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ビキニアーマーで殺意を込めて 〜元アサシンは巨乳の夢を湯煙の彼方に見る〜   作者: メーギ・F・ツネコ
第二十一章 最終決戦でみんなでFになるんですよね!
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第十話 ていうか、最終決戦! さあ、絶望の獣! 私達の一撃を受けてみろーー!

「さーちゃん、ここは二手に別れましょう。私とリジーちゃんで絶望の獣(ディアボロス)を引き付けるわ。その間にさーちゃんは為すべき事を為しなさい」

「サーチ姉、私にお任せあれ」


「……いいんですか、院長先生」


「私は構わないわよ〜。アサシン気質のさーちゃんは、単独行動は得意でしょ〜?」


「……リジーもいいのね?」


「無問題」


「……ホントにいいのね?」


「大丈夫」


「…………リジー……覚悟を決めなさいね」


「え、ちょっと気になる、サーチ姉?」


 リジーの問いをスルーして踵を返す。そのままダッシュで離れた。


「……院長先生はまだ一本もブーメランを投げていない……。そして、リジーを残していけ、と言った……。本気を出すつもりなんだ、先生……」


 哀れなのは何も知らされてないリジーだけど……ま、言っても大変なことには変わりないし。

 院長先生の≪飛剣術≫の真価は、ただブーメランを投げることではない。何でもブーメランに(・・・・・・・・・)できる(・・・)ということだ。

 おそらくリジーも投げられるんだろうな……。大変だぞ〜、あれは。経験がある私とリファリスは、絶対に断る。

 そのうちリジーの悲鳴が聞こえるだろうけど……ご冥福をお祈りします。

 合掌、礼拝。ちーん。



 絶望の獣(ディアボロス)に近づいたところで、≪気配遮断≫を使って動きを覚られないようにする。


「さて、ここからが問題よね。あれって刃が立つのかな?」


 毛と皮下脂肪に遮られて、血管まで毒が届かない気がする。


『番よ、我の事を忘れておらぬか?』


「え? あ、三冠の魔狼(ケルベロス)? もしかして協力してくれるの?」


『……ここまで来てそれを言うのか。当たり前であろうが』


「……気持ちはありがたいんだけど……こればっかりは私が直接注入しないとダメなのよ」


『注入するのは毒であろう? 毒の生成ならサーチよりもレベルは上だが?』


「ん〜……毒ではあって毒じゃないの。これは≪前世の知識≫があって、初めて成立することなのよ」


『むむ……ならば仕方ないか。我が絶望の獣(ディアボロス)の皮膚の一部を剥ぎ取ろう。そこへサーチが注入すれば……』


「あ、それならいけるわね。でも大丈夫? 力を使い果たしちゃったんじゃ……」


『少しくらいなら大丈夫だ。一旦サーチから離れるが、左腕は残しておくから安心せい』


 そう言うと、私の左腕から三冠の魔狼(ケルベロス)が離れる。おお、確かに左腕は残ってるわ。


「……って、頭が一つ足りないじゃない!」


『ふふ、頭一つ分を力に還元しただけよ。これからは二冠の魔狼(ケルベロス)となるだけだ』


「頭一つ分をって……まさか、あんた……!」


『何も言うでない。これも我の運命(さだめ)であろう』


 ……ギリッ……


「……さよならは言わないわ。腕一本になってでも、戻ってらっしゃいよ」


『さ、流石に腕一本は厳しいが、善処しよう。だから、そのように奥歯を噛みしめるでない。砕けるぞ』


「だ、だって……」


『……フフ。最後の最後で我の為に泣いてくれるか。番よ、我はその涙だけで十分だ。それだけで絶望の獣(ディアボロス)を穿つ力となる』


「な、泣いてないわよ! ほら、さっさと行って、さっさと戻ってらっしゃい! まだまだコキ使ってやるんだから!」


『わかったわかった。では行くぞ!』


 先陣を切って進む二冠の魔狼(ケルベロス)の後ろを私は追った。この戦いに決着をつけるために。



「できれば心臓に近い場所がいいから……」


『ふむ、ならば前足の付け根辺りが良かろうな』


 絶望の獣(ディアボロス)の背後に回り込んだ私達は、チャンスを伺いつつ綿密に話し合う。


「院長先生やリルの攻撃の傷は……やっぱり塞がってるわね」


『故にチャンスは一回。しかも十数秒だ』


 十数秒あれば十分に毒を流し込める。


「あとは隙を作れれば……」


 念話水晶を取り出して、リルを呼び出す。


『……おう。何だ?』


「今いる位置から真ん中の顔の左目を狙えない?」


『真ん中? あの無表情なヤツか。この角度ならいけるぜ』


「なら、ヤツの左目に当てずに(・・・・)、矢を射ってすぐに離脱して」


『はあ? 当てずにってどういうことだよ?』


「私が見る限り、あの光線を放ってるのは真ん中の顔だけなのよ。だからわざと外して、光線を放ってもらえば……」


『あ、だから当てるなと。矢の軌道からこの場所を辿らせるためだな?』


「今の向きだと左目の方が視界に入りやすいしね。危険だけどやってもらえる?」


『何を言ってやがる。一番危険な場所にいるお前に頼まれて、断れるわけねえだろ。任せときな!』


「ありがとう。ただ、安全第一でね」


『わかってるって。じゃあ五分以内にぶち込むぞ』


 ……よし、これで隙をつける。


『成程な。攻撃中ほど無防備な時はない』


「みんなが分身を倒してくれたことで、実質『虚栄』しか残っていない。それがあの真ん中の顔だと思うの」


『……そこが攻撃に集中すれば、他の顔は無視しても大丈夫だと? 理屈ではそうかもしれぬが、賭けだぞ、それは』


「わかってる。でもそうじゃないと……私達に勝ち目はない」


『……わかった。我が番の賭けに、この命を賭けてやろう』


 そのとき、空気が震えるのを感じた。


 ドヒュン!


 私の依頼通り、左目の真上を通過していった。リル、ナイス!


 ギロッ


 真ん中の顔はすぐにリルの方向を睨み、大きく口を開ける。


 ズオオオオオオオオン!!


 強烈な熱を帯びた光線が発射され、雲を散らしていく……今だ!


二冠の魔狼(ケルベロス)、頼んだわよ!」


『任せろ。行くぞ!』


 絶望の獣(ディアボロス)に向かって特攻する二冠の魔狼(ケルベロス)。その後を追いながら、リルの無事を願った。



 ズゴオオオン!


「あ、あぶねえ……マジでギリだったぜ……。サーチ、頼んだぞ!」



『よし、予定通りに行けそうだぞ!』


「それじゃあ≪気配遮断≫を解くわよ!」


『ならば……絶望の獣(ディアボロス)よ! 我が一撃(すべて)を受けてみよ! 最終奥義≪暴狼発動≫!!』


 二冠の魔狼(ケルベロス)の全身を黄金の闘気が包み、回転しながら絶望の獣(ディアボロス)に突っ込んでいく。


 カッ!

 ズボオオッ!


 当たった!


 ギャアアアアアアア!!


 絶望の獣(ディアボロス)が苦悶の声を上げる。傷口はごっそりと抉られている。今だ!


二冠の魔狼(ケルベロス)! あなたの特攻、絶対にムダにしない!」


 私は無事に傷口に取りつき。


「食らえ、絶望の獣(ディアボロス)!」


 がぶぅ!


 おもいっきり噛みつき、ありったけの毒を流し込んだ。

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