第七話 ていうか、ロリのじゃ。
堕つる滝に向かうため、ギルドに顔を出す。例の冒険者はいるだろうか?
「こんちゃ〜」
「あら。もう行かれるんですか?」
「はい。ダリ……ギルドマスターはいらっしゃいますか?」
「クスクス、ダリアさんは敬語を使うのを嫌がりますから普通に話されたほうがいいですよ」
……なんで笑う。
「わかったわ。ダリアさんいます?」
「ちょっと待っててくださいね、フフ……」
……だからなんで笑う。
「そりゃあ、なあ……」
「サーチを見れば……」
何よ。リルとエイミアまで笑いだして。
「……二人とも喧嘩売ってるの」
「「まあまあ」」
きぃ!
「サーチは童顔だし」
「背も若干低めだから」
「「ちびっこが大人ぶってるようにしかみえない」」
ぶちっ
「あ・ん・た・た・ち……」
「やへ……」
「地雷踏んじゃいました?」
んぎゃあああっ!
「あーすまんすまん、待たせ……お? 何でリルとエイミアがすっぽんぽんに剥かれているんだ?」
「……知りません!」
「しくしく……」
「お、お嫁に行けません〜……びえ〜」
「えーと……サーチ?」
「すいません放っておきます」
頬につ〜っと汗を垂らしながらダリアさんは話を始めた。
「前に話していた冒険者の選定は済んでいる。女性ばかりのパーティだから一応女性で選んだが良かったかな?」
「いえ、ありがたいです」
下手に強い男がパーティに加わって、変な気を起こされたらたまったもんじゃない。
「名前はサーシャ・マーシャ。Aクラスの攻撃魔術士だ」
「……何ですか、そのお笑いコンビみたいな名前」
「本名だ。あまり言うなよ……本人も気にしてるんだから」
気にしてるんなら偽名でも名乗ればいいのに。
「種族はハイエルフだ。かなり有名な冒険者だぞ」
ハイエルフ!?
エルフ族の王族がなんで!?
「そこも聞くなよ……気にしてるんだから……」
「どんだけトラウマ抱えてんのよ! めんどくさいわね!」
しかしハイエルフで攻撃魔術士なら相当な火力ね。堕つる滝では貴重な戦力になるわ。
「……そういえば遅いな。火精の刻の約束だったはずだが」
火精の刻?
「……獸人の時間の呼び方だ。人間の時間で言えば午前九時くらいだな」
なるほど。
……ていうか、今は十一時よ!?
「エルフって時間にルーズなの?」
「誓ってそんなことはない。サーシャ・マーシャだけだ」
そんなことを言ってると。
「すいません、ギルドを訪ねてきたエルフの女の子を保護したのですが」
町の警備隊が一人の女の子を連れてきた。普通のエルフよりもぴーんと尖った耳。ハイエルフの特徴だ。
「ダリ、ダリアさん。特徴どハマりなんですけどまさか……」
半泣きになってるちびっこを指差して。
「あのチビが!?」
ぶちっ
あれ?さっき何処かで聞いた音が……?
「馬鹿者! それを言っては……」
「……誰がチビじゃああああっ!?」
ズギュンッ
へ? ズギュン?
……ってうわーーっ!!
ずどおおおん!!
「うひゃあ!」
「あぶね!」
リルとエイミアがダッシュで逃げ出した。
何よ、今のデタラメな威力の≪火炎弾≫は!?
「チビ言ったのはお前じゃな、どチビ!」
ぶちっ
今度は私に向かって翔んでくる≪火炎弾≫を。
「うりゃあ!」
ドラゴンのレッグガード装備の足で蹴り返す!
「「う、うわわわわ!」」
そのままハイエルフとダリアさんの所へ飛んでいき。
ちゅどおおおおん!!
……爆発した。
「けほ……ごほごほ……酷い目にあったわい」
ハイエルフのロリッ子は少し焦げた緑色の髪を手入れしていた。
「私を巻き込むとはいい度胸だ……」
眉をひくつかせているダリアさん。ごめんなさい。
「ふわあ……綺麗な髪ですね……」
エイミアがハイエルフチビの髪をといている。あ、チビうっとりしてる。
「お前ら外でやれよ……スゲえホコリだぞ」
室内でドッカンドッカン魔法が炸裂したから酷いものだ。対魔術コーティングされてるギルドの建物は無事だけど。
「改めて紹介するぞ。こちらがAクラス冒険者のサーシャ・マーシャさんだ」
「騒がせてすまなんだのぅ。よろしく頼むぞ」
チビ……いやサーシャさんが頭を下げたので私も返礼する。
「あ、いえ。私もすいませんでした。サーチと言います。Dクラスの重装戦士です」
「はじめまして。Dクラスの風水士でエイミア・ドノヴァンです」
「リルだ……です。一応弓術士」
私達をグルーッと見回して。
「……なんじゃ、竜殺しのわりにアンバランスなパーティじゃな」
……言い返せない。
「じゃが安心せい。少しの間じゃがワシが加入してやる。そうすれば多少のアンバランスぐらいちょちょいのちょいじゃわい」
そういって立ち上がるサーシャさん。
それなりの胸が揺れた。
こうして。
ロリでのじゃで微妙な巨乳の、通称“初歩を極めし者”のサーシャ・マーシャが仲間になった。
ついにロリ登場。