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第三話 ていうか、世界地図に熱中するのだ!

「……ほないくで〜……この世界の全てをみせよ、≪上空風景≫(グローブ)・展開」


 うっわ、すげえ! 自分の目の前に、超リアルなジオラマが浮かんでる……!


「ねえ、精密に見ようと思うとどのくらいの倍率まで見れるの?」


「これが限界や。これでも相当精密やと思うで?」


「ダンジョン内部とかは?」


「それは無理や。ウチが空中に再現できるのは、地上0m以上に限定されとる」


 残念。でもこれってスゴいことよ!


「見せたったからさ。絶対に言わんといてな。頼むで、な、な?」


「何言ってんのよ。言うはずがないじゃない」


「私達は仲間を売るような真似はしない…………と思われ」


 その間は何よ! ていうか、そこに「思われ」を入れるな。


「そ、そうなん? じゃあ……ウチのこの心配は、一切合切無駄やったんやな……」

「「そのとーり!」」

「つまり……ウチは嵌められたんやな……」

「それは違う」

「え?」


「私は嵌めるつもりはなかったわ。リジーは知らないけど」


「サーチ姉!?」


「……リジー……そこはどうなん? 返答次第では、問答無用でシバき倒すで?」


「ないないない! そんなつもりはあるわけない!」


「その『ない』の数だと肯定的な意味になっちゃうわよ」


「サーチ姉ええ!?」


「つまり……認めるわけやな!」


 ジャキイン!


 両手に握られたタワーシールドがギラリと光る。


「往生せいやあああああああっ!!」

「ちょっと待ってちょっと! サーチ姉助けて!」

「リジー……骨は拾ってあげるから」

「サーチ姉ええええええっ!?」

「リジー、覚悟おおおっ!!」


 どがああん!


「うっきゃあああああ! 命の危険と思われええええっ!!」

「おのれえ、ちょこまかと! そこに直れやボケェ!!」


 ごがああん! ずどおおん!


『な、何事ですか!? あ、ああああ! 私の壁が! 床がああっ!』


 さて、シロちゃんを巻き込んでの大乱闘に発展しそうだから、今のうちに……。


「くらえ! 奥義、独楽の舞!」

「奥義いらない! それより落ち着いてエリザ!」

『お願いですから、これ以上壊さないでええええっ!』


 ずがががががががっ!


「うぎゃああああああ!」

『うぎゃああああああ! お城が、お城がああああ!』


 ……ふむふむ、ここに街があって橋があって……。


「ジッとしとれや! 奥義、鉄鋏の舞!」

「だから奥義いらないってばああ!」

『もう止めてええ! 私の玉の(はだ)がああっ!!』


 めきょ! めりめりめりめり……ばぎぃ!


「死ぬ! マジで死ぬって!」

『ああああ! 私の大事な(ほね)までえええっ!?』


 ……なら、このまま南南東に進んで……砂漠の入口辺りなら、人目を気にしなくていいわね。


「仕方ない、命を狙われるならば対抗するのみ!」

 シャキイン!

「……今宵の介錯の妖刀(ムラマサ)は血に飢えている故に、お相手致そう。いざ、エリザ之助、尋常に勝負!」

「エリザ之助って誰や!? それよりリジーのキャラ変わってへん!?」

『リジーまで暴れないで下さあああい!!』

「いざ! いざいざいざ! 秘技≪呪われ斬≫!」


 シュパ! シュパパパパパパ!


「ひ、ひええっ!? あっぶないやんか!」

『あ゛あ゛あ゛! 絵が、テーブルが、ソファがあああああっ!!』


 ……ここから先は宿場町もまばらね。前の町で多めに食料と物質を調達しないと。


「だけどウチも退けへん! リファリスの盾の異名、伊達やないで!」

「ならば、その異名ごと切り裂いてあげる」

「言うたな。ウチに止められんモノはない!」

「私に斬れないモノはない。(わたし)(エリザ)の決着、ここでつけさせてもらう」

「望むところや!」

『喧嘩は(そと)でやって下さいよおおお!』


 ……それにしても。大陸の真ん中にある、いかにもって感じの塔は何かしら? これ、相当高いわよ。


『マスター! マイマスター!』


「…………」


『マスターってばあああああ!』


「……んぁ!? うっさいわね、何なのよ!」


『あの二人を止めて下さい! 城が! 私の城がああ!!』


 ……ってうわ! ここまでやっちゃったの!? 城が半壊してるじゃないの!


『マスターああ! マイマスターああああ!』


「わかった、わかったから。私も大体調べられたし……シロちゃん、一時的にあの二人を壁か何かで覆ってくれる?」


『へ? すぐに壊されちゃいますよ?』


「いいからいいから」


『は、はあ……じゃあ≪修復≫(リペア)の応用で……えい』


 がばあ、ばくん!


「わ!」「え?」


 床がせり上がり、エリザとリジーを同時に閉じ込めた。


『これでいいですか?』


「OK! あとはストローが通るくらいの穴を空けてもらえる?」


『す、すとろ?』


「……とりあえず細い穴を通してくれればいいわ」


『わかりました、そういう事でしたら……はい、貫通しました』


 よし、この穴に……。


「ぷぅぅぅぅぅっ!! シロちゃん、閉じてー」


『は、はあい』


「しばらく放っておけばおとなしくなるわ。シロちゃん、行き先について相談したいんだけど」


『え!? は、はい。わかりました……。ですが、よろしいのですか?』


「ん〜? 何が?」


『いえ、リジーとエリザは……』


「あぁ、あの二人は大丈夫よ。穴からわさびと、カラシと、玉ねぎと、レモンの成分を抽出して濃縮したヤツを吹き込んでやっただけだから」


『ええええっ!? そ、それ死にませんか!?』


「大丈夫でしょ。シロちゃんにしても、お城を壊された恨みが晴らせていいんじゃない?」


『そ、それはまあ……スッキリしましたけど』


「ならいいじゃん。放置よ放置。放置プレイで無問題よ」


 ま、あの二人のおかげで暗黒大陸の詳しい地理もわかったし。今度何か奢ってあげようかな。



「……という感じで、この砂漠の端を目指してほしいの」


『成程、海岸線に沿って進めばいいのですね。それならわかりやすいです』


 よし、これで暗黒大陸に上陸するめどは立った。地上に降りてみないと何とも言えないけど、街道や地形がわかっただけでも儲けもんだわ。


「サーチ! サーチィィィ!!」

「サーチ姉! サーチ姉はいる!?」


 あ、やっと脱出したか。


「はろはろ〜♪ 目と鼻が赤くなってるけど、何かあったの?」


「白々しい……! リジーの話やと、あんなんできるのはサーチだけやって聞いたで!」

「サーチ姉! 涙とくしゃみの恨み、晴らさせていただく!」


「……って言ってるわよ、シロちゃん。二人そろって謝るつもりはなさそうね」


『……あなた達は……! 私のお城をこれだけ破壊しておいて……!』


「「あ……」」


 二人そろって「しまった」って顔してる。


『絶対に許しません! 二人で綺麗に掃除していただきます!』


「そ、そんな!」

「サーチ姉も無実ではない!」


「え〜、だって〜〜私シロちゃんのマスターだし〜〜」


『はい、マイマスターを働かせるわけにはいきません』


「「ひ、卑怯だあああああああっ!」」


 ……ふ〜……今日もいい天気だわ。

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