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第一話 ていうか、ダウロ前に熊。

新章開始です。

 私達がいる大陸の中央、ど真ん中にある活火山オン・バンブー。その火山活動の恩恵によって周辺には数多くの温泉が湧いていた。

 中でも最も名前が知られているのがダウロである。温泉地であり保養地であり……大規模ダンジョンへの玄関口。ダウロには温泉目当ての観光客だけではなくダンジョン目当ての冒険者も集まって来る。

 そんな冒険者として、私達もダウロに向かっていた。



「リル。方向は間違いないわよね」


「ああ……方角は間違いない……方角は」


「だけど……ここは先程も通りましたよね」


 ……夕方だ。

 おかしい。予定ではもうとっくに着いているはずなんだけど。


「うーん……地図通りなんだけどな……」


 リルは地図や辺りの地形を見比べたりしてウンウン唸っている。私もコンパスで方位を調べてみるけど……正常だ。


「ていうことは……マズいわね、幻惑の森かも」


 ていうか、エイミアは…………あれ?


「エイミアー?」


 どこいった?


「こ、ここですー……」


 上から声が聞こえた。え、まさか?


「エイミア……なんで木に登ってるの!?」


 落ちる! 落ちるって!


「だ、大丈夫ですよー」


 て言いながら揺れてる揺れてるって! 落ちてきたら受けとめようと思ってエイミアの真下へ……。

 ……あ、薄いグレイだ。


「さ、ささ最近気が気が気がつつつ」


「とりあえず何かに捕まれ!」


 太い幹に捕まって一息つくエイミア。見てるこっちのほうが心臓に悪いわよ。

 ……結構大胆なの履いてるわね。


「ふう……最近気が付いたんですけど、私の≪蓄電池≫(バッテリーチャージ)って探索みたいな事もできるみたいなんです」


 探索? 雷系のスキルだから、磁場とかわかるのかな?


「ねえ、まさかレールガ」

「駄目ですサーチ! それ以上は言ってはいけません!」

「ああ、なんか……久々にヤバい感じだった」


 ごめんなさい。○つければよかったのかな。


「ごめん、話が逸れたわ……エイミア、どうぞ」


「は、はあ……それでなんですが、私の中に溜めた静かなる雷が少なくなると静かなる雷が」


「ちょっとストーップ! エイミア、静かなる雷っての今度から静電気って言わない?」


 リルは小首を傾げつつ。


「せいでんきですか? 短くて言い易いですね。わかりました」


 いちいち静かなる雷じゃ長ったらしいのよ。


「そのせいでんき? が溜まっている場所とかがわかるんです」


 なんでひらがななのかしら……まあ、それは置いといて。

 やっぱり磁場的なことかな? でもエイミアなら幻惑の森の力の影響を受けずにすむかも。


「それじゃあエイミア、静電気が沢山溜まっている場所を探してみて」


 この時期だから人の多い場所には静電気が多いでしょ。


「わかりました! ……大地に溢れし静か……じゃなくてせいでんきよ、私を汝等の元へ導かん」


 ……せっかくの詠唱が「せいでんき」のせいで何だか台無しだわ。ていうかエイミア、スキルだから詠唱いらないんじゃないの?


 パリ……バリバリ……


 エイミアが静電気を帯び始める。

 そして。


「……あっちです!」


 エイミアの黄金の髪が北西を指し示した。

「…………く…………」

「プ、プププ」

「あっははははははは!」


 あ、リルが先に笑い出した! あー駄目、我慢できない!


「プゥー、ブハ! ははははははは!」


 あー可笑しい!

 ごめん、エイミア。でも……エイミアの髪が……針みたいに……ブフゥ


「あははははははははは! けほっけほ! お腹、お腹痛い……あはははははははんぎゃあああああ!!」


「サーチ〜! リル〜!」

 バリバリバリバリ!

「わ、悪かった悪かったごめんんんんいいいいいいいい!」

「ああああ! ごめんなざいいい!」



「ま、まだ痺れる……」

「か、身体が……けほ!」


「……今度笑ったら電撃釘棍棒ですからね!」


 電撃釘棍棒が何かはわからないけど……ごめんなさい。

 あれからエイミアの髪が指し示した方向へひたすら歩いた。 出てくるモンスターは植物系の弱いヤツやボーンラビットみたいなザコばかりで何とかなってる。

 ただし、夜になると大変なことになる。この辺りは夜にCクラスの強敵がゴロゴロ現れる。運が悪いとBクラスのモンスター、ブラッディーベアも出てくるのだ。今の私達ではとてもじゃないがムリだ。あっという間に全滅だ。


「エイミア! 違ってたら恨むわよ!」


「そ、そんな〜……」


「んなこと言ってる場合か! 早く走れ走れ!」


 そう。

 私達の後ろには……。


 グワオオオ〜!


 ……早速ブラッディーベアがいるのだ!


「ヤバい! あっちのほうが足速いぜ!」


「エイミア! あんたの妖○レーダー反応ないの!?」


「妖……? ……あ! 前! すぐ前!」


 前?

 あ、町の結界だ!

 全員でラストスパート!


 ダダダダ……!


「「た、助かったー!」」

「セーフ!」


 後ろではブラッディーベアが結界に行く手を阻まれて唸っている。しばらくすると退散していった。

 町にはモンスターが侵入しないよう強力な結界が張られている。この結界は風属性なのでエイミアの妖○レーダーに反応したのかな。とにかくエイミア様様だわ。

 こうして無事に私達は町に入った。


「た、助かった」


 安全になった、とわかった途端に三人揃ってへたり込んだ。

 ……いくらドラゴンを倒したことがあっても状況が違う……マジで怖かった。


「……あれはムリだね」


「まあな。ブラッディーベアだもんな……」


「……ドラゴンより怖いです〜」


 ……確かになかなかインパクトはあったわね。

 まあ、何はともあれ。

 ダウロに到着した。



「そういえばエイミア、結構下着は大胆なのね」

「グレイだったよな……黒のほうが色気があっていいんじゃね?」

「ななな何で知ってるんですか!」


 ローブって……いわゆるワンピースだから……。


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