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第四話 ていうか、やっと露天風呂で、やっぱりこのオチ。

 結局堕つる滝(フォーレンフォール)へ行くハメに……ゴホン、行くことができるようになった。


「ダンジョンとはいえ堕つる滝(フォーレンフォール)は普通のダンジョンとはまるで違う。名前どおりに……落ちるだけだ」


 堕つる滝(フォーレンフォール)

 この世界にあるダンジョンの中でも特に攻略が難しいとされている“八つの絶望”ディスペア・オブ・エイトのひとつ。

 堕つる滝(フォーレンフォール)は攻略法はわかっているのだ。不可能なだけで。さっきも言ってたけど……攻略法はただ一つ。ひたすら落ちる(・・・・・・・)のだ。

 ダンジョンの入口は滝の一番下にある。つまりは滝に飛び込むしかない。そのままダンジョンの底まで落ち続ける。それだけのダンジョンだ。ただ落下し続けるだけではすまないのがダンジョン。モンスターも当然出現する。

 出てくるモンスターは飛行系しかいない。というか現在あちこちで出現する飛行系のモンスターは堕つる滝(フォーレンフォール)からわいたものらしい。

 例え浮遊魔術やそれに類するスキルが使えて、モンスターにも対処できるとしても攻略は不可能。なぜかと言えば、底に着くまでMPがもたない。ていうか着いたヤツいない。基本的に落ちるとこまで落ちてMP切れ直前に脱出魔法や脱出用アイテムを使う、という流れになる。

 ……当然底まで落ちたヤツもいるだろうけど……生きてるわけがない。

 今はレベルアップに最適の場所としてモンスター討伐も兼ねて利用されている。ある意味便利なダンジョンだ。

 私達が目指す場所は、底まで落ちる半ばの岩棚にある。壁側ギリギリを落ちていけば簡単に行けるので、私達でも問題ないだろう。浮遊魔術は使えないけど、浮遊石という魔道具があるため何とかなる。

 ……高いけど。


「出発予定はいつだ?」


 まったく考えてなかった。


「………………三日後」


「妙に長い()が気になるが……まあいい。ならこちらもその日にちまでには冒険者を選定しておく。それまでに準備万端にな」


「「わかりました〜」」

「あの〜」


 エイミアがおずおずと手をあげた。


「ん? 何かな?」


「もし宜しければ……オススメの宿を紹介してもらえませんか?」



「……はあはあ……ここね……」


 約二時間、歩き詰め。

 違った、登り詰め。

 ダリアさんに紹介してもらった宿「竜生館」は……山の頂上にあった。

『温泉が良質。料理も美味。しかもリーズナブル。ついでに運動にもなる最高の宿』ってダリアさん言ってたけど……ついでが長すぎるのよ、ついでが!


「ふぅ……やっと着いたな」


「こひゅー……こひゅー……」


 途中で≪蓄電池≫(バッテリーチャージ)の回復力が追いつかなくなったエイミアは、交代でリルと私の背中だった。感触は良かったけどやっぱ重いわ。


「ふう……とりあえずダリアさんが予約入れてくれてるんだっけ? あの……電話水晶とか言うヤツで」


「念話水晶だよ! なんだよでんわって」


「か、噛んだだけよ」


 危ない危ない。


「便利よね、あれ。いつかは欲しいわね」


「ああ。手紙がバカらしくなるくらいだ」


 手紙には手紙の良さがあるけどね。

 それはさておき、さっさとチェックインしましょう。


「すいませ〜ん」


「……はーい。ちょっと待っててねー!」


 奥から威勢のいい声が聞こえて来た。


「……おい、誰もいないのか?」


 遅れてリルが入ってくる。後ろにはまだ目の焦点が合わないエイミアがいる。


「いや、居るみたいなんだけど……いま手が離せないみたい」


「あと温泉まで少しなのにー! うー!」


 エイミアが悶えている。やめなさい。


「………………ごめんなさい! お待たせしちゃって」


 やっと出てきた。


「あの〜たぶんダリ」


「あー! ダリアからの紹介の方ですねお待ちしておりました私この宿の女将をつとめてますアリアともうしますどうぞお見知りおきをあーお客様を立ったままにさせて申し訳ありませんお荷物お預かりしますね山の中歩いてきて疲れたでしょうここの温泉は疲労回復の効果がありますのよ露天風呂はこちらねあそうだお食事を先になさいますかお風呂になさいますかそれともわ・た・し? あらこれは女性の方にはウケないですねごめんなさいね部屋はこちらですではどうぞげゆっくり」


 ガラッピシャッ


 ………………。


「な、何て言うか……嵐が過ぎ去ったわね……」


「……いつの間にか荷物預けてたし、部屋に案内されてたし……」


「しっかり温泉の場所まで案内されましたね」


 すごい女将だったけど……句読点はきちんとつけてほしいわ。


「それより!」


「サーチ!」


 はいはい! わかってますよ!


「さあ! 二話分も待たされたからね! 行くわよ!」

「「おー!」」


 さっき案内された露天風呂に走り込み、脱衣場で脱ぐ。周りも気にしないで脱ぎ散らかす。

 全員準備万端! さあ!


 ガラッ

 タタタッ……

 ドボーン!


「うあーっ!」

「くぅーっ!」

「あっつ! あつあつ!」

「「「しみるー♪」」」


 やっと温泉入れました〜♪


 ガラッ


「あー言い忘れてました露天風呂混浴ですので」


 ピシャッ


「「「え゛」」」


「お嬢ちゃん達、威勢がいいの〜!」


 わ。

 周り、男しかいないし……。


「…………き…………」


 パリッ……バリバリ……


「ちょっ……! エイミア落ち着」


「きゃああああああああ!」


 やっぱりこういうオチなのねしびびびびびびびびぃ!

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