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ビキニアーマーで殺意を込めて 〜元アサシンは巨乳の夢を湯煙の彼方に見る〜   作者: メーギ・F・ツネコ
第二十一章 最終決戦でみんなでFになるんですよね!
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第七話 ていうか、最終決戦! だけど、何だか絶望の獣《ディアボロスが》……?

 目の前にある台座。その中央に鎮座する絶望の獣(ディアボロス)。荒い息を吐きながら、周りを被う薄い膜は心臓のような鼓動を刻んでいた。


『……どうした、かかってこないのか? 私は身動きが取れないのだぞ?』


 ……ウソだ。

 絶望の獣(ディアボロス)は、絶対に力を残している。そうじゃないと自分が滅ぼされる危険性があることくらい、十分に熟知しているはずだ。

 絶望の獣(ディアボロス)が望むのは、滅亡には間違いない。だけどそれ以上に人々が絶望する姿(・・・・・・・・)を望んでいる(・・・・・・)はずだ。つまり、自分が先に滅びるわけにはいかないのだ。


「……どうしようかしらねえ〜……」


『何を悩む必要があるか? 私を倒せば、全てが終わるのだぞ? ふっふっふ……』


 ……ラスボスにしては、ずいぶんと見栄すいた挑発だこと。この私が乗るとでも思ってんのかしら。


「あーはいはい。今すぐ滅ぶわけじゃないんでしょ? だったら無問題よ」


『……妙に賢しいと嫌われるぞ、小娘』


「身長を考えれば、小娘は間違いないしね〜……」


 ……今はみんなの戦果を待つしかない。絶望の獣(ディアボロス)に変化が現れるとしたら、己の分身に何か起きたとき、しかない……。



 ……やがて。


 ゴボボ


 ん? 絶望の獣(ディアボロス)の膜の中に水泡が?


『……ぐぬぬぬぬぬぬぬ……』


 苦しそう?


『馬鹿な。傲慢(プライド)が負けただと……!?』


 あ、そういうことか。A級冒険者の院長先生が負けるわけないとは思ってたけど……意外と早かったわね。


「どうせ院長先生を一歩も動かせなかったんでしょ。ま、当然の結果よね」


『……まだ一匹目だ。これからだよ』


 ……みんな、無事でいて。



 さらに十五分後。


 ゴボボ……


 また水泡が。ということは……。


『ウグゥゥゥ……! ラ、色欲(ラスト)が!?』


 ……リファリスか。一番濃い組み合わせのとこね。


『リファリスとかいう女は、確か一対一での戦闘が不得意だったはず……そのような相手に色欲(ラスト)が負けるとは……』


 久々に人形(ほんき)になったのかしら。


「これで二連勝ね。案外あなたの分身って大したことがないのね」


『……調子に乗るなよ。残りの四体が勝利してから、一気に攻勢をかければいいだけだ』


 ……うぅ〜……胃がキリキリする……。



 ……そして三十分後。


 ゴボボボ! ボコッ


 きた!


『があああああ………! が、ぐぁあああ!』


 ……? 妙に苦しそうね。


『エ、嫉妬(エンヴィー)暴食(グラトニー)までぇぇ……! な、何故だ!?』


 リルとリジー! それにマーシャンだ!


『つ、墜落死に……何だこれは! 圧縮されたというのか!?』


 墜落死ってのはたぶん、リジーに化かされたんだと思うけど……圧縮って? マーシャン何をしたの?


暴食(グラトニー)には≪暴走≫(スタンピート)まで施したというのに……何故!?』


「あんた、一対一の戦いに介入したの!?」


『……おのれ……』


 ……聞いていない?



 ……一時間後。


 ゴボボボボボ!


 ! やった!


『ぎゃあああああああああああっ!』


 膜の中で絶望の獣(ディアボロス)が転がり回る。あれだけ苦しむってことは……かなり強いヤツが負けたってこと?


『ば、馬鹿な! そんな馬鹿なああ! ま、まさか大罪中最強の怠惰(スロウス)が負けたというのか!?』


 え〜っと、怠惰(スロウス)は……グレートエイミアとヴィーか。


『し、しかも美徳戦士が完全に覚醒するとは……! 今まで誰も成し得なかった事を……!』


 な、何かエイミアがどえらいことを成し遂げた模様。


『あの蛇娘だけならば、あと一歩だったのに……!』


 ……あと一歩ってことは、ヴィーは無事ってことか。ホッ……。


『あ、有り得ない……有り得ない……ありえない……アリエナイ……』


 ……? 何か様子が……?


『マダ一匹イル。マダ……』


 これって……イヤな予感しかしないんだけと。



 そして、二時間後。

 ついに、そのときが訪れた。



 ……エリザのヤツ……大丈夫かしら。


 ボコボコボコボコ! ガボボッ!


 あ、反応が!


『ギィエエエエエエエエエエエ!!』


 ディ、絶望の獣(ディアボロス)からもスゴい反応が。


『ナ、ナゼダナゼダナゼダアアアアア!!』


「エリザ、やったわね! これで私達の完全勝利よ!」


『ギィアアアアア! アリエナイアリエナイアリエナイイイイ!!』


「さあ、次はあんたの……番……え?」


 何か……膨らんできてない?


『いかん! 今すぐに退避しろ!』


 三冠の魔狼(ケルベロス)!?


『早くしろ!』


「わ、わかったわ!」


 急いで念話水晶を取り出して、全員に緊急連絡を発信する。


緊急(エマージェンシー)! 緊急(エマージェンシー)! 今すぐにその場から離脱! 虚空神殿(ホロウパレス)の入口付近まで撤退して!」



「な、何だよサーチ! 何が起きたんだ!」


「わかんない! 急に三冠の魔狼(ケルベロス)が退避しろって!」


 私が着くと、先にリルとリジーが着いていた。


「サーチ姉、凄く禍々しい魔力が充満してる」


「でしょうね! 分身が全部倒された辺りから、急に膨らんできたし!」


「膨らんできたじゃとお!?」


「……あ、マーシャンいたんだ」


「今着いたんじゃよ! 膨らんできたという事は……まさか身体を取り戻す気か?」


 身体を?


「身体って……さっきまで私が戦っていた分身は何だったの〜?」


 あ、院長先生も戻ってきた。


「あれは魔力の塊です。実体ではありません」


「あれ、ヴィー。グレートエイミアは?」


「この先で結界を張るそうです。ニーナさんが補助するから、と」


 結界が必要なの!?


「ねえ、来る途中であちこちが崩れてきてたんだけど!」


 ちょうど到着したリファリスが、悲鳴混じりの報告をする。


「崩れてきてるって……まさか、ここ墜ちるの!?」


『違うわ!』


 え、ソレイユ?


虚空神殿(ホロウパレス)の半分があいつの身体なのよ(・・・・・・・・・)!』


 ……は?


『それより、一人倒れてるみたいだけど!』


 え?


「……あれ? エリザは?」



 ズズズズズズ……!


「も、もう……走れ……ない」


 傷が……深い。


「せ、折角、勝ったのに……」


 足が……動か……ない。


「リファリス様……申し訳ありません」


「……何を諦めてんのよ!」


 がしぃ!


「サ、サーチ様!?」


「ほら、早く脱出するわよ!」


「リファリス様!」


「「せーの、えいほ、えいほ」」


「ちょっ! 変な掛け声をかけなくても! 私はそんなに重くありません!」


 ……ギリギリだったけど、無事に脱出できた。



 それからすぐ。

 絶望の獣(ディアボロス)は……最終形態となった。

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