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第十五話 ていうか、銃の製作を開始したんだけど、なかなかうまくいかない。

「うーん……」


「……最近よう頭捻ってんな。また考え事なんか?」


 アレックス先生との話し合いが終わってから、私は銃身の具体的な設計を始めた…………んだけど、やっぱりうろ覚え。細かい箇所はさっぱりわかんない。


「……ヘタに手を抜くと暴発するし……そうなると私の命が危ないし……あ〜! わかんないわかんない〜!!」


「あーあー。何を頭グシャグシャにしてんねん。頭皮が傷むで」


「わかってるわよ! だけど巨乳とビキニアーマーのためなんだから! 私の野望を叶えるためなんだから!」


「……まあ、ええんやけどな。その前に、頭皮のケアもしっかりやっとき。巨乳でビキニアーマーでも、ハゲてたらシャレにならへんで」


 うっ!


「ほら、養毛ポーションとマッサージ用のヘアブラシ置いとくで〜……お休みぃ」


 そう言ってエリザは自分の寝袋に入っていった。


「う〜……絶対に完成させてやるんだから!」


 ポーションをつけて頭をヘアブラシでトントンしながら、再び設計に没頭した。



 (注! ヘアブラシでの頭トントンは、逆効果ではないか、との説もあります。自身で試される際は、自己責任でお願いします!)



「ふあああ……おはよ〜、サーチ姉………あれ?」


「く〜……うへ、うへへへ……エイミア、見たか! あんたより揺れる胸……うへへへ……」


「サーチ姉……机で寝てる……」


「遅うまで頑張ってたみたいやで、そっとしといたり」


「あ、エリザおはよう」


「ああ、おはようさん……それにしても、何やこれ? けったいなモン書いてるで?」


「えっと……筒に取っ手? 丸っきり理解不能」


「これでどうするんやろな……?」



「う〜……頭がガンガンする……」


「おはよー! さーちん!」


「おはよう………カナタちゃん?」


「ちがう、そなた!」


「あ、ソナタちゃんか。ごめんごめん」


 やべ……完全に寝ぼけてるわ……。


「ねえさーちん、あたまをなんでたたいてるの?」


「あ〜……あんまり気にしないで」


 何かやり出すと止まらないのよね……。


「さーちん、いたいのすきなの?」


「いや、そういうわけじゃ……」


「もっといたくしたいんならさー、はんまーでやればいたいよ。ごんごん、ごんごんって」


 死ぬわっ!


「ごんごん、ごんごん! あはははは! かたいから(・・・・・)すごくいたいよー!」


「だから死ぬって……………ん? 硬い?」


 ……そうか。こっちの世界はファンタジーだったんだ。なら、向こうの金属の硬さは基準にしなくてもいいんじゃ?

 それにミスリルやオリハルタイトだってあるじゃない! それだったら、強度としては申し分ないんじゃ……!?


「あれー? さーちん?」


「ありがとうソナタちゃん! あなたのおかげで閃いたわ!」


「???」


「お礼に今度の訓練は集中的にビシバシやってあげる!」


「そ、それはおれいじゃないよ〜……あ、あれ!? さーちん? さーちんったら! あーあ……いっちゃった……くんれんやだなあ……」



「細部のわかんない箇所をオリハルタイトで補強して……全体はミスリルにして……よし、≪偽物≫(イミテーション)!」


 羽扇を基点に金属が広がっていき、やがて一丁のライフルが出来上がった。


「ををっ! 初めて作ったにしては上出来じゃん!」


 弾を作るのは難しかったので、今回は火縄銃みたいに丸い弾を使う。さて、火薬を詰めて……。


「あとは着火すればOK。今回は火打石で代用して……」


 銃を中心として、私を覆える程度のミスリルの盾を作る。暴発したら怖いしね。


「それじゃあいくわよぉ! 発射(ファイア)!」


 ガチンッ!

 …………………。


 ……あれ?


「ふ、不発!? 何で………あ、そういえば火薬代わりの燃焼石って、魔力に反応して発熱するんだっけ」


 なら火打石はいらないわね。撃鉄の先に魔力を集中して……!


「いっけええっ! 発射(ファイア)!」


 ガチンッ! ズギュウウウン!


 いよっしゃああああっ! 成功じゃああ!


 ……バタバタバタ!


「何や、今の音!?」

「凄い音がした! 何事何事!?」


 あ、びっくりして二人が出てきた。


「やったわ! 対大王炎亀アレキサンダー・タートル兵器が完成したわよ!」


「「……へ?」」



 疑う二人を納得させるために、もう一度発射してみせる。


 ズギュウウウン!

 ビシッ!


「どうよ!?」


「凄い音。この音で仕留めるの?」


 違うっっ!


「今、筒から何か飛び出したんやない?」


「そう! わかった!?」


「あの木に当たったで。結構な威力みたいやけど……」


 弾が当たった木を確認して、エリザはため息をついた。


「あかん。この木を貫けんようでは、大王炎亀アレキサンダー・タートルを貫くんは絶対に無理や」


「……そっか〜……そうだよね……がくっ」


 ……せっかくうまく発射できたのになあ……。


「でも改良の余地はあるんちゃうか?」


「マジで!?」


 エリザは木から弾をほじくり出して確認する。


「丸い形やなく、流線型にした方が貫通するんやない?」

「それと、弾を大きくしては? 重量が増えれば、貫通力もあがると思われ」


 ……流線型で……大きくかあ……。土管潜りが好きなおじさんが主人公のゲームで、あちこちから飛んでくる大砲の弾みたいなヤツか。


「よし……大砲を作ってみるか!」

「……しゃあないな。ウチも手伝ったる」

「私も手伝う」


「え、いいの?」


「今のところ、その筒が一番可能性がありそうやしな」

「同意」


「ありがとう。なら、エリザは……」


 軽く形をメモって渡す。


「直径がこれくらいで、さっきエリザが言ってた通りの流線型の弾を作ってもらってほしいの」


「ええで。鍛冶屋をしらみ潰しにあたるわ」


「リジーは燃焼石の調達を。なるべくたくさんお願い」


「わかった。なら直接、採掘場で買ってくる」


「なら私は設計図を書くわ。二人ともお願いね!」


「まかしとき!」

「らじゃあ!」



 ……三日後。


 ……ダダダダダ! バアンッ!


「サーチん、出来たで!」


「……エリザ、ありがたいんだけどさ、もう少し静かに入ってこれない?」


「堪忍してや。それよりも、ほれ。サーチんの注文通りの出来やで」


 どれどれ………うん、形といい、重さといい、全く問題無し。


「よく作ってくれたわね」


「流石はドワーフや、難しい条件な程燃えるらしいで」


 なるほど、ドワーフか。


「で、量産はできそう?」


「もう型はあるから大丈夫や、って言うてたで」


 よし、あとは燃焼石があれば……。


「サーチ姉、こんな感じでおk?」


「お、おおお! いいじゃんいいじゃん!」


「……何や、その筒?」


「この中に粉状の燃焼石を詰めてあるの。で……」


 リジーが持ってきた筒の前に、エリザが持ってきた弾を置く。


「この筒が爆発して、その衝撃波が弾を押し出すってわけよ」


「サーチん、肝心の大砲はどうなったんや?」


「もちろん完成してるわよ。見てなさいよ〜……≪偽物≫(イミテーション)!」


 さっき完成した設計図をイメージして、ミスリル製の大砲が形作られる。


「「す、すげえ……」」


 ふっふーん。カッコいいでしょ?

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