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ビキニアーマーで殺意を込めて 〜元アサシンは巨乳の夢を湯煙の彼方に見る〜   作者: メーギ・F・ツネコ
第二十一章 最終決戦でみんなでFになるんですよね!
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第一話 ていうか、最終決戦! その一、院長先生vs傲慢《プライド》!

 さーて。さーちゃんの為にもハッスルしちゃいましょうか。


『我に勝てると思うたか? 随分と鼻息が荒いな、〝飛剣〟』


「流石は『傲慢』ね〜、まさに自信過剰。あなたこそ鼻息が荒いんじゃなくて?」


『そうだ、我は傲慢(プライド)。生きとし生ける者全てを見下す事こそが、我が存在価値』


 ……なんだ、つまんない。こんな天狗鼻、油断して足元をすくわれる程度の輩ね。


「じゃあその価値に自己満足しながら死になさい」


 ……シュンシュンシュンシュンガギィ!


「……あら? 防げたのね」


「いつの間に投げた? それを悟らせないとは……流石は〝飛剣〟だな」


 ふうん……ただの自信過剰ではないみたいね。


「傲慢な割には、意外と用心深いのね。てっきり今の一撃で決まると思ってたのに」


『前の我ならば、あの一撃で決まっておったな。だが「虚栄」という我よりも上の存在に、己の愚かさを思い知らされ、そして気付かされた。どのような敵にも勝ち、決して隙を見せずにいてこその「傲慢」なのだと』


「……一度の敗戦によって、それなりに(・・・・・)成長したのですね」


 私の言葉を聞いた瞬間、傲慢(プライド)の右目がピクリと動いた。狼面の割に器用だこと。


『それなりに……か。今の言葉を聞く限り、我よりお前の方が傲慢なのではないか?』


「あら、でしたらあなたを倒したら〝飛剣〟のヒルダから傲慢のヒルダに改めようかしら?」


『……戯れ言を。我に勝ってから言う台詞であろう』


「いえ。もう私の勝ちは決まっている」


『……何だと?』


「あなたは、私と戦う事を選んだ瞬間から……敗戦の運命が決まっていたのよ」


『……! どこまで愚弄するか! これ以上の侮辱は許さぬぞ?』


「許さないのはあなたの勝手ですが……もう決まってしまった事柄を、今さら覆しようはないと思いますが?」


『……もはや許さぬ! 貴様の骨一本残さず、我の胃袋に収めてくれるわああああっ!!』


 あらあら、傲慢(プライド)さんはいつから暴食(グラトニー)さんになったのかしら?


「だけど……これであなたの負けは、確実なモノになった」


『まだ言うかああああっ!! ガアアアアア!!』


 ……シュンシュンシュンシュン!

 ザクッ!


『! な、何ぃ!?』


 ……シュンシュンシュンシュン

 ドスッ! ザクザクッ!


『ぐ、ぐはあっ!』


 私の喉元に迫っていた傲慢(プライド)の鉤爪は、届く前に私のブーメランに腕ごと斬り落とされた。


『な、何故だ! 貴様はブーメランを投げる素振りを一切見せなかったのに……!』


 一旦退いた傲慢(プライド)。だけど私の投げたモノはブーメランなのよ?


 シュンシュンシュンシュン

 ズドッ!


『うごおおおっ! な、何故!?』


「ブーメランなのよ? 一度あなたを斬り刻んだとしても、飛んでいる限り戻ってくるに決まってるじゃない」


『な、ならば!』


 ゴオオオッ!


 傲慢(プライド)は口から黒い衝撃波のようなモノを放出し、自身の周りを飛び回っていたブーメランを全て粉々にした。


『よ、よし。これで……』


 シュンシュンシュンシュン! ザクザクザクッ!


『ぐあああっ! な、何故だ!? 全てブーメランを落としたはず!?』


「飛んでくるブーメランが、あれだけのはずがない(・・・・・・・・・・)でしょ」


『く、くそおおおっ! ならば全て叩き落とすまでよ! ガアアアアアアアア!!』


 再び自身を斬り裂きだしたブーメランに向かい、連続で衝撃波を放つ。が、一つブーメランを落とすと、どこからか飛んできて一つ増える状態が続く。


『うがああ! 何故減らないのだ! 確実に一つずつ落としているのに……!』


「それよりもさ〜……何時になったら戦いが始まるのかな〜? 私、まだ一歩も動いてないんだけど?」


『うるさい! もう少しでお前を噛み砕いてやるから、その場で待っておれ!』


「はいは〜い、じゃあ煙草でも吸って待ってるわ」


『こ、殺す! 絶対に殺して』


 ザクザクザク!


『うぐぅお!? ま、まだ増えるのか!』


 右から三つ。


 ズバズバ!


『ぎゃあああ!』


 今度は左から五つ。


 ドスドスドスッ!


『ぐはあっ!』


 う〜ん、見事に予定通り(・・・・)だわ……。勝手に追い込まれていく傲慢(プライド)を眺めながら、懐から煙管を取り出して煙草を詰めた。一服終える頃には、カタが付いているだろう。



 ザクザク!


『ぐ……あ……あ』


 ……今ので五十か。まだ七十は来るけど……耐え切れるかな?


 ……シュンシュンシュン


『う、うぐぅああ! まだ、まだ来るのかああ!』


 ……シュンシュンシュンシュン


『!!』


 ……シュンシュンシュンシュン


『ぐ……』


 ……シュンシュン


『……が……』


 ……シュンシュンシュンシュン


『や、止めてくれ……』


 ……シュンシュンシュンシュン


『も、もう嫌だ……止めて……止めてくれえええ!!』


 ザクザクザク!


『ぎゃああああああ! もう嫌だあああ! 止めて、止めてくれえええ!』


 ドスッ!


『ぐふぁ!? も、もう殺してくれえええっ!!』


 あらあら、もう音を上げちゃったの。意外と早かったわね。


「心配しなくても、まだまだ来るわよ〜!」


『う……うああああああああああ!』


 はい、そのまま前進して……三、二、一。


 ザンッ


『っ………ごぼぉ』


 一番大きいブーメランが上空から傲慢(プライド)を捉え、腰の部分を両断した。


「勝負あり……かな」



『……はあ……はあ……』


「どうだった、私との戦いは?」


『……げ……解せぬ。い、一体……何処から……あれだけの……ブーメランが……』


「勿論、私が投げたに決まってるじゃない」


『わ、我が前では……一度も……』


「あ、そりゃそうよ。私は此処に来る前に(・・・・・・・)沢山投げておいた(・・・・・・・・)んだから」


『な、何だと!?』


「だから私はこの場所に誘導し、言葉巧みにあなたを此処に留まらせたのよ」


『じ、事前に……投げて…………す、全て、計算通りだったとでも……?』


「そう。だから言ったでしょ? 私と戦う事を選んだ瞬間から、敗戦の運命が決まってるって」


『く……くそが』


 紫煙を吐き出し、煙管の中身を捨てる。


「結局あなた()私を動かせなかったわね」


『……いつか……いつか貴様の喉笛を、噛み千切って……や………………』


 あらら、ご臨終。


「やれやれ、呆気なかったわね」


 私が視線を外した瞬間。


 ズザッ ガブゥ!


「!!?」


『ははははは! 油断したな! 先程言った通り、貴様の喉笛を噛み千切ってやったぞ! はははははははははは!』


「あーあー。喉笛を噛み千切った割には、私喋れますけど?」


『はは……な、何だと!?』


「……あなた、まだ気付いてなかったんだ……自分の牙を確認してみたら?」


『牙を確認……? 何を馬鹿な……!!!』


「ね? 全部砕けてるでしょ?」


『い、いつの間に!?』


「さーて、覚えてるかな? 私があなたに最初にした事、なーんだ?」


『最初に? た、確かブーメランを投げて、我が牙で受け……まさか!』


「そうよ。あの時にすでに、あなたの牙は致命的なダメージを受けていたのよ。戦いの間に少しずつ砕けていった事に気付いてなかったのね」


『……ば、化け物か……』


「……化け物のあなたに化け物呼ばわりされるのは、はっきり言って不快です。だから……」


 シュンシュンシュンシュンシュンシュン!

 ドスドスザクザクザクズバッ!


『っっ……ぐぶっ』


「死になさい」


『………………我を……み……く……だ……す……な………』


 ……目から光が消えた。


「……私を一歩動かす事が出来たのは、ただ一人。さーちゃんだけよ」


 これで少しは援護できたかな? さーて、さーちゃんの決着がつくまで、もう一服しますか……。

院長先生、圧倒的な勝利でした。

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