表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
423/1883

閑話 史上最弱美少女戦士グレートエイミア! その一

悪のりです。

 それは現代日本で、とある街の片隅で、一人の巨乳少女に起きた奇跡(ふこう)の物語。



「いやあああ〜〜〜!! 変態変態へんたあああああい!!」


「げ〜へっへっへ。待てよお嬢ちゃん〜〜!」


 見るからに「変態」を絵に描いたような男に追っかけ回される少女こそ、メインヒロインとなるエイミア……ではなく英美亜ちゃんです。一生懸命走るのと同時に、巨乳がばいんばいんと揺れます……ちっ。


「誰かああ! 助けてくださああい!」


「げ〜へっへっへ!! 誰も助けなんかに来ねえよ!! 大人しくしな!」


 哀れ英美亜ちゃん、変態男の毒牙に……!

 と、その時!


 どごっ!


「ぶへっ!」


 あまり描写したくない場所を押さえて転がる変態。


 ごすごすごすごすごすごす!!


「あぃぎゃぃああああああああ……がくっ」


 押さえていた場所を更に踏みつけられ、男は泡を吹いて失神した。


「……あ〜あ、このハイヒールは処分ね。ばっちいばっちい」


 しかもハイヒールですか。流石に男に同情。


「え〜っと……大丈夫だった?」


 英美亜ちゃんの目の前には、とってもゴージャス美人な黒羽根の天使が立っていたのです。


「は、はい。ありがとうございます」


「そ・れ・よ・り・も。何故私があなたの前にいると思う?」


 ……英美亜ちゃんは後退りしながら、ハッキリと答えました。


「コミケ帰りですか?」


「……こんだけバサバサ動かせる衣装(つばさ)があったら凄いわね」


「あ、本当です。バサバサと…………って本当に天使さんなんですか!?」


「もっちろん! アタシはソレイユ。よろしくね」


「は、はい。よろしくお願い致します」


「さーて、まずは用件から……」


 ソレイユがパチンと指を鳴らすと、空から突然くす玉が現れ……。


 ぱんぱかぱーん♪


 ラッパ音と共に鳩が飛んだ。


「!!??」


「おっめでと〜ございま〜す! 抽選の結果、英美亜ちゃんが次の美徳戦士に選ばれました〜〜!」


「……………………はい?」


「いやあね、前の美徳戦士は『こんな恥ずかしいの、やってらんない!』 とか言って急に失踪しちゃってね〜〜」


「え、えええ??」


「そしたらすぐに再抽選されてさ。助かったわ〜〜、次期美徳戦士が物分かりのいい子で♪」


「あ、あの??」


「はい、これが美徳戦士の装備。で、これがトリセツだよ〜」


「あ、どうも……」


「それじゃ頑張ってね。アデュー!」


「は、はい。アデュー…………じゃないですよ! 美徳戦士って何なんですかああああっ!?」


 ……英美亜ちゃんの虚しい叫び声が、夕焼けに染まる街にコダマした……。



 ギィッ


「ただいま〜〜」


「あ、おかえり。何を疲れた顔してんのよ……」


 寮に戻った英美亜ちゃんを、二人の女の子が出迎えた。


「あ、幸。ちょっと聞いてくれませんか?」


 セーラー服にエプロン、片手にお玉を持って出てきた子は幸子ちゃん。みんなからはサーチ……じゃなくて(さち)と呼ばれている。


「聞いてって言われてもね〜……私は料理当番だから忙しいのよ」


「え、幸が料理当番!? やった♪」


 どうやら幸ちゃんは料理が得意らしい。もう一人いる女の子も嬉しそうにしている。


「やったって……また太っても知らないわよ」


「私は胸に栄養が回るから大丈夫です」


「くっ……その胸、私によこせ」


「なら幸の括れと交換しましょう」


 英美亜ちゃんの言う通り、幸ちゃんはプロポーションが抜群です。


「イヤよ。私がどれだけ苦労して維持してるか、わかってるんでしょ?」


「幸のトレーニングに付き合った事がありますが、あれは修行の域に達していますよ……」


 幸ちゃんと一緒にいた女の子は蛇乃さんと言います。みんなからはヴィーと呼ばれているようです。


「あ、そうだった。ヴィー、お願いだから宿題助けて」


「……自分でやらないと身に付きませんよ?」


「わかってるんだけどさ。そこは私とヴィーの仲じゃないの。学校一の頭脳を私に貸してよ。ね、ね?」


「……し、しかし「今夜一緒にお風呂」仕方ありませんね。少しだけですよ」


 ……ヴィーちゃんは頬を真っ赤に染めて了承しました。幸ちゃんとヴィーちゃんはもしかして……?


「ヴィー! 幸にくっつき過ぎですよ!」


 あれれ? 英美亜ちゃんが怒りだしたぞ?


「あ、申し訳ありません」


「で? 英美亜は何を聞いてほしいのよ?」


「…………あ、忘れてました。これを見て下さい」


 英美亜ちゃんは風呂敷に包んであった美徳装備一式と、汚い字のトリセツを幸ちゃん達に見せたのでした……。



「あっはははは! 何これ、趣味わりぃ〜」


 英美亜ちゃんの部屋に上がり込んだ三人は、風呂敷を広げてキャイキャイと騒いでいます。


「これってさ、コスプレイヤーがいらないコスチュームを押しつけてったんじゃないの?」


「そ、そうかもしれません……。で、でもあの羽根は本物でした!」


 そんな二人を尻目に、ヴィーちゃんはトリセツを黙々と読み続け。


「英美亜、足を」


「え……きゃあ!」


 ヴィーちゃんは英美亜ちゃんの足を引っ張ると、膝にブカブカの膝あてを履かせました。スカートがはだけて……あ、白ですね♪


「ちょっとヴィー、こんなブカブカなヤツ、英美亜には………ていうか……小さくなってってる!?」


 あーら不思議。ブカブカだったはずの膝あては、英美亜ちゃんにジャストなサイズに収まったのです。


「ななな何これ!? スゴいわね!」


「現代の技術ではあり得ない事です。これは……もしかすると……」


 ヴィーちゃんは何か考え込みました。そして幸ちゃんはニンマリと笑い……。


「……英美亜♪ これは全部試着しないと……ね?」


「え!?」


「というわけで強制執行開始!」


「ちょ、ちょっと幸! ブラまで……嫌、待って下さい!」


「ええい、抵抗するなあ! ヴィー手伝って!」


「はい」


「そ、そんな! 優等生のヴィーまで……いやあああああああ!!」


 ……百合は美しく咲きます。ポッ。



「おい幸! 料理当番ほっぽって何してんだ!」


 英美亜ちゃんを中心に騒いでいると、猫を思わせる活発な女の子が怒鳴り込んできました。


「っ! 幸、ヴィー……お前ら、英美亜を剥いて何してんだ……?」


 カシャッカシャッ


 すると女の子の後ろからシャッター音が。


「……何でスマホで写真撮ってるんだよ、理事」


「シャッターチャンスだと思われ」


 猫みたいなハーフの女の子がリリー・ルー、略してリル。リルちゃんの背後からスマホで撮影していたのが理子。親が学校の理事を務めているのであだ名が理事(リジ)


「止めてください、撮らないでええ!」


「理事、止めなさい」


「むぅ……幸姉がそう言うなら従う」


「ちゃんとポーズをとらせないと売れないわよ」


「成程。流石は幸姉」


「成程じゃなああああい! 私を金儲けの材料にしないでくださああい!」


 などとジャレ合ってるうちに、英美亜の着替えが終了したようです。


「うっわ……どピンクだな」


「英美亜姉、何かポーズとって」


「見ないでくださああい!」


 リルちゃんと理事ちゃんが弄っている間に、英美亜ちゃんはスティックを渡されました。


「これで完成ね」


 すると。


 ぴかああああっ!!


「「「「ま、まぶしい!」」」」


 英美亜ちゃんを光が包みます。



「……この世の悪を裁く為、この世に正義を示す為! 救いの光よ、今ここに!」


「な、何が起きてるの?」


「さ、さあ……」


 光が収まると、そこに立っていたのは……。


「美徳戦士グレートエイミア降臨!」


「「ええ〜〜!?」」

「英美亜が……壊れた……」


 カシャカシャカシャッ


「……神映像」

長くなりましたので、明日も。

すいませんがお付き合いください。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ