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第十四話 ていうか、エイミア人気は人間に留まらず。

 堕つる滝(フォーレンフォール)の入口までアブドラが送ってくれた。


「ありがとう。助かったわ」


『『『滅相もない!』』』


「結構ムチャクチャなことしちゃってごめんね」


『『『いえ、当然のことをしたまでであります』』』


 ……どっかの軍隊みたいになっちゃった。


「あの〜アブドラ……」


『いえす、さー!』


 どこで覚えたの、それ!?


『もちろんサーチ殿より流れてきた思念よりぐはあぅえ!』

「勝手に読み取るなっつーの!!」



 なんだかんだで別れ際。


『エイミア殿』


 エイミアがアブドラに呼ばれた。


「は、はひ! なんででしょー?」


 ……まだワイバーンに慣れていないらしく声が裏返るエイミア。かわいい。


『貴女様の雷、我等の骨身にまで染み渡り……己の未熟を痛感いたしました』

「は、はあ……」


 顔にいっぱい「?」を浮かべてチラチラとこちらを見るエイミア……私達だって何がなんやら……。


『ここに我の折れた角で作った角笛があります』


 ……?


『何か困ったことがありましたらこの角笛を吹いてくだされ。我等それまで更なる修行に邁進し、必ず貴女様のお役に立ってみせましょうぞ』

『『『どうぞ、お受け取りください!』』』


「ひえっ!?」


 めっちゃ怯えた目で私達に「助けてくださ〜い」サインを出してるエイミア。

 ……仕方ない。


「受け取りなさい、エイミア。あなたにはその資格がある」


 必殺、エイミアに押し付けちゃえ! 言われたエイミアは涙目になりながらも。


「わ、わかりましたよぅ……」


 受け取った。

 ……何か昔似たようなシーンがあるゲームが……。

 確か緑竜……。

 ……やめよう。



 ちなみに。

 この時にエイミアは≪竜の絆≫というチートスキルを獲得したのだが……発覚するのはしばらく後のこと。



 そして私達はダウロに戻ってきた。

 まず行くとすれば。


「……ギルドじゃなく」

「「「温泉じゃ♪」だ♪」ですよね♪」


 ……ですよね〜♪

 まずは竜生館へ戻り。


「あらあらお帰りなさいませダンジョンはいかがでしたか云々」


 ……長いアリアさんの挨拶に疲れながらも。


 ガラッ


「イヤッホー♪」

「……のじゃ♪」


 ドボーンッ


 リルとマーシャンが露天風呂に飛び込んだ。

 私とエイミアはとりあえず待機。もちろんタオルでしっかりガードして。


「……やっぱり」

「……いましたね」


 ガラガラ……ピシャリ


 私達は部屋付きの小さな露天風呂に行くことにした。

 ……あいつら混浴って忘れてるみたいね。案の定、しばらくしたらリルのものらしいけたたましい悲鳴が旅館中に響いた。



 軽く昼食を済ませてから竜生館をでてギルドに向かう。


「次の目的地どうする?」


 歩きながらリルに聞く。


「私に聞かれてもなあ……ダウロ以外はあんまり知らねえし」


 ならマーシャンか。


「……ワシか? ならば最初から聞けばいいものを……」


 そう言って地図を取り出す。


「ここがダウロじゃな。こちらに行くと獄炎谷(フレイムキャニオン)じゃ」


 ……ハクボーンの近くね。


「で、こちらだと闇深き森(ディープフォレスト)じゃ」


 パンドラーネ! パンドラーネね。


「私は……気分的には……パンドラーネがいいわね」


「……すでに目的地が八つの絶望ディスペア・オブ・エイトではなくなっておるのぅ……」


「私もパンドラーネがいいです!」

「私も」

「……お主ら……」


 まあ、何はともあれ。


「……決定ね!」



 そしてギルドに到着。

 ここでマーシャンと別れ。


「ではワシは依頼の達成報告を済ませてくるとしようかの」


「じゃあ私達はギルマスに面会してくる」


 受付でダンジョンでのことを報告し、ギルマス……ダリアさんとの面会を申し込んだ。



 しかし。

 この時すでに。

 堕つる滝(フォーレンフォール)において深刻な事態に陥っていたことに私達はまだ気付いてなかった。



「お、お前たち!」


 ダリアさんが血相を変えて私達の前に現れた。


「無事だったのだな!」


 ………………すごく嫌な予感しかしない………………。


「……あの……何かあったんですか?」


「うむ……堕つる滝(フォーレンフォール)で異常な発光現象が観測されてな……」


 ……。

 エイミアじゃない!


「あの、それはエイ」


「それから異常な数の飛行系モンスターが集まってきておるのだ」


 ……。

 ワイバーンじゃない!


「あの、それはワイ」


「そして先程滝の真竜(アクアマスター)が現れた」


 …………へ…………?


「ダンジョンを守護する真竜(マスタードラゴン)の一柱、滝の真竜(アクアマスター)が現れたのだ……」


 げっ!

 それって!


「多分、正体不明の発光現象が引き金ではないかと……サーチ?」

「ま・た・あ・ん・た・か〜!」

「い、いいいたいいですぅ!」


 ギリギリと私のアイアンクローがエイミアの顔面に食い込んだ。


「おいおい、エイミアだけのせいじゃねえだろ。私達全体の責任だぜ」


 う、うぅ……確かに。

 私はエイミアを離した。


「か、顔が縮む〜!」


 ……仕方ない。

 自分達がしたヘマは自分達で処理しないと。


「エイミア、リル」


 二人を見て。


「……もう一度堕つる滝(フォーレンフォール)へ行くよ!」


 ……二人は頷いた。




あと数話で新章の予定です。

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