表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
484/1883

第十六話 ていうか、名物の温泉回! 暗黒大陸で最初の温泉で、親睦を深める!

「うわ〜〜〜〜〜!! 大自然が広がる背景に、沸き上がる湯気! それを照らす、揺らめくランプの灯がなんとも……! いやっほうぅぅっ!」


 ざばあんっ!


「くぅ〜〜〜〜!! 疲労の溜まった肉体に染み入る温泉……あー、サイコー! あー、生き返る!」


「……ホンマや。サーチんの脱衣(ぬけがら)を拾っていったら、温泉に着いたわ」


「サーチ姉の温泉愛は度を越してると思われ」


「……リジーの呪いオタクよりは実害はないやん」


 お、来た来た。


「やっほー♪ めっちゃ気持ちいいから、あんた達も入んなさいよ」


「何やサーチん、めっちゃ蕩けとるやん。普段の様子からは想像できへんな」


 ……メイドフォルムのあんたを知ってると、普段のあんたが想像できないのと同じよ。


「ほらほら、入りなさいって」


「……そやな。ええ加減、清洗タオルも飽きたしな」


 そう言ってエリザも脱ぎ始めた。意外と抵抗ないみたいね。


「ほな、失礼〜〜」


 着ていたモノ全部魔法の袋(アイテムバッグ)に放り込むと、足先を恐る恐るお湯に入れる。


「何をみみっちいことしてんのよ。サッと入りなさいよ、サッと」


「あ、熱いお湯にいきなり浸かるんは身体に良うないんや! 順番にゆっくりやな……「あ、そーれ♪」ってわわわっ!?」


 ざっぱあああん!


「ブクブクブク……あっちいいいいいっ!! な、何や、滅茶苦茶熱いやん!」


「そりゃ源泉掛け流しだしねぇ…………ん〜、バランスはヴィーが上。胸の大きさはエイミアが上。脚線美はリルが上。けどヒップはエリザが一番♪」


「ひ、人の身体を品定めせんといて! ウチの身体はリファリス様のモンや!!」


 おーおー、純愛一直線だねえ。


「でも残念。リファリスって完全なおっぱい星人よね?」


 それを聞いた途端にエリザがシュンとなった。あらら。


「そうなんや……リファリス様はエイミアみたいなんが一番の好みなんや……。何でこんなけったいな脂肪の塊なんか「ちょっと表に出ろや」ひえ!? か、堪忍して!」


「全く……! 大きさも形も悪くないのに、なんてぜいたくなことを言うのよ!」


「お、大きさはともかく、形や色はサーチが一級品やん。ウチはその方が羨ましいで」


「…………そうね。エリザは先がやや茶色「張り倒されたい?」……冗談です冗談です」


 でも大きいのには憧れる。無いモノねだりってヤツなのかな。


「……あ〜あ。肩凝りがひどくなるくらいの大きさになってみたいわ」


「ふぁ!? な、何で急に触るんや!?」


「いや、どれぐらいの重さかと……ん?」


「…………」


 ……妙に赤いわね。温泉浸かってるから、ってだけじゃなさそう。


 さわっ

「ひあ!」

 さわさわっ

「へぅ!? ちょ、ちょっと止め」

 きゅっ

「あひゃああ!」


「艶っぽい声ださないの。あんた、胸が一番弱いんだ?」


「や、やかましいわ!」



 ……そんなガールズトークが一段落すると、次は暗闇での戦闘の話題になった。


「ウチやリジーは夜目はバッチリやけど、サーチんは大丈夫なん?」


「大丈夫じゃないわよ。私は鳥獣人とのハーフらしいから、あんまり暗いとキツいわ」


「鳥目で戦えるん!?」


 鳥型のモンスターは鳥目が理由で、夜間には遭遇しないぐらいだからね。


「完全な鳥目じゃないから。それに気配を探れば問題ないわよ」


 私自身、夜目がキツいことはわかってた。だから子供の頃から、目隠しをしての戦闘訓練も日課としていたくらいだ。あれよ、鬼さんこちらってヤツ。


「け、けど地形は? 着地した先で躓いて転ぶ、とか致命的やで?」


「普段から足元は気にするようにしてる。この大陸に入ってからは、歩いた場所の細かい地形は必ず記憶してるわ」


「す、凄いやん……」


 そう? 前世の経験の賜物かな。


「エリザの場合は、広い視野を活かした戦い方が得意よね。全く視線を向けずに攻撃するから、敵も受けづらそうだし」


「そうや。リファリス様に特訓して頂いた際に身に付けた奥義で、名前は『鹿斗の舞』や」


 ……シカトね、なるほど。


「ていうか、なんでエリザっていちいち技の名前付けるの?」


「技の名前? ああ、奥義かいな? あれは元々三盾流の奥義や。ウチが名前付けたわけやないで」


「え? 三盾流ってエリザが勝手に名乗ってるわけじゃないの?」


「失礼やな。三盾流は二千年以上の歴史を誇る、由緒正しき流派やで?」


 ……二千年も前から盾をぶん回してたのか。


「そ、それじゃ鹿斗の舞も?」


「そうや。ウチと同じカメレオンの獣人やった先々代が編み出したんや」


「それ、日常的にできるようにしたら?」


「日常的に?」


「そう。普段から気をつけてるだけで、技の熟練度は相当上がると思うわよ」


「つまり慣れろって事やな。おおきに、早速やってみるわ」


 奥義って言うより、技術って言った方がしっくりくるわね。


「……くしゅん!」


 ん? 今のはリジー?


「何よリジー、あんたまだ入ってないの? さっさと入りなさいよ」


「だ、だって。ここ、外だよ?」


「当たり前やん。外にあるから露天風呂なんやで?」


「そ、そうなんだけど……」


「何をモジモジしてんねん……」


「エリザ、リジーは肌を見せるのが苦手なのよ」


「ああ、成程。やからいっつもフル装備なんやな」


 そう言うとエリザは立ち上がり、露天風呂から出る。そのままリジーに近づいていった。


「う、うわあ……エリザ、大胆……」


「大胆って、ウチらは女同士やで? 別に見られたかてどうって事ないやん」


「そ、そうなんだけど……」


 仕方ない、私も出て……。


「こういうときは強制代執行よ」


「な、何やて?」


「要は……剥くのよ!」


「え、ちょっと!?」


 早速脱がしにかかる。


「ほらほら、ジッとしてなさい!」

「いーや! 嫌々々々々々……」


 ……くっ! 今回は手強い……!


「エリザ、手伝いなさいよ!」

「エリザ、助けて!」


「な、何でウチに同時に声をかけるんや!?」


「うだうだ言ってないで手を貸しなさい!」

「うだうだ言ってないで助けて!」


「そ、そう言われてもやなあ……」


「リファリスの恥ずかしい過去を教えてあげるから!」


「リジー、裸の付き合いは重要やで」


「裏切られた!?」


「エリザ、下をお願い! 上は私が何とかするから!」


「任せとき!」


「裏切った上にノリノリ!?」


 二人係りで剥き、両手両足を拘束したまま連れていき……。


「サーチ姉、自分で入れるから!」

「「せーの、ポイ!」」

「ひああぁぁ……」

 どぼおおおん!


「がぼぼぼ……ぶはあ! ら、乱暴過ぎだと思われ!」


「乱暴過ぎないと入らないでしょ。ほら、パーティの親睦を深めるわよ」


「……はーい」



 ……そんな私達を見つめる視線に、このときは気づかなかった。不覚。

覗き?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ