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第五話 ていうか、リディアがマーシャンにマーシャンがモンタ師匠に?

「……で? どうするのコイツ……」


 ぶら下げたままのリディアをつつきながら、リルとマーシャンに聞く。


「ホーンピグ!」

「コカトリス!」


 ……それはいいから。


「要は仕返ししたいんでしょ?」


 二人とも頷く。だったら……。


「な、何だった……?」


 少し怯えながら答えるリディア。ペッタンコな胸をマジマジと見ながら、私自身の胸の谷間を強調しながら。


「……洗濯板だった?」


 と呟いてみた。


「うっがああああっ!」


 あ、めっちゃ怒った。


「なるほど……」


 リルもニヤニヤして近づく。大丈夫かな? リルも似たようなもの「ギロリ」……ごめんなさいごめんなさいなんでもありません。

 リルはリディアに近づいて脚線美を強調し。


「……大根だった?」


 と呟いた。


「ぬぎゃあああ! ぐぬぅぅぅ!」


 おお、さらに怒ったよ。


「ふむ……成る程のぅ。≪風撃弾≫(ウィンドバレット)≪雷光弾≫(エレキバレット)


 ぶちっ


 風魔法で紐を切り。


「あばばばばばしびれたたた」


 雷魔法で動きを封じる。

 そしてマーシャンはリディアを引きずって森へ消えていった。


「ねえエイミア」

「はい?」

「マーシャンってさ……テクニシャフガフガ」

「何を言いだすんですか!」


 エイミアが顔を真っ赤にして私の口をふさいだ。



 しばらくいろんな音や声がしてたけど……いきなり静かになったな。


「……見てみる?」


「はい……じゃないです! 見ちゃダメですよ! あ、ちょっと! サーチ!」


 艶事が苦手なリルは遠目で伺っている。


「リルも見るー!?」


「! …………ば、ばっきゃろー!」


 ……仕方ない。私だけで……。


「て、結局ついてくるの? エイミア」


「そ、そういうわけじゃありません!」


 んじゃどういうわけよ。


「しっつれいしまーす……あれ?」


「サーチ、どうしたんです? ……あら?」


 そこには。

 半裸に剥かれて一粒の涙を頬に垂らすリディアと。

 顔を散々に引っ掻かれてわんわん涙を流すマーシャンがいた。



「痛いのじゃ、痛いのじゃー!」


 傷の手当てをエイミアに任せて、私はリディアに清洗タオルを渡す。


「大丈夫?」


「………………はいでした」


 意味不明な返事ね……。


「ねえ、リディア。犬に噛まれた……と考えなさい」


「…………!」


 赤面したリディアは逃げるように去っていった。


 びいんっ


「あぎゃ」


 あ。顔から逝った。

 紐で縛ったっていうの忘れてた。


「で、リディアは盗賊なのね?」


「違った」


 過去形直せ!


「じゃあ何なんだよ!」


「あたし呪剣士だった」


 呪剣士ねえ……難儀な職業に……リルとエイミアは……知らないか。


「呪剣士とはまた難儀な……」


 さすが大年増マーシャン!


「……いま無性にサーチを殴りたくなった」


 ……私ってホントに顔に出てるのかな?


「まあよい……呪剣士とは呪われた武具(・・・・・・)しか装備できない剣士じゃ」


 デメリットしかない職業なのよね……。


「ただ呪いの影響を受けないからの。あの最“凶”の武器“死神の大鎌”(デスサイズ)すら使いこなせるであろうな」


 それは知らなかった!

 攻撃力は最高だけど一振りするだけで百人道連れにするって言われてる意味不明な武器を!


「でもお前、盗賊だろ?」


「だから違った!」


「じゃあなんで私のビキニアーマー盗もうとしたの?」


「あ……………………コン♪」


 コン♪ じゃねえよ。

 つーか実際の狐はコン♪ なんて鳴かねーよ。


「はい確定。このまま連れてって警備隊に突き出しまーす……はい多数決」


 リディア以外挙手した。


「はーい、民主的に可決されましたー。リディアには臭いメシ食っていただきまーす」


 盛大な拍手。リディア以外。


「悪かった! 悪かった! もうしなかった!」


 半泣きで叫ぶリディア。知るか。


「じゃあパンドラーネへ向けて出発!」


「「「おー!」」」



 ………………。


「……ねえ……」


「……なんだよ」


「……ここ……さっきも通ったわよね……」


「……ああ……」


 あれから三時間。

 ……これで四回目か。もう間違いないわね。


「リ・ディ・ア〜!」


「…………何だった?」


「あんたが≪化かし騙し≫(トリック)してるんでしょ!?」


「え……いにゃー! いひゃひゃっひゃ! いひゃひゃっひゃ! いひゃひゃっひゃ!」


 ……たぶん「痛かった」と言ってるのね……。


「サーチ、それは無いぞ」


「……なんで?」


「狐の種族スキル≪化かし騙し≫(トリック)は一日に一回しか使えないんだよ」


 え? 何それ?


「そんな制限あるの?」


「ありますよ。私の≪蓄電池≫(バッテリーチャージ)も魔術が一切使えないっていう制限があります」


 ……確かに。


「さっき使ってたんだろ? なら無理だ」


 じゃあ……どういうこと?


「……魔力溜まりが起こるほど魔気(マナ)は濃くない……まさかのぅ……」


 マーシャンが言ってることを加味すると……。


「あり得るとしたら……ダンジョン?」


「ダンジョンって……まさか!?」


 そのまさか……なのか。


闇深き森(ディープフォレスト)……」


 ここが……?


「……そうだった」


「リディア。いつから気づいてたの?」


「……一時間前だったギブギブギブだったー!」


「早く言いなさいよ!」


 思わずチョークしちゃった腕を緩める。

 とりあえず出ましょうすぐ出ましょう。

 え? 攻略しないのかって?

 し・ま・せ・ん!

 私達の目的はあ・く・ま・で……温泉!

 こんな厄介なダンジョンの攻略は勇者あたりがしてくればいいの!


「脱出よ!」


「「了解!」」


 よし! パーティの意志は一つ!


「マーシャン! お願い!」


 脱出魔法を……。


「……無理じゃ」


 …………へ?


「ちょ、ちょっと〜! 冗談は無しで……」


「冗談ではない。闇深き森(ディープフォレスト)のことは知らんのじゃな?」


 ……知りません。

 リルもエイミアも……知らないのね。


「はあ……事前に言うておくべきじゃったな」


 まさか……。


「魔術が……使えない?」


「……嘘……」


 エイミアが絶句した。

 ホントに……?

 絶望的な空気が辺りを包んだ……。


「そんなこわい魔術士殺しな場所があるわけなかろう!」


 ……へ?

 じゃあ……何なの?


「この森は瘴気が濃くての……ワシの≪森の恩恵≫が機能しなくて」


 ……。

≪森の恩恵≫がきかない……。

 まさか……。


「気づかずに浮遊しておったらMPがなくなってしまいブフォア!」


 ……私のライトニングソーサラーがマーシャンの顔面に決まった。

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