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ビキニアーマーで殺意を込めて 〜元アサシンは巨乳の夢を湯煙の彼方に見る〜   作者: メーギ・F・ツネコ
第二十一章 最終決戦でみんなでFになるんですよね!
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第十九話 ていうか、移動手段はラピ○タ!?

「……ざあっつぅ〜♪ ほらあ〜いぞん〜ん♪ ……で、いいのかしら……」


「? 何を言ってるの、サーチ姉?」


「ん? 私が前世で好きだった歌を歌っただけよ」


 まんまの歌詞だと著作権(てんのひ)が怖いから、適当に英訳しただけ。

 え、訳が違う? 知らぬ。


「それにしても……前世で憧れた光景を、この目で見ることになるとはね〜……」


「……アレ(・・)に憧れた? サーチ姉の前世には無かったの?」


「大体魔術自体が存在しない世界だったからね」


 それにしても……遅い。

 マーシャンが微かに見えるソレ(・・)を発見してから……一時間くらいか。ようやく月より大きく見えるくらいになった。


「……文字通り『空飛ぶ要塞』だけどさ……このスピードで進んだら、暗黒大陸に着く前に天寿を全うできそうね……」


 ……そう言って、私達から『アレ』『ソレ』扱いされる天空の城(・・・・)を眺めるしかなかった。



「ま、魔王城を使う!?」


 マーシャンの突飛なアイデアに、私もリジーも呆然とするしかなかった。

 魔王城(別名・ソレイユ城)ってのは、旋風の荒野トルネード・ウェルデネスに封印されていた、()最高神の〝知識の創成〟(アカデミア)の城だ。今はソレイユの居城なんだけど、金ぴかだったりどピンクだったりと目に痛い外見が災いし、長い間封印(いんぺい)されることとなった。


「じゃが絶望の獣(ディアボロス)封印の弊害で、異空間にあった魔王城は外に弾き出されてしもうたようじゃ」


 ……念話でヴィーから聞いた話だと、旧帝都は突然現れた空飛ぶ城に、とんでもない大騒ぎになったそうだ。結局リファリスが「ああ、〝知識の創成〟(アカデミア)が降臨された」……などというデマを流して、何とか鎮静化させたらしい。ナイスフォローだけど……〝知識の創成〟(アレ)の信者が増えそうでイヤだなあ。


「で、どピンクな外見を放っておくわけにもいかず、塗装を行ってから適当に浮遊させておいたらしい」


 ……ようやくまともな外見になったか。


「サーチ、お前は管理人(スカイマスター)になつかれてなかったか?」


「なつくっていうか……向こうが勝手に『マイマスター』とか言ってるだけよ」


「なら大丈夫じゃろ。念話水晶で呼び出してみるがよい」


 ……城で移動って……昔のゲームにあったような……?



 その後、相変わらずどピンクのシロちゃんが即決で了承して『今すぐ向かいまっす!』となり、冒頭に続くわけなんだけど……。


「……ねえ、リジー。あれって……もっと早く飛べないもんかな?」


「……無理だと思われ。だってあのデカさだよ?」


 そうね。空気抵抗ハンパないもんね。


『お、お久しぶりでございます、マイマスター!』


 うぅ……相変わらずのどピンクな服装。写真好きな夫婦かっつーの。


「だからマイマスターじゃないっての。あんたのマスターは魔王(ソレイユ)でしょ?」


『へ? 違いますよ。ソレイユはとっくの昔に出禁です』


 おい、魔王様! あんた部下から出禁扱いされてるぞ!


『初対面で「……趣味悪」とか抜かす人をマスター呼ばわりする義理はありません!』


 ……たぶんここにいる全員が、ソレイユの意見に諸手を挙げて賛同すると思う。


『……何か?』


「何でもありません」


 おもいっきり怪しまれてるけど……このままスルーしよう。


「それよりさ、この城ってどれくらいのスピードが出るの?」


『そうですね……風の影響を抜きにすれば、一時間で50kmは進めると思います』


 遅いな!


「さ、最高速は?」


「うーん……一時間で70〜80㎞がやっとです」


 マジでおっそ! ちょっと足の速い台風並みじゃん!


「……普通に魔術で空飛んだ方が速いのでは……」


『そうかもしれませんが、この城にいる限りは間違いなく安全ですよ?』


「……あ、そうね。絶海っていう超危険地帯を越えなきゃならない以上、空中だって安全とは言えないわね」


『そうですよ。この城の防衛機能があれば、たとえ絶望の獣(ディアボロス)が攻撃してこようと、楽々撃退できますよ』


「は、はああ!? 絶望の獣(ディアボロス)を撃退できるって……どんだけ強力な防衛機能なのよ!?」


『どれだけ強力か、と言われましても……目安になるかはわかりませんが、この城の主砲は……』


 主砲!? 城に主砲!?


『え〜っと……出力が……9.24×10^14Wですね』


 ずどがしゃあ!


『マ、マイマスター!? 突然コケてどうかなさいましたか!?』


「9.24×10^14W!? つまり…………九億と……二千四百万W!? 某天体級要塞の主砲と同じ出力じゃないの!!」


『いえ、厳密に言えば九億二千四百万一Wですので同じじゃありません』


「1Wの差くらいどうでもいいわああ! ていうかそんなの撃ったら、全世界吹っ飛ぶわ!」


『あははは。冗談ですよ、冗談。そんな主砲があるわけないじゃないですか』


 ……ぶちぃ


「殺す! その目に悪い原色ピンクを血で赤く染めてやる!」


『わ、ちょっと! だ、誰か止めて下さい! すいません! 申し訳ありませんでした!』


 ばごっ! どご! めきめきめき、ぐっしゃあ!


『あぎゃああああああ!』



「……暗黒大陸に着くまで全速力だからね?」


『は、はい。マイマスター』


「寝ちゃダメ。食べちゃダメ。当然、休んじゃダメ」


『そ、そんな殺生な!』


「ついでにしゃべるのもダメ。キリキリ働きなさいいっ!!」


『助けてええええっ!』


 私がシロちゃんを折檻してるのを遠巻きにしてたリジーが、両手を合わせていた。一応真竜(マスタードラゴン)だから、死ぬことはないと思うよ。


「死ぬ心配がないんだったら、死んだ方がマシだったと思えるくらい、ビシビシと働いてもらえるわけか」


『マ、マイマスターが凄く怖い事を呟いてるんですけど!』


 ま、こんだけ脅しておけば大丈夫でしょ。このまま旅の準備も押しつけちゃお。



「サーチ姉、シロちゃんを散々脅して、面倒くさい事を押し付けた?」


「あ、わかった?」


「……流石にサーチ姉との付き合いも長いから、ちゃんと悪党だって理解してる」


「……あんたは毎回一言余計なのよ」


「みょーーん」


 あら、リジーの頬っぺたも意外とよく伸びるわね。


「でもエイミアには及ばないわね……」


「みょーーん」


「懐かしく感じるわ、あの驚異的な伸び加減……」


「みょーーん」


「……待ってなさい、エイミア。必ず見つけだしてやるから!」


「みょーーん……みょ」

 ごすっ

「いったあああい! ……リ、リジー! 人の頭を梯子で殴るとは、どういう了見よ!」


「人の頬っぺたを伸ばしたまま、エイミア姉との思い出に浸ってるサーチ姉には言われたくない」


 あ、ごめんなさい。


「それよりサーチ姉、ずっと忘れてた」


「何を?」


「サーチ姉にお客様」


 っておい! ずっと待たせてたのかよ!



 リジーの頭に拳骨を落としてから、お客さんが待ってる部屋へダッシュする。ていうか、私にお客さんって……誰?


「奥の部屋だって言ってたから……ここね!」


 焦ってた私は、ノックするのも忘れてドアを開いた。


「お待たせしてすいませんでした……って、あれ?」


「……一体何時間待たせるのですか」


 な、何であんたがいるのよ!?

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