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第三話 ていうか、いよいよサーチ連合軍vsドラゴンの合戦!

 屋根の上に、急拵えの投石器を五つ設置し終わった頃、エイミアから念話が入った。


『アブドラさんがドラゴンの団体さんに、停戦の呼び掛けを行ってくれるそうです』


「それはありがたいけど……アブドラってそこまで影響力あるの?」


『アブドラさんの話では、確か上から六十番目だそうです』


 ビミョーだな! ていうか、おもいっきり中間管理職じゃないか!


「…………期待せずに待っとくわ。エイミアの治療はまだかかりそう?」


『えっと………あと三十分くらいだそうです』


 三十分かあ……間に合わないな。


「エイミアはそのまま治療に専念して。万全な状態になったら、来てくれればいいから」


『……わかりました。御武運をお祈りしてます』


「……そうは言うけどさ、もし救護室(そっち)にドラゴンが行ったら、エイミアががんばるしかないのよ?」


『……うげ……』


「だから……あんたにも御武運を祈ってるわ」


 投げキッスをしてから念話を切った。


「さて……どう、リル。≪身体強弓≫(バリスタ)の調子は?」


「……いつでも……いけるぜ!」

 バヒュン!

「……おー……飛距離、さらに延びたんじゃない?」


「ま、あれからちょくちょく改良して完成させたからな」


 以前に氷河の城壁(アイスキャッスル)近くで、スノードラゴンを倒す際に使った≪獣化≫(アーマード)と≪全身弓術≫の複合弓術。さらに磨きをかけ、新たなスキル≪身体強弓≫(バリスタ)に昇華させたのだ。


「なら長距離でも、かなりの被害を与えられるわね。これで短中長が揃ったか」


「長距離は私が担当でいいな」


「ええ。私とリジーとで近距離と中距離を受け持つわ」


 投石器がスゴい威力を発揮するわ。近くに来られても、私の羽扇とリジーの梯子で撃退できるし。


「……きた! あっちあっち!」


 望遠鏡で辺りを見回していたリジーが、南南東を指差す。


「……確かに……うっすらと雲みたいなモノが広がってるな」


「……ちょうど一時間半……スワリの予測は当たったよ……」


 恐るべし、スワッチ。あとで謝っとこう。


「各自戦闘配備! リルは先制攻撃をお願い!」


「わかったけど……いいのか?」


「ん? ……ああ、アブドラの説得? ここまで来た以上は、無罪というわけにはいかないわ。遠慮なくぶっ放って!」


「……了解!」


 リルは竜のヒゲを両足にかけ、短槍を番える。


「いくぜ、≪獣化≫(アーマード)!!」


 フルパワーで竜のヒゲを引っ張り……。


「アニャアアアアアアアア!!」


 ドヒュン!

 ヒイイィィ……


 お、音速を超えてるんじゃないの?


 ィィィィ…………ズドオオオオオン!


 あ、ソニックブーム発生。


「な、何あれ? リル姉の新しい技?」


「ししし知らねえよ!」


 ……説明するのはよそう。めんどくさそうだし。


「何でもいいわ。たぶんドラゴン達は今の衝撃で、相当浮き足立ってるはずだから」


「……なら、もう何発か射ち込むか?」


「そうね……射てるだけ射ち込んどいて。リジー、私達は投石器の準備をするわよ」


「うぃ!」


 ……ホントにリジーはどこで覚えてくるの?



『く、くそお!? あの攻撃で半数は墜とされたぞ!』

『ただでさえアブドラの説得で離脱してしまった者が多いというのに……』

『アブドラの腰抜けに付き従う者など不要よ! 我らだけであの有翼人(ハーピー)を引っ捕らえるのだ!』

『『『おう!』』』

『見えてきた! 暴風回廊(ゲイルストーム)だ!』

有翼人(ハーピー)はあそこで間違いないな!?』

『匂いは捉えている。間違いない』

『ようし! まずはブレスによる攻撃だ! 総員準備を…………ん?』


 ………ィィィィ


『な、何の音だ?』


 ィィィィィィイイ


『何か飛んできて……皆、避けろーー!』


 イイイイ……ボンッ!

 どっかあああああああああんんっ!


『『『うっぎゃあああ!!』』』


『い、一体何が起きてい』


 ィィィイイイ……ボンッ!

 どごおおおおおん!

 ズッドオオオオオン!


『ぎゃああああ!』

『うぐああああああ!』

『な、何なんだああ、これはああああ!』



「……どうやら大混乱しながらも、ここに来るのを止める気はないみたいね」


「たぶん匂いで追ってきてるだな」


「……なら、鼻をツブしてやればいいだけよ。リジー、そろそろ始めるわよ」


「うぃ!」



『よーし、射程に入った。一斉にブレスで攻撃だ!』


『一撃で決めるぞ!』



「あ、見えてきた。そろそろ射程だぞ?」


「よーし……リジー! 全部いっちゃって!」


「おーらい!」


 ブチブチブチ!


 リジーが投石器を全て解放した!



 ひゅんひゅんひゅん!


『投石器の攻撃だ!』


『ふん! 投石ぐらいで、我らに傷つけられると思っているのか?』


 ぼふん! ぼふん!


『こ、これは石では…………はくしょおん!』


『ゲホ! ゴホゴホゴホゴホ!』


『は、鼻が……へぷしょん!』


『な、何なんだああ、これはああああ! ぶあっくしょい!』



「サーチ姉、あれは何?」


「えっと、コショウでしょ、トウガラシでしょ、鷹の爪にハバネロ、ワサビにカラシに山椒……」


「っておい! ほとんど何かわかんねえけど……コショウはいくらすると思ってんだ!」


 ……意外と闇深き森(ディープフォレスト)の道端に生えまくってたよ、コショウ。



『は、鼻が……』


『目が! 目がああ!』


『おのれえええ……! もはや許さん! 塔ごと吹っ飛ばしてくれる!』


『待て! 落ち着け!』


『グオオッ!』


 ゴオオオオ!!



「あ、ブレスきたぜ」


「OK。リジー、試し斬り行ってらっしゃい」


「じゃんぼ」


 それは返事として間違ってる!



『……ん? 何か光が……?』


 シャキイン!


『な……!?』


『ブ、ブレスが真っ二つに……!』


『い、一体あそこには、何がいるのだ!?』



「リジー、介錯の妖刀(ムラマサ)の斬れ味はどうだった?」


「ブレスも問題なく真っ二つ。無問題」


「よし、リジーはしばらくブレス斬ってて。斬り洩らしは私が対処するから」


「なますて」


 それも違う!



『ぜぇ……ぜぇ……ぜぇ……も、もう一発!』


 ゴオオオオ!!

 シャキイン!


『ま、また斬られた………もう無理だぁ』


『まだだ! まだ諦めてはならぬ! 全員で協力してブレスを一点集中だ!』


『『『おおっ!』』』



「……おい、やべぇぞ。全員揃ってブレスの準備してやがる」


「え? マジ?」


 ……それは……ヤバい。



『行くぞ、せーの……』



『こおらあああああ! 何をしとんじゃああああ!!』



『ひ、ひぃ!?』


『い、今のは……魔王?』



『アタシのダンジョンに何する気だあああ!?』



『あ、いやその……』


『な、何もする気はありません!』



『なら帰れえええっ!!』



『『『す、すいませんでしたあああっ!!』』』



 ……あれ? 急に回れ右したわね。


「……退散したぞ」


 とりあえず……助かった。

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