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第十三話 ていうか、私達もへし折られた。

 ワイバーンのくせに(しかも隊長)涙目で私達を案内してくれた。


「サーチぃ……この恨みぃ……忘れないですぅ」


 エイミアの目が据わってる。悪いことしちゃったなあ……ていうか!


「ちょっと待ちなさいよ! 実行犯はマーシャンじゃない! 何をされたかは知らないけど私ばっかり悪いわけじゃ……」


「……【自主規制】はしたのう……」


 ボソッとマーシャンが呟いた。


「あと【R15を逸脱】や【R18に該当】とか……」


 聞いてるこっちが恥ずかしくなる。そ、そこまでヤっちゃったの……。


「いや、でも私はそこまでは……」


「しかしワシはサーチから『何をしてもいい』と言われたんじゃが……」


 ……前話参照。


「サ~ア~チぃ……やっぱり貴女なんじゃない……」


 バチ……バチバチ……


 うわあ……エイミアが青く発光してる……何段階目かの何とか星人じゃないんだから……。


「……落ち着けって言っても」


「逆効果だな……まあ、自業自得だ」


 そう言ってリルが退散した。


「ちょ、ちょっとリル、助け……」



「超ド級せいでんき放射ー!!!」


 わあ……。

 ひかりが……広がっ

 じゃなくて!

 現実逃避してる場合じゃなかったああああ……「あぎゃはあああああああ!!」


 この時、堕つる滝(フォーレンフォール)から閃光が迸ったのを何人もの冒険者が目撃した、という逸話が残ることになる。



 半日ほど経過して。


「さ、ささあ、行く、わわよ」


 まだ痺れがとれないけど……。


「な、何でワシまで……」


「同罪です!」


 身体中を布地で擦って静電気を補充するエイミア。結局あまりにも全力で静電気を放出した結果。


 私、ノックアウト。

 マーシャンもノックアウト。

 ワイバーン()も巻き添えをくらいノックアウト。

 ……静電気を使い過ぎたエイミアもノックアウト……。

 唯一無事だったリルが、今まで介抱してくれたのだ。


「毎回毎回言ってるとは思うんだけどよ……」


 ジト目で睨むリル。


「……いい加減にしろ」


「「「ごめんなさい」」のじゃ……」



 いつもの如く大きく話が脱線しました。で、黒焦げになったアブドラの案内で横穴に到着。


『ここが先代の勇者が眠る「「そんなもんどうでもいい!」」……は?』


 私とリルは必死で辺りを探しまわっていた。


「危ないドラゴン! 温泉! 温泉はないの?」


『あ、危な……だから我はアブドラ』


「何でもいいから温泉をだせ! じゃないと……」


 爪に手をかけるリル。


「全部深爪してやるからな!」


『い、いやあああ! ご勘弁ををを! わかりました、わかりましたから!』


 ……ワイバーンが本気で泣く姿って、よくよく考えたら貴重よね……。


『こちらになります……我らワイバーンが傷を癒やすための薬湯ですが……』


 薬湯ね。これはますます期待が膨らむ♪

 そして胸も膨らむ♪



「ぃよっし! んじゃあ入るか!」


 温泉に到着していそいそと服を脱ぎ始めるリル。


「ちょっと待って! ……アブドラとその他」


『そ、その他って……』

『我々の扱いが粗雑すぎる……』


「あんたらオス? メス?」


『……哨戒部隊は全員オスだが』


 ……全員横穴から叩き出した。



「ふわあー。痺れた身体によく効くわ」


 さすが薬湯。全身に染みわたるわね〜♪


「成る程のぅ……温泉というものも悪くないわぃ」


 マーシャンは完全に湯治のおばあちゃん化してるし。


「薬湯って香りがいいですね〜……癒やされます」


 さっきまで怒り気味だったエイミアも蕩けている。


「……大きくなった……なってるはずだ……」


 ただ一人、必死の人がいるけど。



 結論から言って。

 巨乳には……ならなかった。

 ちょっぴりだけ大きくはなったけど。


「フフフ〜ン♪ Dはいったかも♪」


 ビキニアーマーが少しキツくなってご機嫌な私と。


「うがああ! 何故だ! 何故なんだあ!」


 ……AAからAへの進化に留まったリルは頭を抱えていた。



 そのまま横穴の入口へ行くと。


『あ、湯、湯加減はいかがでしたか?』


 ……すっかり牙もプライドもへし折られたワイバーン一行がヘコヘコしていた。


「…………はい、湯加減は最高でしたけど……」


 まだ頭を抱えるリルをチラッと見て。


「思ってたよりも……効果が薄いと言うか……」


『……なんですと? それはおかしい……おい、お前!』


 アブドラがワイバーンの1匹に指示を出し、薬湯を調べてきた。

 結果。


『隊長! 薬湯の成分がほとんど(・・・・)変化しています! おそらくは先程の雷の影響かと!』


 ……。

 ……。

 ……てことは……。


「エイミアアアアアアア!!!」


 こそこそと逃げ出そうとしていたエイミアを捕まえ。


「わ、私だけが悪いわけじゃないです! サーチがあんなこと」


「わ・た・し・が何だって〜?」


 素早くエイミアの足に私の足を絡ませ。


「天誅ー!!!」


「いっっったああああい! ごめんなさいごめんなさいやめて緩めていったああああい! いやあああ!」


 ……ザ・グレネード・モンタ師匠の得意技、足4の字固めがガッチリ(・・・・)極まった。

 ちなみに、薬湯が元の効果を発揮できるようになるためには百年くらいかかるそうです……。



「さて……目的もへし折られたし……帰りましょうか」


 ついでにエイミアの足もへし折ってやろうかと思ったけど……やめた。


「あ、あの〜」


 エイミア……。


「また変なフラグたてないでよね!」


「ふ、ふらぐ?」


 しまった。


「何でもない何でもない」


「……古代語か……」


 リルが呟いた。たまーにカタコトで言ってるわね……前にも「おーけー」とか言ってたし。


「で、何? エイミア」


「あ、はい。あの薬湯に埋め込まれた石ですけど」


 ……そんなのあったっけ?


「赤から青に変わってましたよ」


「どうでもいいわ、そんなこと……さ、帰りましょう」


『ならば我らが送ってやろう』



 あとから。

 石の色が変わったことをちゃんと見てたエイミアに皆感謝することになりました。

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