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第一話 ていうか、着いた先は渋谷!? ちょうどハロウィンの真っ最中で、私達は運がよかった!

 ザワザワ


 マズい。非常にマズい。

 周りの人の服装、店内の内装、そして私達を覗き込んでいる人の髪の色。どう考えても……私の前世だわ。


「何、この人達……」

「変な格好してるわね……」

「外人さんじゃない?」


 ……うん、ここは逃げの一手だろう。私はけむり玉を取り出すと。


 ぼふんっ

「うわっ!?」


 地面に叩きつけた。


「げ、げほげほげほ!」

「急に煙が……!」

「か、火事かっ!?」


「ほら、みんな逃げるわよ!」


「え? え?」


「いいからいいから! 見つかったら大変なことになるから!」



 ラーメン屋から脱出して、近くの路地裏に駆け込む。幸い誰にも見られることはなかった。


「……〜っああもう! マーシャンがあんなもん残しておくから!」


「サ、サーチ、一体ここは? 何が起きたんですか?」


 ヴィーが周りをキョロキョロと………げえっ! 頭の蛇がウニョウニョと!


「ヴィー、すぐに冷凍ニット帽かぶって!」


「え? あ、はい!」


「それと外套と上着を外して。あとはこうして……うん、これで大丈夫かな」


「?? ……あの?」


「ナイア、あんたは……髪の色が目立つなぁ……仕方ないか」


「な、何なんですの?」


「とりあえず帽子を取ってホウキを隠せば、何とか街中を歩けるでしょ」


「?? な、何なんですの?」


 二人に事実を告げる。


「……落ち着いて聞いてね? 私達は……別世界に飛ばされたわ」


「「……はい?」」


「しかも……ここは私が転生する前に暮らしていた世界……ひらたく言えば前世です」


「「ええええええええっ!!!」」


 バカ! 声がデカい!


「静かにしなさい! この状態で見つかったら、大変なことに……」


「おい、今、女の子の声しなかった?」


 ぎゃああああああ!!


「この路地裏だぜ………あ、どうかしたのかな?」


 ………………え?

 私達を不思議そうに覗き込んできた男は…………吸血鬼の格好をしていた。



「おーい、どうした?」


 つ、次はゾンビ!?


「誰かいるのか?」


 あ、悪魔!?


「あれ? めっちゃかわいい子達じゃん! 君たちも渋谷にいくのー?」


 渋谷……にこいつらの格好……まさか。


「あの、今日って何日だっけ?」


「は? 何言ってんの? 今日はハロウィンじゃん!」


 な、何て幸運な……!


「ご、ごめんなさい! 私達、ここで着替えてる途中で……!」


「あ、そうなんだ! ゴメンゴメン!」

「だったらさあ、着替え終わったらオレ達といかねぇ?」


「い、いいですねえ〜。じゃあ着替えるんで、表で待っててもらえます?」


「わかった! じゃあ待ってる」

「イェーイ、こんなかわいい子達と同伴だ、めっちゃラッキーじゃん!」


 そう言って男達は路地裏から出ていった。


「……二人共、前言撤回! いつもの格好に戻って!」


「「あ、あの……?」」


「それとヴィー、聖術で暗示をかけられる?」


「はあ?」



「お・待・た・せ♪」


「「おお〜!」」


「悪いんですけど、全員こちらに来ていただけます?」


「いいぜ〜」

「何だ何だ、サービスしてくれるのか? ギャハハ」

 ドカバキゴン!

「「「ぎゃあああ!」」」

 バタバタッ


「よし! こいつらから財布をいただくわよ!」


「サ、サーチ、流石にそれは……」


「こっちの世界では金貨や銀貨は使えないんだからね! 今回は必要悪よ」


「必要悪って……」


「あったあった……チッ、シケてんわね」


「サーチ、こちらの殿方は何か紙を沢山持ってますわよ」


「お、万札じゃん♪ いただきいただき♪」


「……何か特殊な紙ですの?」


「ん〜……金貨みたいなもんよ」


「何ですって!? 全部いただきましょう」


「ナイア、ノリノリですね……」


「何を言ってるんですの! ここは異世界ですのよ!? 持つべきモノはきちんと持たないと、何が起きるかわかりませんのよ!」

「ナイアが開き直ってる!?」

「何言ってんのよ、ヴィー! 異世界に来たらたくましさがないと生きていけないのが、ラノベの常識なのよ!」

「何ですかラノベって!?」


 お金はいただいたし、めぼしいモノは以上かな……それと指紋も消して。


「……サーチ、手慣れてません?」


「盗賊から剥ぎ取るのと似たようなもんよ」


 ……よし、以上ね。


「じゃあヴィー、あとはお願い」


「はあ……≪初期化≫(リセット)


 聖術を用いて、私達と出会った辺りの記憶を消す。気がついたらお金が全て無くなっててビックリだろうけど、私達に声をかけたのが運のつきだと思って諦めなさい。


「さて、このまま街に紛れ込むわよ。ジロジロ見てくるヤツらには『ハッピーハロウィ〜ン♪』とか言って手を振ればいいから」


「は、はあ……でも私、頭出したままで本当にいいのですか?」


「大丈夫大丈夫、あ、でも蛇はあまり動かさないでね」


「わ、わかりました」


「じゃあ行くわよ」


 私達はハロウィンに賑わう街へと飛び込んだ。



「わ、私達と似たような姿の方達ばかりですね」


「ていうか、私達以上ね。まさかビキニアーマー姿の私が霞むとは……」


 なぜかくやしい。


「ずっとこの状態ですの?」


「いや、今日だけよ。だから早く普段着を確保しないと」


 ありがたいことに、今日ならこの姿で店に入っても咎められることはない。


「とりあえずあの店にいきましょう。ナイアとヴィーはハーフっぽい顔立ちだから、日本語がわからない雰囲気を出してね」


「「にほんご?」」


「あの看板のヤツ。読める?」


「「……無理です」」


 ヴィーとナイアは日本語の聞き取りには問題なかったけど、読み書きはムリだった。どうして会話ができるかは謎だ。


「じゃあいきましょう」


 そう言って私達は渋谷名物の三桁数字のビルへ入っていった。警察に通報するときの電話番号みたいなヤツね。



 私はともかく、ヴィーとナイアは店員さんのオモチャと化し、ビルを出るころには普通に渋谷のギャルとなっていた。


「す、凄い押しの店員さんでしたわ……」


 ハーフパンツ姿になったナイアは、少しお疲れ。


「でもチョイスはなかなか悪くないですよ」


 結構きわどいミニスカのヴィー、キャミソールから見える胸の谷間が艶っぽい。


「そりゃプロだからね。ていうか、普通に馴染んでるあんた達が不思議なのよ」


 私はデニムのホットパンツにキャミ、上着にGジャンを羽織っている。


「で、これからどうします?」


「まずは拠点よね。どこかに廃ビルでもあれば、ちょこっと改造すれば住めるかも」


 当然だけど、戸籍がない私達は部屋を借りることは不可能。やはり非合法な手段に訴えるしかない。


「それより、念話水晶は繋がりませんの?」


「ダメ。全く繋がらない」


 流石に向こう側でも何らかの手段は考えてくれてるだろうけと……。


「……無事に戻れたら、マーシャンは袋叩きね」

「私も参加します」

「ワタクシも」


 ……マーシャンが天に召される日も近い……かも。



 その頃。


「何て事をしてくれたんですか、マーシャンはぁぁぁぁぁぁ!!」

 どっかんどっかんどっかんどっかんどっかんん!

「ぎゃああああああ!」


 ……エイミアに袋叩きされていた。

明日はビキ殺は更新お休み。新連載の方の更新となります。

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