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第四話 ていうか、ついに見えてきた暗黒大陸。

 二日後、眼下に巨大な陸地が見えてきた。規模的にも距離的にも間違いない。これが……暗黒大陸。


「何や、夜になっても大陸の輪郭が見えるんやな。ちっちゃい光の点でようわかるわ」


「エリザ、あの点は民家の灯りだからね?」


「ええええっ! あんな点々が!? はわわわわ……ウチら、凄い光景を目にしてるんやな」


 ……そっか。この世界でこの高度って、魔術でも難しいらしいもんね。


「はははは! 見ろ、家が虫のようだ! はーっはっっはっは!」


「!? リ、リジーはどうしたん?」


「……ま、定番だし、ギり大丈夫だろうし……放っておきなさい」


「は、はあ……」


「ねえシロちゃん。今って何時くらい?」


『現地時間で午後一時半くらいです』


「「「…………はい?」」」


『な、何か?』


「……午前の間違いじゃなくて?」


『いえ、間違いなく午後です』


 ………。


「ウッソやああん! これで午後やなんて、ありえへんありえへん!」

「シロちゃん、一度メンテナンスを受けるべきと思われ」

「ああ、そうや! ウチらが散々暴れて、城にダメージを与えてもうたのが悪かったんやな! 堪忍してえな!」

「今すぐに自己診断プログラム起動を推奨」


 ……あーあ。せっかくシロちゃんの機嫌が直りかけてたのに……手がプルプルと震えだしてる。


「は! リファリス様なら何か妙案があるかも! 今すぐ念話しようそうしよう!」

「エリザ、それはあなたの願望と思われ」


 意外とこの二人って気が合うのかしら。リジーも珍しく「姉」を付けないし。

 ていうか……そろそろシロちゃんが爆発しそうね。退避、退避〜。


『あ・な・た達はぁぁぁぁぁ!! 私の事を何だと思ってるのですかあああ!!』

 どんがらがっしゃあああん!

「「ぎいああああああああああっ!!」」


 ……ま、シロちゃんの怒りがおさまるまでブレイクしますか。ま、私の休憩(ブレイク)中に破壊(ブレイク)が進行するんだけど。



「……でさ、真っ昼間でも夜ってどういう事?」


 ボロ雑巾と化した二人をゴミ箱に放り込んだシロちゃんは、私の問いに首を傾げた。


『さあ……私もこの辺りに来たのは初めてですので』


「この辺りの緯度はわかる?」


『い、いど? 水を汲むのですか?』


 あ、わかんないか。


「えっと……かなり北の方になる?」


『いーえー。かなり南の方です』


 ……ってことは極夜ってことはないか。なら……超有名RPGのラストステージ的な?


「まさか……ずっと夜ってこと?」


『え!? それは流石に無いのでは?』


「シロちゃん、暗黒大陸の上空に何か魔力的要素は感じられない?」


『ま、魔力的要素ですか? 少し調べてみます……』


 シロちゃんが探知に集中している間に、ゴミ箱をひっくり返しておく。お、大体回復してるわね。


「どう? シロちゃんお手製の回復ポッドは?」


「……すんごくよお効くわ。けどな……何でゴミ箱型なのか、理解に欠けるわ……」


「ん? 私のリクエスト」


 ヴィーの離脱で、パーティから回復役がいなくなった。正直これは痛いので、何かいい案がないかと……シロちゃんに相談したことがきっかけで、出来上がったのがこれ。瀕死の状態でも約一日で元通り、という優れモノ。欠点は大きくてかさ張る点だけど、魔法の袋(マジック)のある私には何の問題もない。


「いやいや、怪我する度にゴミ箱に放り込まれるのは、相当問題あると思うで!?」


「最初はお風呂型を考えてたんだけどね〜……」


「そうや、その方がよっぽどええわ! 何でゴミ箱に流れたん!?」


「簡単。持ち運べないから」


「………………ああ、成程な。現実的な理由なんやな。でもゴミ箱型にする必要はないやろ!?」


「ん? 趣味」


「しゅ……! サ、サーチんはゴミ箱に入るのが好きなんか!?」


「私じゃないわよ」


 そう言って指差した先を、エリザが視線で追う。


「んう……快適……」


 ……そこには、ゴミ箱の中で丸まるリジーがいた。ゴミ箱型にしたのは私の気まぐれだけど、まさかリジーが気に入るとは思わなかった。


「…………もっと理解不能や…………」


 ……ちっちゃい子って、狭い路地裏とか押し入れとか好きだけど……似たようなモノかな?



『……大変です! 大変ですマイマスター!!』


 ゴミ箱から出てこないリジーに四苦八苦していると、血相を変えたシロちゃんが飛び込んできた。


「ど、どうしたの? シロちゃんがアオちゃんになってるわよ?」


『マイマスターの言ってた通りです! 大陸の上空に、とんでもない規模の魔力溜まりがあります!』


「それが……太陽の光を遮っているのね?」


『おそらく。勿論、それだけではないと思いますが』


「……何や何や。穏やかな話やあらへんな。暗黒大陸ってのは文字通りって事かいな。そんなん洗濯物の干しようがないやん」


「って、まず洗濯の心配かよ!」


「そらそうや。ウチはメイドやで?」


 ……あー、そうでしたね。すっかり忘れてたわよ。


「でもずっと夜となると、普通に移動するだけでも大変ね。ランプだけじゃ心許ないか」


「なあサーチん。郷に入れば郷に従えって知ってるやろ?」


「え、ええ。知ってるわよ。それがどうかしたの?」


「この大陸にずっと暮らしてる人らがいるやろ? その人らは、どうやって旅しとるんやろな?」


「……あ、そうか。ずっと暗闇で生活してるんだから、私達よりも照明技術は発展してるはず……!」


「そうや。現地調達でええんやないか?」


 をを! エリザ、ナイスアイデア!


『なら現地の貨幣も獲得しないといけませんね』


「ぐふぅ!」


 あっけなくアイデア崩れた!


「……まあ、一度降りて現地調査するしかないわね。それから決めても遅くないっしょ」


『……いえ。遅いです』


「へ?」


『先程説明した魔力溜まりより、何かがこちらに迫ってきます。かなり高い確率で、この城に対する攻撃かと』


 ………ォォォオオオ


『着弾まで三十秒! 急いで中へ!』

「「「ひ、ひえええっ!!」」」


 私とエリザはゴミ箱を担ぎ上げ、全速力で中へ駆け込んだ。


 ズウン! ズズウウン!


「「「あひゃあああああああ!」」」


『着弾しましたが被害は軽微。マイマスター、反撃を開始します。主砲、魔力充填開始』


「主砲は冗談だって言ってなかった!?」


『……発射(ファイア)


 サクッと無視しやがった!


 ずどおおん!

 ………ちゅどおおん………


『……命中しましたが、相手も被害は軽微の模様』


 な、何か宇宙艦隊戦になってきたんですけど!?


『……マイマスター。私がご案内できるのは、ここが限界のようです。これ以上進もうにも、この状況では難しいです』


 ……そうね。


「……わかったわ。この近辺で地上に降下してもらえる?」


『できません』


 は!?


『地上にも魔力の集結を感じました。おそらく対空砲火も始まります』


 えええっ!?


『ですので……大変申し訳ありませんが……』


 ま、まさか……。


マスター達だけで(・・・・・・・・)降下して頂きます(・・・・・・・・)


 い、異世界でスカイダイビング!?

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