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第十八話 七冠の魔狼封印作戦、その七! ていうか、恐るべき『虚栄』の陰謀! 復活そのモノが仕組まれたモノだった?

すいません、思い切り説明回です。

「おい、『憤怒』を切り捨てるってどういうことだ!?」


 リルは『色欲』を追いかけながらも、私に疑問を飛ばしてくる。走りながらしゃべるのって、結構ツラいんだけどなあ……。


「あんたが覚えてるかは知らないけど、マーシャンの旦那さんが秘術で『憤怒』を乗っ取った話はしたよね?」


「失礼だな! ちゃんと覚えてるさ!」


 そりゃ失敬。三歩歩くと……ってヤツは、やっぱ迷信だったわけね。


「そのときに、本来の『憤怒』は消滅しちゃったわけ。それもわかるわね?」


「……ああ」


「その後、七冠の魔狼(ディアボロス)の復活しそうになった段階で、危険を感じたマーシャンの旦那さん……三冠の魔狼(ケルベロス)は、私との契約(つながり)を辿って私の左腕に避難した」


「そ、そうなのか?」


 この辺りはわかってなかったか。


「その後七冠の魔狼(ディアボロス)が復活したわけだけど、『憤怒』は消滅したままで空っぽの状態だった」


「待って下さい。七冠の魔狼(ディアボロス)にはちゃんと『憤怒』の顔もありましたよ」


 ヴィーの疑問もごもっともだ。私の理解も、推測の域を出ないのだ。


「たぶんだけど、七冠の魔狼(ディアボロス)の存在をつなぎ止めるための、仮初めの存在だったんじゃないのかな?」


『その通り』


 うわビックリした! いきなり自分の左腕がしゃべり出すのは、心臓に悪いわ!


『他の大罪達が仮で命を与えたのであろうな。モンスターを生み出せるのだから、それぐらいは簡単な事であろうて』


「じゃあ七冠の魔狼(ディアボロス)は、最初から『虚栄』を取り込むつもりで!?」


『そうだな……それが最終目標になったのだろう。あれだけ不安定な状態で復活してしまったのだ、何より己の存在を繋ぎ止める事を、最優先にせざるを得なかったのだ』


「そこまで不安定な状態だったなんて……」


『我が「憤怒」になる事で、封印を強化していたのだが……所詮は時間稼ぎにしかならなかった』


「いいじゃない。三冠の魔狼(ケルベロス)ががんばってくれたから、今回の完全な封印方法の発見に至ったんだから」


『……そう言ってもらえれば、我も少しは報われる。礼を言うぞ、番』


「……そういう優しい言葉は、マーシャンに言ってやんなさい。それよりも聞きたいことがあるんだけどさ」


『何だ?』


「もしも今の不安定な状態で『虚栄』を取り込んだとしたら……メインの意識はどうなるわけ?」


『メインの意識……? 妙な物言いをするな、お前は』


「悪かったわね! でも言いたいことはわかるでしょ!」


『うむ。お前が危惧している通りになろうな』


 うあ、最悪……。


「サーチが危惧している事って……?」


「……今の不安定な状態の七冠の魔狼(ディアボロス)より、単体の『虚栄』のほうが安定した状態なのよ。その場合、安定した状態の意思が強く反映されるんじゃないか、ってこと」


「……! では、七冠の魔狼(ディアボロス)の意思は、ほぼ『虚栄』に染まるという事ですか!?」


「そうよ。世の中の全てに絶望し、破滅を望むに至った『虚栄』が七冠の魔狼(ディアボロス)を乗っ取る事になる………ってあれ? 確か『虚栄』って……七冠の魔狼(ディアボロス)本体の罪じゃなかったっけ?」


『何だ、知っておったのか。その件は我以外の大罪達は皆知らぬ事だぞ?』


「し、知らない!? この話は氷の真竜(マスタードラゴン)から聞いたのよ!?」


真竜(マスタードラゴン)はあくまで七冠の魔狼(ディアボロス)が生み出した存在に過ぎぬ。大罪の因子を持ってはいるが、七冠の魔狼(ディアボロス)とは別の生命体だ』


「? ……だから、何なの?」


『大罪達は七冠の魔狼(ディアボロス)の一部故に、「虚栄」(ほんたい)の意向が反映される。だが真竜(マスタードラゴン)はすでに独立した存在。七冠の魔狼(ディアボロス)の意向を無視できる』


「えっと……つまり?」


『まだわからぬか。要は大罪達には、わざと「虚栄」の存在を知らせてないのだ』


「な、何で!? 『虚栄』にとっては何の意味もないじゃない!」


『よいか、大罪達は各々が意思を持っている。意思を持つ者が、わざわざ滅びを望む者に同調するか? 自らも滅ぶ事になるのだぞ? ……まあ一部の者が賛成するかもしれぬが、全員の意見が統一される事はあるまい』


「まあ……そうでしょうね。けど三冠の魔狼(ケルベロス)の言うことが確かなら、今回のことは全て『虚栄』が仕組んだってこと?」


七冠の魔狼(ディアボロス)を弱らせ、「虚栄」自らが主導権を握れるような環境になるように仕向けたのだろうな』


「私が夢を見たときから今日まで、全て『虚栄』の計算通りだったと!?」


『……そうとしか考えられないだろう』


 ……ずっと踊らされてたってわけ? ふざけんじゃないわよ!


「絶対に『虚栄』の思い通りにさせるもんですか! 何がなんでも妨害して……」

『いや、このまま泳がせる』


「はああああっ!?」


「泳がせるって……お前何を考えて『お前?』 ……い、いえ、あなた様は何を考えていらっしゃるのかと……」


「まさか七冠の魔狼(ディアボロス)に協力する気じゃ『ギロリッ』そ、そんなわけはないと思われ」


 三冠の魔狼(ケルベロス)に威嚇されっぱなしのリルとリジーの隣で、何か考え事をしていたヴィーが口を開いた。


「……まとめて片付けるつもりですか?」


 まとめて……?


『ほう、お前も中々敏いな。我が番に相応し「全力でお断り致します」……気も強いな』


 ……ヴィーさん? なんで私の腕に組み付くのかしら?


『……ふむ。我が番の番か。ならば我の番と同列に扱ってやろう』


 理屈がようわからん!


「それよりヴィー、一体どういうこと?」


「あ、はい。つまり危険なモノは全て封印してしまおう、という事です」


「危険なモノって……七冠の魔狼(ディアボロス)以外にも?」


「ですから。『虚栄』を取り込んだ段階で七冠の魔狼(ディアボロス)を封印してしまえば……」


 ……あ、そういうこと。確かに『虚栄』だけ残すのも危険ね。


「それじゃあ三冠の魔狼(ケルベロス)は、『虚栄』の企みを察した上で、今まで見て見ぬ振りを?」


『ふ。その通りぶぼっ』

「何を考えとんじゃあああ!!」


『な、何をする!』


「何をする、じゃないわよ! 結局あんたは、私達がドタバタしてたのを見て笑ってたってこと!?」


『笑ってはおらぬ!』


「笑ってなくても、高見の見物を決め込んでたんでしょ!」


『痛い痛い! 貴様、いい加減にせぬか!』


「…………あの、サーチ?」


「何よ!」


「……自分の左腕をペシペシと叩いて、一体何をしているのですか?」


三冠の魔狼(ケルベロス)とケンカしてんのよ!」


「……周りから見ると異様ですよ」


 うるさい!

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