表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
68/1883

第九話 ていうか、ギルドマスターがまともだった。

「「「「申し訳ありませんでした」」」……なんでワシまで……へぶぅっ!」


 まだブツブツ言ってるマーシャンの鳩尾に肘鉄をぶち込む。腹を抑えてピクピクしているマーシャンを横目に、ギルドマスターはため息をついた。


「もういいよ。賠償金も払ってくれたし……これで手打ちだ」


「お主少し貰いすぎではないかおぼっ!」


 かなりの額を自腹斬らされたマーシャンが絡むけど、今度はリルの後ろ蹴りが刺さる。股間を抑えてピクピクしているマーシャンは無視無視。


「なんじゃお主ら! 少しは老人を労らんか!」


 労って欲しければ老人らしい貫禄くらいみせなさいよ!


「エイミア! お主だけがワシの味方じゃ! どうかなぐさめてくれい……」


 そう言ってエイミアの胸にダイブするマーシャン。


「え……ひあっ! ……あ……あ……きゃああああああ!!」


「なんじゃ……ぎゃふっ!」


 ごすっごすっごすっごすっごすっごすっごすっごすっごすっごすっごすっご


「ちょっとストーップ! それはヤバいそれはヤバい」


 ……釘こん棒を握って肩で息をするエイミア。その足元には【スプラッタなので自粛】な状態で横たわるマーシャンがいた。

 …………生きてる……よね……?



 治療所に緊急搬送されたマーシャンを見送ってから、ギルドマスターとの会話に戻る。


「……先程のサーシャ・マーシャの言い様じゃあないが、もう少し優しく接してやってくれ……一応アレでもA級だぞ」


 そういえばA級だったわね。“飛剣”と同じってのが信じられないけど……。


「……いえ、私達も色々(・・)とされてますので……」


 そういうとギルドマスターはまたまた大きなため息をついた。


「あいつはまだ治ってないのか……だから誰ともパーティを組んでもらえんのだ……」


 ……何があったかは聞かずにおきます。


「それと……確か闇深き森(ディープフォレスト)へ入るための届け出に来たんだったな?」


 ……一度間違えて入っちゃいました、なんて言えない……。


「はい。あとダンジョンの詳しい情報なんかもあれば……」


「フム……わかった。まあ座ってくれ。どちらにせよ、話は長くなるからな」


 そう言ってソファに着席を促した。正直立ち疲れてもいたので、御言葉に甘えることにする。


「……で、闇深き森(ディープフォレスト)について聞きたいことは?」


「その前に! スーモサカのギルドマス」


「やっぱり言われると思ってたからそれ以上言うな頼むから!」


 ギルドマスターは半ギレで叫んだ。


「……ということはダリアさんと立ち位置は同じ?」


「あんな愚兄(汚点)への対応は誰だって同じだ!」


 何故か知らず知らずのうちに私とギルドマスターは握手した。そしてその上にリルの手が、そしてエイミアの手が重なる。

 ……こんなにも初対面で協調しあえるなんて……。


「……何してるんですか?」


 ……そんな協調性は入室してきた受付の女性の一言によって終わった。


「おほん! ……で、聞きたい事は?」


「一つ目は……マーシャンが……えーサーシャ・マーシャが言っていたんですが、ハイエルフの種族スキル≪森の恩恵≫が機能しない点について……」


「それについては解決法は見つかっている。冗談みたいな話なんだが……気合いだ」


 は?


「……気合い?」


「気合いだ」


「気合い?」


「気合いだー!」


「アニマル○口か!」


「は?」


 しまった、またやってしまった!


「なんでもありません」


「……? まあいいが……あのダンジョンの呪いは『スキルの阻害』でな。スキルを発動しにくくなる」


 確かに。≪偽物≫(イミテーション)を使おうとした時も、何故かイメージのしにくさを感じた。


「だがあくまで『阻害』だ。『無効』ではない。イメージをするスキルなら更に強いイメージを、動きが鍵となるスキルなら更に大きな動きを……という事だ」


 なーる。だから気合いなのか。


「≪森の恩恵≫のようなパッシブスキルは意識せずに発動するから、余計に阻害されやすいからな」


 よし、これでマーシャンのMPに関しては不安は無くなった。

 あとは。


「もう一つお願いします。なぜあの森にはモンスターがいないんですか?」


「は? …………いや、いるぞ。間違いなく出没する」


「え? そんなはずは……一切気配を感じない(・・・・・・・・・)のに……」


 そうなのだ。

 あの森で感じた奇妙な違和感は、モンスターの気配を一切感じなかったことなのだ。


「……ああ、そういうことか……」


 ギルドマスターは立ち上がり、近くにあった本を持ってきた。


「……これは闇深き森(ディープフォレスト)で確認されたモンスターをまとめた資料だ。よく見てみるといい」


 と言って渡された。

 何となくパラパラとめくる……さすがに森だけあって植物系のモンスターばっか……。

 ……あ!


「そうか……植物系モンスターは移動しないから……」


「そうだ。気配を感じられる植物系モンスターなんぞ怖くとも何ともないだろう?」


 植物系はひたすら待って近づいた時にパクッ! が基本だからね。イメージしにくい人には……あれよ、土管から飛び出してくる植物。あんな感じね。


「でもそれだけじゃない」


 え? もう少し読めってこと?


「あら? サーチ、後半のモンスターはゴーストが多い……」


 マジで? ……うわ、ホントだ。ゴーストに嘆きの御霊、噛み付き首に……げ、ゴーストメイジもいる。アンデッドも……一応いるか……。


「うわあ……だから闇深き(・・・)なのかあ……」


「厄介だな……ゴーストやアンデッドには気配すら無い(・・・・・・)からな」


「しかも物理攻撃はゴーストには無効……」



 ……また今回もエイミアとマーシャン頼みね……。

次回は温泉回です…多分。


食欲が戻ってきました…肉が食いたい肉肉肉ー!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ