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第二十五話 ていうか、だんだんと七冠の魔狼の影が……!

「その希望のスティックはどこにあるの?」


「今までと同じよ。〝八つの絶望〟ディスペア・オブ・エイトがあるところ……つまり」


 ソレイユは上を指差す。


「……虚空神殿(ホロウパレス)よ」


 ……正真正銘、最後の〝八つの絶望〟ディスペア・オブ・エイトか。


「どんなダンジョンなの?」


「複雑すぎて忘れた」


 がくっ


「わ、忘れたって……あんたが作ったんでしょ!?」


「この暴風回廊(ゲイルストーム)と同じで、元々あった回廊にダンジョンコアを放り込んで改造しただけなのよ」


「改造しただけって……ん? 回廊?」


「一応は虚空神殿(ホロウパレス)〝八つの絶望〟ディスペア・オブ・エイトに数えられてるけど、それ自体はダンジョンじゃない。真のダンジョンは虚空神殿(ホロウパレス)に到るまでの道なのよ」


「み、道? 遥か上空に浮かんでるんでしょ? それこそ魔術で空を飛んでいくとか、ソレイユに転移してもらうとか、塔のてっぺんに棒を差し込んでビューンと伸ばすとか」


「……最後のがよくわかんないけど……まずは魔術で近づくのは無理。かなり強力な結界が張られてるから、近付くだけで弾き飛ばされるわ。あと転移だけど……これも無理ね。おそらく結界によって転移が阻害されるだろうし、何より……」


 ソレイユは窓の外をチラリと見て、ため息をついた。


「……今は魔力を消費するわけにはいかないのよ」


 ソレイユの視線の先には、まだ到達されていない大陸と、間に広がる絶海があった。やっぱり未知の大陸に何かが……?

 イヤ、今は七冠の魔狼(ディアボロス)の方が重要だ。ソレイユが抱えてる難題については、この件が片づいてからにしよう。


「……わかったわ。私達だけの力だけで回廊を突破してみせる」


「……うん。ありがとうサーチ」


「ところで………回廊って何?」



「……これよ」


 疑問に答えるには、現物を見せるほうが早い……ということで、ソレイユに連れられて暴風回廊(ゲイルストーム)の頂上に連れてこられた。

 ……だけど……。


「……黒い……穴ね」


「白い穴は見た事ないわね」


 そりゃそうだ。


「これは異空間への入口を固定してあるの」


「異空間!? まさかソレイユが言っていた回廊って……」


「そーだよー。暴風回廊(ゲイルストーム)から虚空神殿(ホロウパレス)内部を繋ぐ異空間の道。それが回廊だよ」


 異空間の……トンネルかな。


「要は無限の小箱(アイテムボックス)の応用よ」


「ア、無限の小箱(アイテムボックス)のね……何か一気に最終ダンジョンの威圧感が消えたわね……」


「どういう意味よ」


「気にしない気にしない。それより……難易度は?」


「ふっふーん。そこは手抜かりはないわ。ちゃーんと大規模ダンジョンに仕上げてあるわよ」


 うわあああっ! 大規模になっちゃってるの!?


「しかも全長は大陸横断トンネルの五倍!」


 うっぎゃああああっ!


「しかも回廊内に出てくるモンスターは…………何と! ドラゴンオンリー!」


「アホかああああっ! そんなダンジョン攻略できるかあああ!」


「はあ? 何言ってんのよ?」


 ソレイユは人差し指を「チッチッチッ」と左右に振る。


「攻略前提でダンジョンを作るわけないじゃない」


 偉そうに言うなああああっ! その変なこだわりが、私に困難をもたらしてるのよおおおっ!

 ……あ、待てよ。無限の小箱(アイテムボックス)と同じで……時間の経過が遅い?


「ふ、心配ご無用! ちゃーんと外の時間と同じように時間経過するから!」


 何で悪い方向に改造しちゃってるかな!?


「……な、なら仕方ないわね……。すぐにでも攻略を始めるしか」



 ゾクリッ



 ……!!


「ソ、ソレイユ……?」


「サーチも気付いた? この気配は……」


 ……七冠の魔狼(ディアボロス)


「『七つの美徳』の気配に引かれたの!?」


「……いえ、違う。力をほぼ取り戻した可能性が高いわ」


「力を!? それじゃあ全ての真竜(マスタードラゴン)が……!」


「力を渡したんでしょうね。感じられる波動も、以前とは比較にならない」


 ……時間稼ぎも通用しなかったか。


「あとは最後の力を……虚栄を求めてきたんでしょうね」


「な、なら急がないと! 七冠の魔狼(ディアボロス)が力を得るか、私達が希望のスティックをゲットするか……時間の勝負じゃない!」


「もうそんな段階じゃないわ……! 早く隠れて!」


「え、ちょっ……」


 その瞬間、私の足元に穴が開き……そこからの記憶が途絶えた。



「……っと! ソレイ…………ユ?」


 一瞬暗くなったと思ったら、辺りはすっかり日が落ちていて。


「……ぅ……しまったなあ……。魔力を消耗できないってのに、かなり使っちゃった……」


「!! ……ソレイユ!? 何よこれ!!」


 周りは穴だらけのヒビだらけ。どこの廃墟だよって言うつっこみが入る状態だ。その真ん中で。


「イッタタタタタ……あんにゃろ……」


 ズタボロになったソレイユが寝っ転がっていた。


「何でこんなことになってるのよ!」


「……少しくらいさ……魔王としての威厳を示してやろっかなーって……」


 ……つまり、魔王の威厳は木っ端微塵に粉砕されたわけね。


「……致命傷はないみたいね。少し待ってて……ヴィー! 聞こえる、ヴィー!」


 念話水晶でヴィーを呼び出す。


『………サーチ? どうしたのですか? 随分と長く魔王様と話していたようですが』


「ごめん、今すぐに屋上に……」


「バ、バカサーチ!」


 ブウウン……


「来て……え?」


「わ、わかりました……え?」


 あ、あれ? 目の前にヴィーが?


「だ、ダメだって……。あそこは危険すぎる……」


 ソレイユが……転移を?


「ま、魔王様!! 一体何が!?」


「事情はあとで。とにかく治療を!」


「は、はい! ≪完全回復≫(フルリカバリー)!!」


 ヴィーが治療に専念してる間に、ヴィーと一緒にいたリルに説明する。


「な、何!? 七冠の魔狼(ディアボロス)が、ここにか!」


「ソレイユが戦ったんだけど、こてんぱんのメッタクソのズタボロに負けたわ」


 後ろで「善戦したもん……」といううめき声が聞こえたけどスルー。


「……ソレイユがこてんぱんのメッタクソのズタボロに負けるくらいだ。私達の手には負えないな」


 背後から「リベンジするもん……」といううめき声が聞こえたけどスルー。


「ソレイユの話だと七冠の魔狼(ディアボロス)の完成も近いみたいだし……。私達も早く美徳装備を全部揃えないと」


「ってことは……私達も急いで回廊に行かないといけないんだな!」


「ちょっと待って。それは得策じゃないわ」


 ソレイユが危険だって言うくらいだし。


「はあ!? じゃあどうしろってんだよ!」


「いい? ただでさえソレイユのひねくれた内心が反映されたような、超難解なダンジョンに……」


 背後から「覚えてなさいよ……」といううめき声が聞こえたけどスルー。


「完成間近の強力な七冠の魔狼(ディアボロス)までいるのよ? あとを追うのは無謀だわ」


「じゃ、じゃあどうするんだよ!」


「こういう場合わね……。ズルい手を使うのよ」


「……はあ?」


 他の部屋で休憩してるエイミアとリジーの元へ向かった。もちろん、悪巧みに協力してもらうために。


「……何で毎回、急展開なんだ?」


 知らねえよ。

作者の都合だよ。

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