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ビキニアーマーで殺意を込めて 〜元アサシンは巨乳の夢を湯煙の彼方に見る〜   作者: メーギ・F・ツネコ
第二十一章 最終決戦でみんなでFになるんですよね!
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第十七話 ていうか……別れのときなんですよね……ぐすっ

「ぎ、議員になるの!?」


「はい、連合院議員になってみようかと。まあ、当選しないとなれないんですけどね」


 連合院議員ってのは……まあ、衆議院議員だと思ってもらえれば。あと貴族院ってのもあって、こっちにスケルトン伯爵やリファリスが在席している。あくまで仮のモノで、数年内には無くなる予定らしいけど。


「う〜ん……言っちゃ悪いけど、いきなりヴィーが出ても当選できる確率は……」


「わかっています。この長期間に亘る敵対心は、そう簡単に払拭できるモノではありません。ですから最初のうちは人間の振りをして入り込み、リファリスやスケルトン伯爵の協力を仰いで徐々に味方(シンパ)を増やしていこうと思ってます」


「で、でも! 何の地盤もないヴィーが簡単に当選できるとは……」


「ソサエト侯爵が全面的に支援して下さるので、組織票もバッチリです」


 つけ入る隙がないな!


「……つまり、メデューサだってバレない限りは当選確実だと」


「あ、その件についても考えてあります。人間の姿を比較的留めているモンスターについては、獣人の亜種という事で浸透させようかと」


「獣人の亜種かぁ〜……言われてみれば、そうとも言えなくもないわね」


 実際にモンスターに分類されてる有翼人(ハーピー)半蛇人(ナーガ)は、見方さえ変えれば人魚族となんら変わりはないしね。


「まあ人型のモンスターって案外少ないからね。そういえばダンジョンでも、ゾンビくらいしか人型には遭遇したことないわね」


「そこは魔王様がご配慮下さいまして、ダンジョンからは人型のモンスターが出現しないようになっていました」


「……他のモンスターが可哀想じゃね?」


「そ、そこはまた……複雑な事情が……」


「……聞かない方がいいみたいね」


 私からこの話題を打ち切ろうとする。が。


「……待って下さい。これから暗黒大陸に行かれるのでしたら、この話は聞いて頂いた方が、逆によろしいかと


「……その言い方だと……人型じゃないモンスターの秘密の村は、暗黒大陸にあるのかしら?」


「……流石はサーチ。その通りです。彼らは……私達と決別し、暗黒大陸のどこかでひっそりと暮らしているそうです」


「……だからソレイユも場所を知らないのね」


「はい。ですが決別はしましたが敵対はしていません。文を交わす程度ですが、一応交流はしています」


「文を交わすって……どうやって?」


「魔術で信号を送っています。ツートントンみたいな」


 モールス信号かよ!


「協力してくれるように、早めに文を出しておきますので、いざという時は頼ってみて下さい」


「ありがと。その『いざ』がないように気をつけるわ」



 それからどんどんワインの空き瓶が増えていき、気がつけばヴィーはべろんべろんになっていた。


「だ〜か〜ら〜、今夜はずぇったいにヤりますよ!」


「はいはい、わかったわかった」


 ……これって絶対にヤバい雰囲気だけど……今日は、いいか。


「……な〜んちゃって」


「は?」


「私はサーチに手を出しましぇん」


「い、一体どうしたの?」


「私はサーチが好きでぇぇす。愛してまぁぁす」


「はいはい、私もよ」


「だけど、エイミアも友達としてだ〜い好きでえぇす!」


 ……今日は悪酔いね。


「だから。だからこそ! 私はエイミアとは、対等な条件で勝負しまぁす!」


「対等な条件で勝負? 果たし合いの約束でもしてるの?」


「ちーがーいーまーすーぅ。対等な条件での勝負ってのは、サーチを巡る戦いの事です?」


 はいい!?


「サーチだって気付いてるんでしょお? エイミアが好意を抱いてる事に」


「………………それは……まあ……薄々」


「だあかあらあ! エイミアを連れ戻して! サーチに告白して! そこからが真剣勝負の開始なんですよおお!」


「……ヴィー……」


「……だから……だから……絶対に連れ戻して下さいね?」


「わかってる」


「絶対に絶対ですよ?」


「わかってるって」


「絶対に絶対に絶対ですよ?」


「……しつこいぞ」


「それと………絶対に帰ってきて下さいね?」


「当たり前じゃない。せっかく絶望の獣(ディアボロス)を封印したんだし。やりたいことは、まだまだたくさんあるわよ」


「約束ですよぉ……ぐすっ……びええええ」


「……あんたはエイミアかっつーの」


 ……薄暗いなか、二人の顔のシルエットが重なっていく……。



「……って結局ヤることはヤるんじゃないの! しかも約半日も……! わ、私もう立てないわよ!」


「す、すみませんでした!」


 ……ヴィーに回復してもらって、ようやく立てるようになったのは、さらに半日後だった……。マジでヤり過ぎだよ!



 腰をトントン叩きながらドアを開けると。


「あっ」

「げっ」


「…………あんた達、一体何をしてたのかしら?」


「あ、えっと……その……」

「サーチ姉の喘ぎ声が気になったわけじゃない。ないったらない」


「……極刑」


「「ぎいああああああああああああ!!」」


 ……真っ赤な夕焼けに照らし出された、物干し竿に吊るされた二体の人影が……風に揺れていた。



「もうこういう事も……最後なんですよね……」


 泣きながら「下ろせええっ」と叫ぶリル達を見ながら、ヴィーがしみじみと呟いた。いや、そんな黄昏るような光景じゃないわよ?


「なーに言ってんのよ。ヴィーにもちゃんと働いてもらいますからね」


「え?」


「あのね、私は暗黒大陸に行きっ放しってわけにはいかないの。一ヶ月に一回は温泉に入らないと気がすまないのよ。だからそのときは付き合いなさいよ?」


「はい?」


「だから………その……一ヶ月に一回は帰ってくるっての!」


「あ、あー……は、はい! なら私も、議員を務めながらも冒険者を続けて、新しい温泉地を探訪してみます」


「頼むわよ〜。とびっきりの温泉を探しといてね!」


「はい!」



 その夜。

 一時的にパーティを離脱するリルとヴィーの送別会、そしてリルの結婚祝いを兼ねての飲み会を開催し、朝方になってもドンチャン騒ぎに明け暮れた。少しの間だとしても、やっぱり別れるのは……ツラい。そんなみんなの心境を反映してか、飲み会はなかなか終わらず……私以外が酔いつぶれるまで続くこととなった。



 そして、ついに。


「ここでいいよ。もう少しで横断トンネルだ」

「お見送り、ありがとうございます」


 ……別れの時。


「そう……ホントに名残惜しいわ」

「私も」


「はは。そう言うなよ。サーチが言った通り、少しの間だ」

「そうですよ」


「……リル! ヴィー! パーティのリーダーとして命令します!」


「「は、はい!」」


「リルは必ず幸せになりなさい! 私達がエイミアを連れ戻してくるまでに、子供の一人は作っておきなさいよ!」


「は、はああ!?」


「で、ヴィー! あんたは必ず当選しなさい。私達が戻ってくるまでに、最低でも首相くらいにはなってなさいよ!」


「え、ええ!?」


「以上、命令よ! わかった!?」


「ム、ムチャ言うなよ………ま、まあ努力はするけど」

「しゅ、首相ですか!? サ、サーチは無茶苦茶言いますね」


「……それと、ヴィー」


「はい」


「…………絶対に……浮気すんじゃないわよ」


「! ……はい」



 こうして。

 パーティ結成当初からのメンバー、リルと。

 パーティの回復役のヴィーが……離脱した。



「……ぐすん」


「リ、リジー……泣くんじゃないわよ」


「サ、サーチ姉だって泣いてる」


「か、花粉症よ!」

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