シュールストレミングはテロだよ?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ