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第十話 ていうか、今度は入口がわかんない。

 ドドドドドドドドド……


 ……。

 鳴り響く大瀑布。

 大量に落下する水が空気中に舞い上がって霧を発生させる。あまりの湿気で周りの岩には無数の苔が繁茂している。大量の水蒸気は辺りの天候にすら影響を与え、時に激しい豪雨をもたらす。それによって豊かな森林が覆い茂る。そして多種多様な生命が育まれるのだ。

 ……。

 たぶん、すごく雄大で……見応えのある絶景なんだろうな〜……。

 滝を真上から(・・・・・・)見下ろしてなければ……。



 少し前のことです。


「流されるでないぞ〜滝に落ちれば木っ端微塵じゃぞ〜」


 風魔法で浮いてるマーシャンが鼻歌まじりで言った。気楽なことで……。

 私達は今、“八つの絶望”ディスペア・オブ・エイトのひとつ、堕つる滝(フォーレンフォール)に向かってる。 ……向かってるはずなんだけど……。

 なんで私達は川の中を必死に滝へ(・・)進んでるんだろう?


「仕方なかろう。入口は滝壺にあるんじゃから」


 わかってはいるんだけどね〜……。


「エイミア! ほんと気をつけろよ! またパニクって放電すんな!」


「わ、わかってますよ〜……信用してくださいよ〜……」


 ……すでに二回放電した人を信用できるわけないでしょ……下半身水に浸かってるんだから頼むよ……。


「ひえ!? あ、足に何か絡みついて……!」


 あー、早速騒ぎ始めてるわね。


「エイミアちょっと待ってろ! 私がとってやるから!」


 もう電撃は嫌だ、と顔に書いてある。まあ私も同じだから手伝うか。


「はいはい、ちょっとごめんね」


「きゃっ!」


 足を探るためにエイミアのローブをめくり上げる……ピンクか。


「ちょっと待て……よし、捕まえた」


 リルが水から手をあげると……なんだウナギか。


「リルよく捕まえたわね〜……ヌルヌルしてない?」


「コツがあるんだよ。これ捌いて串焼にするとなかなか」


「ホントにウナギなんだ……」


 あ、そういえばエイミアのローブめくり上げたままだったわ。


「エイミアごめ〜ん……エイミア?」


 エイミアの髪の毛が逆立ってる……逆立ってる?

 や、やばい! これは!


「へ、蛇……!?」


 エイミアは蛇嫌いだったんだー!


「へびぃぃぃぃやあああああああぁぁぁっ!!」

 ばりばりばりばり!

 ずどおおおおん!

「んきゃああああああ!!」

「んががががががががががが」

「なんでワシまでえええええええ!?」


 何気なく足を掴んで巻き添えにしたマーシャンも痺れる。痺れて動けないリルがエイミアの足をさらって巻き添えにする。

 そして。


「「「「ぎゃあああああ!!」」」」


 そのまま滝壺へ消えていった……。



 BAD END



 ……何てことはならずにギリギリ岩に掴まった。


「み、みんな大丈夫?」


 痺れる身体に鞭打ってエイミアを引っ張り上げる。


「びえぇぇ! ごめんなさい〜」


「いいからいいから」


 あとリルも泳げないんだっけ。どこに……。


「ふい〜……ひどい目にあったわい……」


 あ、いた。浮いてるマーシャンがぶら下げてる。


「こりゃサーチ! よくもワシを巻き添えに……」


 リル……気絶してる。

 電撃のせいか溺れたせいか……。


「聞いておるのか! ワシ怒っているんじゃぞ!」


「あーはいはい……何とか辿り着いたけど」


 ドドドドドドドドド……


「……これ降りるの?」



 で。

 一番最初の状態に至ったわけです。


「マーシャン。魔法で調べられないの?」


「無理じゃな。普通の滝ならともかく……こうも広いとMPがもたん」


 ちなみにナイアガラの滝より広いです。


「入口って何か特徴ないんでしょうか?」


「すぐわかるって」


 言ってたけど……。


 ドドドドドドドドド……


 ……。

 ……わかるか!


「初心者御用達なんだろ? 立て看板くらい」


「「どこに?」ですか?」


「くっ……エイミアにまでつっこまれちゃあオシマイだぜ……」

「どういう意味ですか!?」


 エイミアは完全にボケだもんねー。


「フッフッフッ……」


 ……マーシャン……。


「えい」


「ん? ふぎゃあ!」


 こっそり“逆撃の刃”(ストークウィング)を投げてマーシャンを叩き落とす。


「いいいきなり何をする!?」


「マーシャン……何か知ってるわね」


 顔色が一気に変わる。顔に出過ぎよ。


「なななな何の事か」


「エイミア〜≪電気拷問≫(バッテリーチャージ)


「……たまにサーチの言い方違和感がありますが……えい」


 妙にするどいのよね。


「あばばばばばば! し、痺れしびしびしび」


 お、おもろい。


「はあはあ……知らぬ」


「も〜しぶといなー……リル、しっぽ」


 リルが普段はしまっているしっぽを出した。


「しゃあねえな」


 しっぽがマーシャンの脇に入っていき。


「ん、あ、何を……ひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!」


 リルの得意技、しっぽによるくすぐり拷問。


「あっははははははは! や、やめいひひひひひ!」


 これもおもろい。


「はあはあはあはあ……し、知らにゅ」


 く……仕方ない。


「私の出番ね」


「な、何を……」


 私は紙の先を細く丸めたものを持った。


「……ふふふーん♪」


 ……マーシャンの耳に。


「……口から嬌声♪」


 突っ込んだ。


「あ、は【R15を超えた声を出したため自主規制】ん!!」



「はあはあはあはあはあはあ……参った……」


 ふ、勝った。


「はあはあ……滝壺全体が……はあはあ……入口なんじゃよ……」


 随分だだっ広い入口ね……まあどちらにしても。


「飛び降りるしかないのね……」


「「えぇ〜」」



 やっぱり最後までかかったのはエイミアだった。

 ……仕方なく叩き落とした。

明日ちょっとオマケを含めて2つ更新します。

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