第六話 ていうか、エイミアのアイデアは如何か?
ゴオオオオオオ…………
ビュウゥゥゥン!!
「「「んぎゃあ〜〜〜〜〜!!」」」
…………。
どうも、サーチです。
……なぜこんなことになっているかと申しますと……。
ぜーんぶマーシャンのせいだったり……。
……。
少々時間を遡っての話になります……。
「か、か弱き乙女の顔面に膝をぶち当てるとはどういう了見じゃ!」
「自分でか弱い言うな! ていうか『乙女』いうには穢れ過ぎだっつーの!」
「け、穢れ…………う…………びええええ」
打たれ弱いな!
「サーチ! そこまで言わなくてもいいんじゃないんですか!?」
エイミアが割って入る。
「エイミアもマーシャンに散々穢されたでしょうが! 肩持つ必要ないでしょ!」
「け、穢され…………う…………びええええ」
あーもー! 収拾がつかない!
「サーチ……とりあえず黙ってろ」
……はい。
「あたしも穢れた…………う…………びええええ」
今度はリディアか!
「サーチ!」
「私は何もしてないわよ!」
私が泣きたいわ!
……しばらくしてようやく落ち着いた。
「ふ〜……まずはどうしようか」
「そうだな……魔法での脱出は無理。となると単純に進むか戻るか、だな」
ていうか、それしかないし。
「あの〜……」
きた。エイミアまたフラグたてるの?
「「………………」」
「な、何ですかサーチ! それにリルまで!」
「いや、エイミアがそういう切り出し方すると……」
「何か起きるんだよな……」
エイミアが悪いわけじゃないんだけどね……。
「も、もう! ならいいです!」
あ、拗ねた。
「か、可愛かった……」
リディアがぽ〜……としてる……ていうか、ホントにエイミアは好かれるわね。天然惚れ薬かっつーの。
「ごめんごめん。エイミアなんだった?」
「……………………言いますよ? いいんですね?」
「大丈夫よ、ドンと来い、よ」
何か起きること前提でいれば問題なし。
「ドンとって……まあいいですけど……」
そういうとエイミアは空を指差し。
「空から脱出すればいいんじゃないんですか?」
と言った。
「……………………エイミア……どうやって飛ぶのよ?」
するとただでさえ大きい胸を反らして。
「アブドラさんに頼みましょう」
…………うん、良い手だわ。
けどね。
「連絡とれるの?」
すると、ただでさえ大きい胸をブルン! と揺れるほど反らして。
「大丈夫です。念じるときちんと会話できます!」
……うん。大丈夫ね。
リルにも確認……大丈夫ね。
「エイミアお願いね!」
「…………私って信用ないんですね……」
信用云々の前に、エイミアはそういう星の元に生まれちゃったのよ……。
「信用してないわけないじゃない。エイミアは私の親友なんだし」
「! ……う、うふふ……」
エイミアはご機嫌になった。
……チョロいわ。
「アブドラさーん、聞こえますー? もしもーし」
こっちの世界でも「もしもし」って言うんだ……!
「なんだ、もしもーしって?」
……エイミアだけか。
「それよりさ、リル」
なんか身振り手振りしながら、アブドラと会話をするエイミアをみて。
「ヘタクソダンス」
途端にリルが吹き出した。
「おま……! 必死に我慢してたんだぞ……!」
あ、エイミアが睨んでる。私じゃないよ〜、リルだよ〜と指で示す。
「て、てめえ! 人に擦り付けびりびりびりぃ!」
エイミアの静電気がリルに炸裂した。意外と器用ねー。
「……じゃあお願いします」
あ、会話終わったみたいね。
「どうだった、エイミア……っそぃっ!?」
エイミアは私のところに来て釘棍棒を振り下ろした。危ない!
「サーチが何かしたの、ちゃーんと見てましたからね!」
……ホントに意外と器用ね。ていうかツッコミが激しすぎない?
「それより! 来てくれますよ!」
「ホントに!?」
エイミア大活躍ってなかなかないわよ!
「? ……何かサーチに殺気を抱いちゃったんですけど……?」
………………鋭いっていうか怖い。
「マーシャン! ちゃーんとエイミアに感謝しなさいよ!」
マーシャンは……あれ?
「リル、マーシャンは?」
「お……? さっきまでいたけどな……?」
「リル、リル」
ん? リディアが呼んでる?
「あそこだった」
……?
空を……指差してる……?
「うぎゃあああ! 離せ! 離すのじゃー!」
……アンギャアアアア!!
そこには。
リルを足で掴んで飛び回る子ワイバーンがいた。
「エイミア〜……どういうこと?」
「は、はい! ちょっと待ってください……」
エイミアがアブドラと会話を始める。
「……はい……はい……ええ……ええ……そうなんですか!?……」
……五分後。
「……サーチぃ……」
うん。嫌な予感しかしない。
「……どうだったの?」
「はい……アブドラさんが言うには、一番速く到着できるワイバーンに頼んだってことなんですけど……」
……ですけど?
「ちょうどそれを……巣から抜け出して……闇深き森で遊んでた子ワイバーンが聞いちゃって……」
……聞いちゃって?
「……マーシャンをおもちゃにして遊んでる訳です」
流石はエイミア。やっぱり何かが起きたわ。
「何故じゃー! なぜワシなんじゃー!」
アンギャアアアア!
「…………エイミア……あのアンギャアアアア! と会話できる?」
「ええっと……きゃっ! ……なんか叫んでるだけで会話になりません……」
……はあ、仕方ない。一応空を飛べるみたいだし。
「エイミア! あのアンギャアアアア! を静電気で落として!」
「はい! ……って、えぇっ!? いいんですか!?」
「私が責任とってアブドラに謝るから! 急いで!」
そしてリルを呼ぶ。
「なんだ?」
「リルはアンギャアアアア! が落ちてきたら角を掴んで操縦お願い!」
「はあ!?」
「リディアはアンギャアアアア! の背中に掴まりなさい」
「なぜだった!?」
ちょうどその時、エイミアの静電気がアンギャ……言い難いから縮めるか……に炸裂した。
ギャアア〜!
落下するアンギャ。
「ほら、急いで!」
「「は、はい!」」
全員言われた通りに行動を始める。
「エイミアも背中に乗って!」
「い、いいのかな……」
「急いで!」
「わ、わかりました!」
全員が所定の位置についたのを確認して。
「≪偽物≫!」
靴に鋼鉄を纏わせる。
そして!
「おしおキック!」
がいんっ!
アンギャの尻を思いっきり蹴飛ばす!
アンギャアアアア! ギャアア! ギャアアアアア……!
痛みに驚いて飛び跳ねる。
「リルっ!」
「どっっせい!」
リルが掴んでいた角を思いっきり捻る!
グギャアアア!
リルが捻った方向へ翔び始めた。
「ほら! もっとスピード出しなさい!」
がいんっ!
アアア! ギャアアアアア!
「ちょ! ちょっと! 速くなり過ぎ……!」
「わ、」「いやあ、」「きゃ、」
「「「ぎゃあああ!」」」
そして。
最初に戻ります。
「いやあああ! 降ろしてえ! 助けてえ!」
「うわああああ! シャレにならないニャ〜!」
「もう嫌だったーーーーーー!!」
「ブクブクッ……」
あ、リルがニャ〜ニャ〜言い出した。
あ、マーシャン失神した。
うーん、ちょっと過激なジェットコースターにしか思えない私がおかしいのかな……?
い、インフルだった…。
しばらく更新遅いかもしれません…。