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ビキニアーマーで殺意を込めて 〜元アサシンは巨乳の夢を湯煙の彼方に見る〜   作者: メーギ・F・ツネコ
第二十一章 最終決戦でみんなでFになるんですよね!
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第十二話 ていうか、みんなの力が結集して、ついに私の作戦が発動する!

「何であんたが三冠の魔狼(ケルベロス)に選定されてるのよ!?」


『は? 選定? 俺は自分の意思で三冠の魔狼(ケルベロス)になったんだぞ!』


 立候補かよ! ていうか自分の意思でなれるモノなのかよ!


『お、おおお? これが心の声ってヤツか。よく聞こえるぜ「どすっ」ふぎゃひぃ!』


「人の心の声(プライベート)を覗き見するな!」


『て、てめえ! 折角助けに来てやったのに、鼻先に短剣刺してんじゃねえよ!』


「あら? 爪と肉の間がよかったのかしら?」


『深爪は止めろおおおおおおおお!』


 ……しばらくギャアギャアと言い争いをしてから、話がおもいっきり脱線してることに気がついた。


「たく、肝心な話の途中だってのを忘れかけてたわ……! 何であんたが三冠の魔狼(ケルベロス)になってんのよ!」


『何でって……お前の為に決まってんだろ』


 そう、私のために…………って、はあああああっ!?


「何よ、どういうことよ!?」


『……まあ何て言ったらいいか……俺さ、お前の助けが全然できてなかったんだよ』


「私への助けって……別に私は」


『そんなの望んでないって言いたいんだろ? わかってるさ、これはただの自己満足に過ぎないって』


「…………」


『だけどさ、好きな女の子が命を懸けて戦ってるってのに、男の俺が何もせずに見てるだけなんて……もう嫌なんだよ!』


「……ルーデル……」


『で、魔王に援軍を依頼されて、早速駆けつけた時も』


 ……ああ、某芸人みたいに私の名前を連呼してたときね。


『戦いの号令をかけようとした途端、何故か身動きが取れなくなって、勝手に身体が動き出して……』


 ………リファリスの≪女王の憂鬱≫メランコリー・オブ・クイーンか。


『俺が指揮するよりも統率がとれててさ、見事な指揮でモンスターを粉砕してさ………。俺、マジで自信がなくなったよ……』


 ……いろんな意味でごめんなさい。


『そんなこんなで魔王の転移で故郷に戻って、出家して僧になろうかな〜って考えた時……』


 マジですまなんだ! リファリスを焚き付けたの、私だし。


『サーシャさんに声を掛けられたんだ。「汝、力が欲しくないか」って』


 サーシャが?


『身代わり人形を依り代としている俺なら、すぐにでも三冠の魔狼(ケルベロス)になれるって』


 ……あ、そういうことか! ルーデルの身体は、身代わり人形が元になって構成されてるんだった!


『一度身代わり人形に乗り移った経験のある俺なら、三冠の魔狼(ケルベロス)の身体への親和性も高いはずだ、って』


「そ、そうかもしれないけど! あくまで可能性が高いだけであって、100%じゃないのよ! ヘタしたら死ぬ可能性もあったのよ!」


『んな事はわかってるさ! けどな……お前を助けられるなら、自分の命を懸けるくらいどうって事ねえよ!』


「!! ………もう。バカなんだから……」


『何言ってんだよ。お前の方がよっぽど修羅場潜ってんだろが』


 ……確かに。


「……わかった。ルーデル、力を貸して! もう一度絶望の獣(ディアボロス)に深手を負わせてほしいの!」


『わかった! サーシャさんから大体の事は聞いてる。さっきと同じ場所でいいんだな?』


「ええ、お願い……っていうか、いつの間にサーシャとそこまで打ち合わせを?」


『あ? さっきだよ。何か「時間が止まった空間」ってヤツに連れ込まれてよ』


「へ、へ〜……」


『何故かそのまま二時間くらい待ちぼうけ食わされて……って、そういえば、女の妙な声が響いてたような……』


 あ、あのとき私の近くにいたのかよ!


『……そういえばサーチの声に「忘れなさい」は? 何でだ「忘れなさい」……お前、何を必死に「忘れなさい」……こ、怖いって「忘れなさい」は、はい……』


 ……サーシャのヤツ、一発ぶん殴ってやればよかった……。



「は、話が逸れたけど、さっきと同じ作戦でいくわよ!」


『おうっ!』


 念話水晶で再びリルを呼び出す。


『……サーチか、どうだった?』


「ごめん、もう一発いける?」


『も、もう一発か!? すまん、さっきの反撃で短槍を全部落としちまったんだ!』


「えええ!?」


『……あ、待て。もう一本ある。どっかから飛んできた謎の短槍が』


 ……ああ、あれね。


「それでいいから、今度は鼻先にでもぶち込んでやって!」


『わかった! すぐに射つぜ!』


 ……よし、あとは院長先生に。


「先生、リルが短槍をぶち込んだ瞬間に一発お願いします! できれば右側から、真ん中の顔をブッ飛ばしてください!」


「わかったわよ〜! リジーちゃんも覚悟はいい?」


「……………………はい」


 ……リジー……死して屍、拾う者あるからね。


「で、最後にルーデル。ブッ飛ばされて左側を向いてる隙に……」


『抉るんだな。任せとけ!』


 え、抉るんだけど……。ストレートに言われると、少しだけ絶望の獣(ディアボロス)が可哀想に思える。



 そして。



「よし、風向き、方角、全てよし! 食らいやがれ、絶望の獣(ディアボロス)!」


 バシュン!



 仲間達(みんな)の。



『エイミア、リルの矢が来ます。結界の一部解除を!』


「はい!」



 思いが。



「よし、今度こそ封印するのじゃ!」


「タイミングを合わせて……せーの!」


『フルパワーでいっくよおおっ!』



 連係が。



 ドスゥ!

 ギャアアアアアア!


「当たった!」


「光線は……不発ですね。では行きますよ。飛んでけリジーちゃん! ≪人間飛剣≫(フライングヒューマン)!!」


 ぶおんっ!


「あひゃあぁあぁあぁあぁぁぁぁ……」



 全てが集結し。



「……エリザ、水を頂戴」


「はい、どうぞ」


「……ここからが正念場ね。必ずさーちゃんを無事に帰す!」



 ……奇跡を起こす。



 ギュルルル……ドゴオッ!

 ギィエア!?


「クリーンヒット! 狙い通りに仰け反った! 今よルーデル!」


『おおっ! いくぜ、最終奥義≪暴狼発動≫!!』


 ズボオッ!

 ギュルルル!!


 よし、抉ってる抉ってる。あまりの苦痛に絶望の獣(ディアボロス)の視線がルーデルに注がれる。今だ!


「これで……終わりよ!」


 がぶっ!

 どくどくどくっ!


 必要なだけの毒を流し込んでから、私は離脱した。さっきの二の舞は御免だし。


『サーチ!』


「ルーデル、全てうまくいったわ。あとは待てばいい」


『待てばいいって……体内に毒でも流し込んだのか?』


「毒じゃないわ。絶望の獣(ディアボロス)には毒なんだけどね」


『はあ?』



 荒れ狂っていた絶望の獣(ディアボロス)は、やがて動きが鈍りだし。それぞれの顔が苦しそうに口を開け、泡を吹いてもがいていた。

 これが私が何回も噛みついて流し込んだ布石。この世界ではあまり知られていない毒。

 私が流し込んだのは、小麦・蕎麦・甲殻類・蜂の毒などの有名どころのアレルゲン(・・・・・)。ちゃんと二回にわけて注入し、特に反応が激しかったのが甲殻類と蜂の毒だった。それをさらに濃縮した強烈なヤツを今回流し込んでやったのだ。


「ソレイユ、今なら弱ってる+足が止まってるわ! 封印するチャンスよ!」


 そう。絶望の獣(ディアボロス)は、アナフィラキシー(・・・・・・・・)ショック(・・・・)を起こしているのだ。

ファンタジーにアレルギーを持ち込んでみた。

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