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ビキニアーマーで殺意を込めて 〜元アサシンは巨乳の夢を湯煙の彼方に見る〜   作者: メーギ・F・ツネコ
第二十一章 最終決戦でみんなでFになるんですよね!
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第十六話 ていうか、久々に戻った地上にて。

「かなりの激戦だったのですね……」


「封印が完了したタイミングで、ケルベロス達も消滅したそうよ。じゃないと危なかったみたい」


 絶望の獣(ディアボロス)との戦いから二週間後。地上に戻り、ソレイユやリファリスから、エイミア関連の情報を受け取った帰りだった。

 アタシー近辺でもケルベロス軍団との激しい戦闘があったらしく、後片付けに追われていた。


「市街戦になったんだな。よくこれで一般人に被害が出なかったもんだ」


「冒険者が踏ん張ったと思われ。ほら、元冒険者らしいゾンビの群れが」


 ……ああ、ぞろぞろと歩いてるわね。この世界では、死体の処理に関しては死霊魔術士(ネクロマンサー)が、霊の供養に関しては教会が担当している。だから大きな戦闘の後に、死霊魔術士(ネクロマンサー)がゾンビをぞろぞろと連れて歩いてるのは、日常的な光景だ。

 ちなみに、どっかの元貴族みたいに、ゾンビになって働き続ける人もある。「俺はまだすることがあるんだ」とか、「家族くを残しては、死んでも死にきれん」とか、いろいろと未練を残している人もいる。そういう人は死霊魔術士(ネクロマンサー)に願い出れば、使い魔に近い状態でこの世界に留まらせてもらえるのだ。あとは雇い主(ネクロマンサー)との信頼関係次第で、ある程度の自由は得られる。

 なかには元旦那のゾンビと再婚する人もいるそうで。愛って偉大だ。


「それにしても……やっぱ絶海を越える手段は見つかってねえんだな」


「そんなに簡単には見つからないと思われ」


「それはそうだけどよ! 何ていうか……その……焦っちまうじゃねえか」


「それはそうなんですけど……」


 ……そろそろ言おうかな。


「実はね……マーシャンからの情報なんだけど……」


「…………あぁ!」

「そうでした、すっかり忘れていました!」

「いつからいなかったか、覚えてないくらい印象薄いと思われ」


 ……止めてあげなよ。たぶん、泣いてるぞ。


「で、マーシャンがどうかしたのか?」


「絶海を越える手段……何とかなるかもしれないって」



 私達は旅館に戻ると、第一回エイミア対策会議を開いた。


「で、方法は? もったいぶらずに早く言え!」


「方法に関しては、私も詳しくは知らない。ただ……」


「……ただ?」


「……絶海を越えられるのは……三人だけよ」


「「「……はい?」」」


「マーシャンの話だと、三人で定員ギリギリらしいの」


「て、定員って?」


「知らない。今はそのことはどうでもいい。もっと重要なことは……」


「……誰が残るか、という事ですね?」


 ……私は頷いた。


「わ、私は行くぞ! 絶対に行くぞ!」


「私も行く」


「ちょっと待ちなさい! 少し私の話を聞いてほしいんだけど」


「……サーチには何か考えがあるのですね?」


「ええ。今回はおもいきって、二人ずつに分けようと思うの」


「はあ!? 二人だけで暗黒大陸へ行くってのか!? ふざけんな!」


「待ってリル! 最後までサーチの話を聞きましょう!」


 立ち上がりかけたリルをヴィーが静止し、不承不承ながらもリルは座った。


「……ヴィー、ありがと。今回のことで、こっちの世界に侵攻される恐れが出てきたわ。エイミアを拐った存在がいる以上、古人族はこっちの世界に来れる可能性が高い」


「……ニーナさんの結界干渉術を破るくらいの人が、という事ですね」


「そう。だからこそ、戦力として二人は残ってほしいのよ」


「…………なるほどな。筋は通ってるな。ただ、二人だけってのは危険じゃねえか?」


「それはまた考えるわ。パーティを二人に分ける理由は、連係を考えてのことだからね?」


「確かに。一人で残っても、いざという時には心許ない」


「そういうこと」


「なら……あとは人選か」


「あ、ごめん。それも私が考えてるんだけど」


「って早いな!」


 当たり前でしょう。言い出しっぺの私が、何も考えてないわけないじゃない。


「……で? サーチの考えだと誰が残るんだ?」


「ん、まずはリル」


「そうかそうか残念だなあ……って私かよ!?」


 盛大に自分でボケたわね。


「どういうことだ! 何で私なんだよ!」


「新婚さんを連れていくほど、私は悪人ではありません」


「んぐぅ!」


 はい、論破。


「何より、こっち側での司令塔を頼めるのってリルしかいないのよ。だからお願い、ね?」


「…………つまり、お前が行くのは決定事項なわけか。エイミアの気持ちを考えると……それがベストだわな」


 リルはふーっと息を吐くと、フッと笑った。


「わかった。今回は私が居残り組になるわ。ただし」


「ええ。絶対にエイミアを連れて帰るわ」


 リルが突き出した拳に私は拳をコツンとぶつけた。


「じゃあもう一人は……リジーか?」


「え〜……私?」


 リルの言葉にがっくりと項垂れるリジー。だけど……。


「違います」


「「……え?」」


 ……やっぱりか……。


「私が……残ります」


 そう切り出したのは……ヴィーだった。



 その日の夜。

 旅館のテラスにある椅子に腰掛け、一人でワインを煽っていた。


「サーチ。お呼びだと聞きまして」


 背後からかかったヴィーの声に、左手で対面の椅子を勧めることで応える。

 ヴィーは着席すると、私と同じワインを注文した。私が注いであげると、少しはにかんだ顔をして……少し悲しげな顔になる。何も言わずに乾杯をし、そのまま黙り込んだ。


「……いいのね、ヴィー」


 沈黙を破ったのは私からだった。


「え……」


「よく考えた上での、判断だったのね?」


「……はい」


「ならいいわ。確認したかったのはそれだけよ」


 それを聞いたヴィーは何かを言いたそうにしたけど、結局ワインを煽ることで口をつぐんだ。


「……止めてほしかったの?」


 私の問い掛けにビクッとするヴィー。


「な、何を言うんですか!」


「はっきり言うとね、私としては一緒に来てほしかったの」


「え?」


「連係という意味では、リルとリジーはピカイチだからね。私としては、一番連係が取りやすいのはヴィーだし」


「……」


「けど、最近のヴィーの瞳には……何か決心している色が見えた。たぶん秘密の村に関連することじゃないかな〜、と思ってたけど……」


「……そうです。よくわかりましたね」


「そりゃあ、私とヴィーの仲だから」


 ヴィーは真っ赤になって俯き、また沈黙が支配した。


「……やっぱり……諦める事はできません」


 しばらくモジモジしていたヴィーは、再び話し始める。可愛いな、おい。


「私の夢……人間達とモンスターとの共存を」


「この間の戦闘で人間とモンスターが共闘したってヤツ?」


「はい。リファリスの軍だったと聞いてますが、秘密の村の人達と共闘してケルベロスを撃退したと聞きました」


 リファリスの配下には「訳あり」の人達も多いからね……意外と通じあうモノがあったのかもしれない。


「だから、私……思い切って、人間の社会に飛び込んでみようと」


「人間の社会にって?」


「今度、旧帝国では議会を開設する為に選挙を行う事にしたそうで……」


「ま、まさか、あんた……」


「……はい。立候補してみようと思ってます」

パーティ解散!?

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