表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
577/1883

第十三話 ていうか、新しい髪型になったら、何故か忍者の集団に囲まれる?

 さーて……一休みしたし、もうそろそろ出撃しますか……。


「みんな〜、そろそろ行くわよ〜」


「うぃ!」

「よっしゃ! やったるか!」

「おてつだいおてつだい♪」


 ……あれ? エカテル?


「どうしたのよ。行くわよ」


「お、お嫁に行けません……しくしくしく」


「お嫁に行けなくても戦場には行けるわよ」


「それに天国にもイケるでがふぅぅ!」

「さっきまでイキまくりぐっふぉぉ!」


 余計なことを言うなっつーの!


「ここでジッとしてたって仕方ないでしょ?」


「うう……そうなんですけど……」


「………………命令。戦場(おしごと)へ行きなさい」


「は、はいい!」


 エカテルは立ち上がり、スゴい勢いで飛んでいった。


「……じゃあドナタは後方でお手伝いね。私達は前線に行くから」


「うん、きをつけてね!」


 ドナタは私にグータッチすると、手を振りながら走っていった。


「……ほな行こか」


 エリザに促されて歩き出したとき、念話水晶の呼出音が聞こえてきた。


「ん? 誰からだろ………リファリス?」


 エリザがピクンと反応したけどスルー。


『……あ、さーちゃん!? 大変なのよ! すぐに前線に向かって!』


「ちょうど向かってるとこだけど、何かあったの?」


『新手が現れて暴れてるらしいんだけど、かなり強いみたいでね。さーちゃん達で何とかしてもらえないかな?』


 ……ヘタにそいつらを放っておいて、前線をひっかき回されると厄介か。


「……いいわよ。ただし特別ボーナスを期待しちゃう」


『出しちゃう出しちゃう。ドーンと期待しちゃいなさい』


「あ、エリザは身体()支払ってあげて」


『もっちろんなのさ! じゃお願いね〜……』


「…………よし、まずはそいつらを片づけるわよ!」


 そう言って走り出す。


「ちょい待ち」

 ごきんっ!

「う゛っ!? な、何すんのよ! 髪の毛を引っ張らないでよ!」


 く、首が鳴ったわよ。イタタタ……。


「何でウチだけお金やないねん!」


「え、だって。お金よりリファリスに弄ばれたほうがいいんでしょ?」


「そ、そらあそやけど……まあええわ。ちょい座りや」


「え?」


「いいから座りや!」


 いつになく強引なので、私はその場に腰を下ろすことにした。するとエリザは櫛を取り出して、私の髪をイジり始めた。


「?? ……な、何ごと?」


「サーチん、髪がだいぶ伸びたやろ。戦うには邪魔ちゃうか?」


 ま、まあ確かに。いつもならとっくに切ってるんだけど、最近は忙しくて背中辺りまで伸びちゃったのだ。


「これをこうして、三編みをぐーるぐる……」


 ひ、引っ張られて痛いんだけど。


「こう纏めて……出来たで!」


 できたって……鏡がないからわかんない。


「サーチ姉、はい」


 リジーが鏡を貸してくれたので見てみると……。


「……シニョンかぁ。ずいぶんと手の込んだ……」


 髪の球の周りを、三編みにした髪がぐるっと回って………うーん………分かりやすく言えば、某騎士王の髪型。


「でも動きやすいやろ?」


「……まあ……ポニーテールだど顔に髪が当たったりするけど、これなら心配ないし……」


「ええやろええやろ。ウチの一番好きな髪型なんや」


 あんたの個人的好みかよ!


「自分でやればいいじゃない!」

「自分で出来へんからサーチんにやったんや!」


 ……確かに。エリザは肩に届かない辺りで切り揃えてるからねえ……。

 ちなみに、エカテルとドナタも可能だ。普段のエカテルはストレートのロングをそのまま流してる。ドナタはツインテールが定番だ。


「じゃあリファリスにやったら? 癖っ毛だけど髪は長いし……あ、でも金髪じゃないか」


「……何で金髪がええんや?」


 あ、しまった。つい某騎士王の印象が……。


「な、何となくよ。それよりリファリスにやってあげたら?」


「……それがなあ……リファリス様、シニョンをごっつぅ嫌がるんや」


「あ、そうなの。なら諦めなさい」


「そやからサーチんにやらせてもらうんや。拒否権はないで」


 え〜……まあいいけどさ。


「ええやん。一種のスキンシップやスキンシップ」


「そうだよ、サーチ姉。猿のノミ取りと一緒ぐへぇ!」


 エリザの無言の肘打ちによって、リジーは崩れ落ちた。あんた、少しは学習しなさいよ……。



 味方の間をすり抜けて、前線へと駆けつける。


「……黒っぽいのが仰山おるな。何やあれ?」


 どう見ても忍者にしか見えないんですけど!


「た、たぶんアサシンに近い連中だわ」


「ならエカテル姉のお仲間?」


「その可能性が高いわね。久々のアントワナの手のモノか!」


 短剣を作り出すと、さっそく一人目の首を斬り裂いた。


「ぐぎゃあああ……!」

「む、新手か! 散れ!」


 残りの五人が散開する。それに合わせてエリザとリジーが追い、私と黒っぽいのの一人だけが残ることとなった。


「……いいのか? お前達の仲間の方が数的に不利だぞ?」


 腕から金属製の爪を生やした男が聞いてきた。


「お生憎様。あれぐらいで負けるヤツらじゃないから」


「ふん。随分と仲間を信用しているようだが、あまり我らを舐めないでもらいたいな」


「あら、ナメられてるのがわかってたのね。正確な状況判断よ。誉めてあげるわ」


「……ふん、たかが冒険者風情で、我らに勝てるとでも?」


「勝てるとかどうとかって前に、アサシンが普通に真正面から戦うってこと自体、すでにダメダメじゃない」


「ふっ。我らが単なるアサシンだとでも? 我らニンジャの真髄、とことん味わわせてやるわ!」


 あ、ホントに忍者だったんだ。


「必殺、手裏剣ブレイク!!」


 …………は?


 キイン! ギギイン!


 ……わざわざ手裏剣投げる前に一言あるって、親切なんだかバカなんだか……。


「ぬ! 我が手裏剣ブレイクを弾いたか! ならば、必殺、毒々玉!」


 ぼふんっ!


 地面に玉を叩きつけると、紫色の煙が広がりだした。


「……あ、魔術士さん。≪風撃弾≫(ウィンドバレット)であの煙を吹き飛ばしてもらえます?」


「え? あ、はい」


 ちょうど後ろにいた魔術士さんに頼んで、毒の煙を吹っ飛ばしてもらう。煙は敵側に流れていき……。


「う! げほげほ!」

「ごほごほごほ!」

「く、苦しい……! がくっ」


「あああ!? 我が友軍がああ!!」


 ……バカだろ、こいつ。こんだけ人が密集してる場所で拡散型の兵器を使えば、味方も巻き込むのが道理でしょうが。


「お、おのれえええ! ならば最終奥義」


 ザンッ!


「……え?」


「戦士としては二流。アサシンとしては三流以下よ。同じアサシンとして見てるだけで不快だから、さっさと死んでちょうだい」


「…………無念……ぐぶっ」


 心臓を一突きされた三流アサシンは、口から大量の血を吐いて倒れた。


「サーチん、終わったで」

「以下同文」


 私の戦いが終了したころ、二人も戻ってきた。ケロッとしてるってことは、そっちもザコだったわけか。


「こんなの寄越すなんて、私達もアントワナにナメられたモノね」


 ……ていうか、あまりにも手応えが……。何となく気になって死んだアサシンを見てみると、何か淡い光をまとって………って、まさか!?


「みんな、逃げろおおおおおっ!」


 私の声に反応できた数人と、エリザとリジーだけが走り出す。それ以外はあっけにとられていた。

 私達が近くの沼に飛び込んだとたん。


 カッ!


 ……光が……広がっていった……。

別に次回からサーチが壊れるわけじゃありません。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ