表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ビキニアーマーで殺意を込めて 〜元アサシンは巨乳の夢を湯煙の彼方に見る〜   作者: メーギ・F・ツネコ
第二十一章 最終決戦でみんなでFになるんですよね!
462/1883

第十五話 ていうか、無限の小箱《アイテムボックス》が使えないって、ホントに不便……。

「古人族ですって!? 帝国に滅ぼされたっていう?」


「そう。歴史上では全て虐殺された事になってる古人族だよ」


 生き残ってたっていうの!?


「で、でもどうやって? 話を聞く限りだと、生き残る術はなかったように思えるんだけど……?」


「アタシがよく使う聖術ってなーんだ? 最近は使わされた(・・・・・)っていうのが正しいんだけど」


 最近よく使ってた聖術って……まさか!?


「転移!?」


「あったりー。ギリギリまで追い詰められた古人族の長老が、最後に己の命と引き換えに、生き残ってた古人族を暗黒大陸へ転移させたのよ」


「……てことは、ソレイユやマーシャンが使ってた転移は……元々は古人族のオリジナルだったってこと?」


「そ。アタシもサーシャ・マーシャもかなりアレンジしてるけどね」


 何てまあ……こんな身近に古人族の名残があったなんて……。


「おい、それよりよ。何でその古人族が、今さらエイミアを拐っていく必要があんだよ?」


 ……確かに……今さらよね。


「今さらじゃないんだよね、これが……。一般的には知られてないんだけど、人間と古人族は今でも(・・・)戦争状態にあるのよ」


 今でも!?


「さっきも言った通り、古人族には転移魔術がある。だけどこっち側で使えるのはごく少数。これってどういう事かわかる?」


「…………古人族は攻め放題、人間側はやられ放題よね」


「そうなのよ! それがアタシがあちこち駆けずり回っていた理由よ! あいつら、神出鬼没すぎるのよ!!」


 ……なるほど。ソレイユが裏で戦ってた相手ってのは、古人族が送り込んでくる刺客だったわけか。


「あの〜魔王様。先程の話だと、古人族の転移は、命と引き換えになる程に大変な魔術だと……」


「あ、その時は万単位の人数を転移させてたはずだから」


 そりゃ死ぬわな。


「だからこっちに転移してくるのもモンスターばっかりだよ」


「モンスター?」


「こっち側でいうダンジョン産」


 あ、意思のないモンスターか。


「弱いのを大量に送り込んできたり、突然竜を変な場所に転移させたり……」


「変な場所って……市街地とか?」


「んーん。ピンポイントは難しいみたい。最近だとスパミーネ山付近にでたかなー。アタシが討伐する前に冒険者に狩られてたみたいだけど……サーチ、どうかした?」


「な、何でもない……」


 ……ホワイトヤタのときの竜、古人族の枝テロだったのかよ……。


「おい、それよりも」


「あ、そうね。だったら話は簡単。ソレイユかマーシャンに転移させてもらえば」


「あ、それは無理」


 何で!


「どこに転移するにしても、一度でも見た事がある場所じゃないと転移できないの」


「……なら、ソレイユは暗黒大陸には?」


「行った事ないよ」


 ……この方法は詰んだ。



 どちらにしても、ここでアレコレ言ってても仕方ない……ということで。


「一旦、戦後処理しようよ」


 ……となり、ソレイユは再び転移していった。

 私達もこの戦いに協力してくれた人達への対応もある。とりあえずは地上に降りるということで……。


「……って、帰りは徒歩かよ!」


「仕方ないじゃない。脱出用アイテムを持ってたのはエイミアなんだし」


「あ〜……そうだったな。エイミアの無限の小箱(アイテムボックス)に入ってたんだっけ……って違ったか。無限の小箱(アイテムボックス)はもう使えないんだもんな……」


「あ、でもエイミアの荷物は無事だったんじゃなかったっけ?」



 余談ではあるが、絶望の獣(ディアボロス)を封印した影響らしく、私達を含めて全員の無限の小箱(アイテムボックス)が使えなくなった。ソレイユががんばってくれたおかげで、収納されていたモノは外に出てきたけど……突然現れた大量の荷物を前に、私達は呆然とするしかなかった。荷物を漁って、以前に使ってた魔法の袋(アイテムバッグ)を探し出したとの感動と言ったらもう……。

 それ+炎の真竜(ファイアマスター)に貰った魔法の袋(アイテムバッグ)も出てきたのだが、これが超感動モノだった。なぜか付属されていたトリセツによると。


「こ、これ……無限の小箱(アイテムボックス)と同じ運用ができるわ!」


「え、どういう事ですか?」


「ていうか、無限の小箱(アイテムボックス)とほぼ同じ。ステータス欄からアイテムを取り出せるし、容量によって重さが変わるデメリットもない。欠点は……ショートカットがないのと、無限の小箱(アイテムボックス)よりは容量が少ないくらいかな。とはいえ桁違いの容量だけど」


「な、何気に凄い魔法の袋(アイテムバッグ)ですね」


「そうなんだけど……重大な欠点がもう一つあったわ」


「え? な、何ですか?」


「……この魔法の袋(アイテムバッグ)の正体が、炎の真竜(ファイアマスター)の胃袋ってこと」


「どんな胃袋なんですか!?」


 ……某RPGの太った鳥が頭をよぎった。


「サーチ姉、私は食料関係をその胃袋(アイテムバッグ)に入れるのは、激しく反対する」


「……そうね」


 というわけで、胃袋(アイテムバッグ)には食料以外のモノを入れ、元々持ってた魔法の袋(アイテムバッグ)には食料+リジーの荷物が入ることになった。リジーが「私の呪われアイテムを胃袋に入れるのは、断々固として拒否」と言って聞かなかったので。



 さて、話は戻るけど、一度凍結されてしまった無限の小箱(アイテムボックス)の中身は、まず取り出すことができない。そう、作った本人であるソレイユを除いて。実際に凍結された無限の小箱(アイテムボックス)の解凍作業に追われまくってるのだ。


「……うん。で?」


「つまり、解凍されたエイミアの荷物を持ってるのはソレイユ」


「なら、早く魔王様を捕まえて……」


「解凍作業で忙しいソレイユを捕まえられるとでも? 絶対に念話水晶には出ないわよ」


「………………だな」

「………………ですね」

「………………だと思われ」


 ……ちーん。


「何だ、さーちゃん達は脱出用アイテムを持ってないの? なら先に言いなさいよ」


「い、院長せんせええええっ!!」


「私一人分しかないから。じゃね〜」


 シュンッ


「「「「…………」」」」


 い……院長せんせええええっ!?


「なあに、さーちゃんは脱出用アイテムの準備してないの?」

「サーチ様も意外と抜けてらして……ププッ」


「リファリス、お願い! どうかお裾分けを……」


「あたし達も二人分しかないんだ。ごめんね〜」

「では失礼致します……ププッ」


 シュンッ


「……エリザ、殺す」


 このときばかりは、全員の心は一つとなった。



 ……結局私達は、一週間ほどかけて虚空神殿(ホロウパレス)を脱出した。盛大にリファリス達を呪いながら。



 ただ、その一週間の間に院長先生やリファリスが、エイミアに関する情報を集めてくれてることを知ったとき、私達は平謝りした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ