ビキニアーマーで殺意を込めて 〜元アサシンは巨乳の夢を湯煙の彼方に見る〜

第二十章 いきなりクライマックスで世界を救L！？

第五話 ていうか、ついに揃った美徳シリーズ！

「……どうしよう……」

　必死になって結界破りをしてくれてるソレイユ達に、何て言えばいいのよ……。

「……言うしかねえだろ。このままグズグズしてたって仕方ねえ。それに……」

　それに？

「……一度は試してみないとダメだろ……エイミアに」

　あ、そっか。

　ぶっつけ本番ってわけにはいかないよね。

「それとよ、結界破りができるんだとしたら、それに越したことはないよな」

　そりゃそうね。

「七冠の魔狼(ディアボロス)が完成する前に、『七つの美徳』が揃ったエイミアが戦いを挑んだ方が……」

　断然、勝率は上がる…………ん？　待てよ？

「今さらなんだけどさ……『七つの美徳』が揃った状態で、七冠の魔狼(ディアボロス)に対抗できるの？」

「できるに決まって…………るのか？」

　私に聞かれても……。

「確かソレイユが一度戦ってるのよね？　で、一度は負けたって」

「七冠の魔狼(ディアボロス)にも、完膚なきまでに叩きのめされてな」

　んん〜〜……これだけじゃあわかんないわね。

「流石に何もわからん状態で戦わすわけにはいかねえし」

　……やっぱり戦ったことがある本人(ソレイユ)に聞いてみるのが一番か。

『あによ！　今は忙しいんだっつーの！』

　……流石に怒られた。でも必要なことだから仕方ない。

「ごめん！　でも重要なことだから教えて！　さっきソレイユが戦った七冠の魔狼(ディアボロス)と『七つの美徳』フル装備の美徳戦士、どっちが強い！？」

『は？　…………あ、あぁ。成程、そういう事ね。今の状態の七冠の魔狼(ディアボロス)なら、美徳戦士に分があるかな。ただ……』

「……ただ？」

『今の七冠の魔狼(ディアボロス)が本気だったかは、アタシにはわからない』

「ウ、ウソ……ソレイユ相手に本気じゃなかった可能性があるっての！？」

『その意味では美徳戦士も同じだけどね。潜在的な部分も合わせても、美徳戦士が有利かな』

「なら……もしも、七冠の魔狼(ディアボロス)が……最後の大罪『虚栄』を手に入れたら……？」

『そんなの決まってるじゃない。絶対に(・・・)勝てっこないわ』

　……なら、今のうちに何とかしないと！

「ソレイユ聞いて！　繊細は省略するけど、スワリの大手柄で希望のスティックは手に入ったわ！」

『……………………は？』

「あとで説明するから！！」

『……？？？』

「いいからこの話から離れて！　とにかく現状では私達が有利なの！　それを活かすには、完成前の七冠の魔狼(ディアボロス)に追いつけるかどうかに賭かってる！」

『つまり、アタシ達が是が非でも結界を突破しないといけないのね？』

「そういうこと！」

『なら無理』

　………………はい？

『さっき綻びを見つけて、穴を空ける事もできたの。だけど……』

　……だけど？

『……すぐに元に戻っちゃう』

「すぐにって……どれくらいでよ！？」

『ん〜……0.1秒くらい』

　うわダメだああああああああっ！！

「他に手はないの！？」

『やっぱ次元食い(ディメンジョンイート)が無いと駄目かも』

「だ〜か〜ら〜……まったく心当たりがないんでしょ！？」

『あったらとっくに手に入れてますー！』

『ん？　次元食い(ディメンジョンイート)じゃと？』

　私とソレイユがぎゃあぎゃあ言い合っていると、横からマーシャンが口を挟んできた。

『サーシャ・マーシャは結界に集中しててよ！』

『う、うむ……』

「ちょっと待って！　マーシャン、もしかして心当たりがあるの？」

『いや、噂程度で聞いただけじゃ。世の中にはドラゴンのブレス(・・・・・・・・)すら斬り裂く剣がある(・・・・・・・・・・)とな』

　………………は？

「ドラゴンのブレスを斬り裂くのが……スゴいことなの？」

『な、何を言うておる！？　ドラゴンのブレスは次元に干渉する程の力を秘めておる。そのようなモノを斬り裂くなど、次元食い(ディメンジョンイート)以外には不可能じゃ！』

　え……えええええ！？

「それって……介錯の妖刀(ムラマサ)なんて名前だったり……？」

『な、何故それを知っておる！？』

　あ、あはは……あははははは……。リジーの≪幸運の呪い≫(ラッキーカオス)、恐るべし……。

『ま、まさか、リジーが介錯の妖刀(ムラマサ)の継承者じゃったとは……』

　単なるドロップアイテムが、ここまでの重要アイテムになるのかよ……。

「けど、これで活路が見出だせたわ。ソレイユ、一旦戻ってこれる？」

『わかった。アタシだけ戻るわ』

「え？　大丈夫なの？」

『移動するだけなら問題ないわ。サーシャ・マーシャ、ヴィーをお願い』

『良いぞ良いぞ、ぐっふっふ』

「……ヴィー、マーシャンが変なことをしてきたら、遠慮なく消化(・・)しちゃいなさい」

『わかりました』

『ワ、ワシは何もせんよ！　しませんよ！』

　……その脂汗の理由は聞かないわ。

『サーチ！』

「ん？　何？」

『…………いえ、顔を見て見たかっただけです。これでサーチパワーを補充できました』

　何すかそれ！？

『『……愛されてるねえ』』

　うるさい！

「時間ないんだから、さっさと降りてきなさい！」

『はいはい。じゃね〜』

「ヴィー！」

『はい』

「しばらく同部屋禁止！」

『そ、そんな』

　ブツンッ

　……たく。

「リジー、聞いてたと思うけど」

「わかった。またつまらぬモノを斬ってくる」

　それは斬ってから言うセリフだよ！　ていうか何で知ってるのよ！？

「よ、よろしく頼むわ……」

　さて、残る問題は……リルが孫の手代わりに使ってる希望の……って、おい！

「ちょっとリル！　あんた、何で背中掻いてるのよ！？」

「んあ？　……あ、わりぃわりぃ。この先端の星がちょうどいいんだよ」

「世界を救うための武器で何しとんじゃあああああああっ！！」

「サーチ、それ何ですか？」

　私とリルが騒いでる間に、ほぼケガが治ったらしいエイミアが寄ってきた。

「エイミア、大丈夫なの？」

「あ、はい。あと肋骨が二本くらいです」

　ダメじゃん！

「お、ちょうどいいや。エイミア、これ持ってみろ」

「って、ちょっと！　まだ何も装備してないのに」

「あ、そっか。エイミア、美徳シリーズを全部装備して」

「へ？　装備するなって言ってませんでした？」

「いいから、早く装備しなさい！　脱がすわよ！？」

「わ、わかりました！　装備します！　装備しますから脱がすのは止めてくださああい！！」

　……三十分後。

「ふう……あとはティアラだけです」

「……大丈夫ね」

「？？　……何がですか？」

　一応、希望のスティックも持たせてるんだけど……。

「それにしても、この孫の手は一体？」

「孫の手じゃねえよ！　ていうか、この世界の孫の手は星形なのか！？」

「……この世界？」

　あ、しまった。

「誤魔化しついでに……えい！」

　エイミアの頭にティアラを付ける。すると。

　きらきらぴかああああああん！

　お、変身した！

「この世界の穢れを祓う為、この世界の未来を守る為！　華麗に参上、美徳戦士グレイイイイイット、エイミアアアアア！！」

　………ウザさ倍増。