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閑話 史上最弱美少女戦士グレートエイミア その二

 ……数日後。


「…………」


 トントンッ


 英美亜ちゃんが登校中、不意に肩を叩かれました。振り向いてみると。


「ちゃお♪ 英美亜ちゃん♪」


「…………」


 バキィッ!


「ふごっ!」


 ニコニコと笑って登場した魔王……じゃなくてソレイユ様は、英美亜ちゃんの渾身の左ストレートで吹っ飛んだ。


「い、いたた……いきなり何を」


 ぶちっ


「痛」


 ぶちぶちぶちぶちぶちぶちぶちぶち……


「い、痛い痛い! や、止めて! 羽根を抜かないで……痛い痛い痛い! きぃあああああ!」



「あ、あ〜……羽根がこんなに……」


「……私のすり減った心はそんなモノじゃないんですけど……」


 そう、英美亜ちゃんが初めて変身した後。


『あっはははははは! 英美亜、サイコー! それ、ベリーグッドよ……ぶくく……いひゃひゃひゃひゃひゃ!』


 腹を抱えて笑い転げる幸ちゃん。


『…………何か悩みがあるのですか? 私で良ければ相談相手になりますよ?』


 ……深刻な表情で涙ぐむヴィーちゃん。


『熱は……ないよな。ちょっと待ってろ、今から救急車を……あ、それは恥ずかしいか? ならタクシーを呼ぼうか』


 スマホでタクシー会社の電話番号を調べるリルちゃん。


 カシャッ カシャカシャカシャカシャ


 ……自前の一眼レフで撮りまくる理事ちゃん。

 一同揃ってのあまりの対応に、正気に戻った英美亜ちゃんは。


『いい加減に…………しなさあああああい!!』


 ずどおおおおおおん!


『『『『うきゃああああぁぁぁぁ……』』』』


 何か力みたいなモノをフル解放してしまい、幸ちゃん達もろとも、寮を半壊させてしまったのです。

 原因不明の爆発に見舞われた寮は閉鎖され、英美亜ちゃん達は古〜い昔の寮に移る羽目になったのでした。

 その諸々の怒りと八つ当たりを込めた左ストレートが、ソレイユ様にクリーンヒットしたのです。


「あ、あははは……力は馴染んできてるみたいね」


「天使さん、私に何をしろと言うのですか!? 世界征服を企む秘密結社と戦え、とでも言いたいの!?」


「え〜、そんな秘密結社なんてあるわけないじゃん」


「じゃ、じゃあ何故!?」


「ん〜……正直に言えば……アタシの趣味かな? ニャハ♪」


「…………」


 めきめきばきぃっ


「ぎぃゃあああああああああ! アタシの翼が……うっぎゃああああああ!」



「……で、学校に連れてきたの!?」


 昼休みに屋上で、昼ご飯を食べている英美亜ちゃん御一行。その中に何故か、片翼でわんわん泣くソレイユ様がいました。


「だって……放っておけないじゃないですか」


「いやいや、どう考えても英美亜が原因だろ」


 リルちゃんの突っ込みに言葉を詰まらせる英美亜ちゃん。


「……間違いありません。本物の翼です」


「英美亜姉………よく翼をブチッとできたね」


 翼をもがれた跡に包帯を巻きながら、ヴィーちゃんと理事ちゃんが感心しています。凄い力ですよね……。


「うぐっ、ひっく……美徳戦士の力が身体に馴染んできてるから……うえええん」


「なるほどねぇ……あの変身は伊達じゃなかったってわけか」


 幸ちゃんは残りのサンドイッチを食べると、形の良い足を組みました。短いスカートの間から……黒であります!


「でさ、英美亜。何で天使の翼をぶっ千切っちゃったわけ?」


「そ、それは……」


 冒頭の会話内容を、英美亜ちゃんが事細かに説明します。話が進む度に、ソレイユ様へ向けられる視線がが白いモノに変わっていきました。


「……英美亜が正しい」

「英美亜に一票ですね」

「英美亜、加減しなくてもよかったんだぞ」

「英美亜姉、( ̄▽ ̄)b」


「ひ、酷い! 酷いわあ!」


「「「「お前の方が酷いわ!!」」」」


 ……結局ソレイユ様は傷が癒えるまで、寮の空き部屋に住む事になりました。幸ちゃん曰く「詳しい事情がわかる人がいたほうがいい」……そうです。



「……で♪ せっかくなんだから、美徳戦士の力をもっと知らないとね♪」


 日曜日に、突然幸ちゃんに連れ出された英美亜ちゃん。人気のない森の中に入ると、幸ちゃんはニヤニヤしながら振り向き。


「ここならいいでしょ。さ、変身しなさい」


「へ、変身ですか!?」


「英美亜、あんた格闘技はど素人でしょ? プロレスマイスター兼暗殺……じゃなくて格闘技のに精通してる私がレクチャーしてあげるわよ」


 今、何気に暗殺とか言ってたのは、多分妖怪のせいですね。


「レクチャーされる意味は無いんですけど……わかりました。少し待ってて下さいね」


 そう言うと英美亜ちゃんは、上着を脱ぎ始めました。


「んしょんしょ」


「……」


 ……五分経過。


「よいしょよいしょ」


「……」


 ……十分経過。


「せ、背中に手が届きません!」


「……はい」


「あ、ありがとうございます」


「……ねえ、英美亜」


「あとは靴を履いて……何ですか?」


「変身じゃなくて着替えじゃないの、それ?」


「は、はあ……でも美徳装備に着替えないと変身できないので」


「どっかの魔法少女みたく一瞬で変身しなさいよ!」


「私に言わないで下さい! こういう仕様にしたソレイユに言って下さいよ!」


 ……悪の組織と戦ってなくて、本当に良かったです。変身中にやられること請け合いです。


「……わかったわよ。早くして」


「もう少しですから……よし、あとはスティックを」


 ぴかああああっ!


「光ったってことは……変身完了よね」


「この世の悪を裁く為、この世「それ言わなくてもいいから!」…………はい」


 途中で止められて、何だか不服そうな英美亜ちゃん。言いたくないのか、言いたいのか、よくわかりません。


「力はどうなの? やっぱり普段とは比べモノにならない?」


「私に不可能はありません! 立ち塞がる悪を打ち砕く力、誰にも負ける事はない!」


「…………ねえ、そのしゃべり方……どうにかならないの?」


「は!? ……だ、駄目です! 意識してないと……口調が……勝手に変わります!」


 何か呪われてるみたいですね。


「ん〜……そんなことに意識を向けられて、戦いに集中できないのは考えモノだし……まあいいわ」


「わ、わかりました。じゃあ……私の訓練に付き合ってくれてありがとう! 正義の為に協力して下さい」


「………………ウザ」


「言わないで下さい! 私だってそう思ってるんですから……」


「……さて、行きましょうか。構えなさい」


「はい」


 二人の間に緊張感が漂っています……。どんな戦いになるのでしょうか。


「では行きます! 受けよ、正義の鉄拳! グレートエイミアフォースパーンチ!」


 ごぅお!!


「え……うぐ!? ひぃあああああぁぁぁぁぁ……」


 ゴロゴロゴロ……ばたーん


 あれれ? 幸ちゃんが吹っ飛んでいきましたよ?


「あ、あれ? 幸?」


「……あ、当たってないのにこの威力……?」


「えっと……訓練続けますよ。次は……グレートエイミアエターナルキーック!!」


 ぶごおっ!!


「ちょっと待っうぎゃあああああぁぁぁぁぁ……」


 ゴロゴロゴロ……ばたーん



 この後、幸ちゃんは散々吹っ飛んでいきました。こちらの世界では、幸は普通の人間なんですね。

だんだん止まらなくなってきましたので、またいつか書きます。

明日から新章です。

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