ビキニアーマーで殺意を込めて 〜元アサシンは巨乳の夢を湯煙の彼方に見る〜

第十七章 原点回帰でキビCんです！

第二十三話 ていうか、今回は最初から最後まで自由落下。

　ものスゴく久々な感覚だ。ずいぶん昔に、アサシン仲間に誘われてやったっけ……。

　でも……バンジージャンプなんか目じゃないくらいの高さね。

「……ここが〝八つの絶望〟《ディスペア・オブ・エイト》に数えられてるのって……絶対にこの高さが原因な気がする……」

「……私も同意見です。ここで回れ右した冒険者も多いでしょうね……」

「リルじゃなくても恐いですよ、これは」

「そうかの？　ワシは平気じゃが……」

　……そうね……何とかと煙は高い場所が好きって言うし……。

「……何じゃろう？　妙にサーチに魔術をぶっ放したくなったのじゃが……」

　止めれ。

「まあうだうだしてても仕方ないか……ヴィー、エイミア」

「「はい？」」

「ごめん」

　ドンッ！

「「え？　……ぎぃゃああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ……」」

「おーおー。どんどん小さくなってくわねぇ」

「サーチ……お主を好いていてくてれる娘じゃろ。もう少し労ってやらぬか」

「そう？　私は十分に大切にしてるつもりだけ……ど！」

　どがっ！

「な、何でワシは蹴られるんじゃあああああぁぁぁぁ……」

「……余計なことを言うなっつーの……それ！」

　私自身も飛び込み、重力に身を任せた。

　ごおおおお……

「あ、追いついたわ……やっほー、ヴィー、エイミア」

「サーチ！　押す前には一声かけて下さい！」

「ごめんごめん……お、ヴィーはちゃんとスパッツを履いてるわね」

「当たり前です。落下するダンジョンにスカートで挑む程、私は無謀ではありません」

「……無謀なエイミアに、何か言うことは？」

「ありません」

　前回同様、スカートのまま来ちゃったエイミア。必死にスカートを押さえているため、もはや戦力外確定。使えねえ……。

「私は聖術で、陛下は魔術で対抗できますが……サーチはどうするのですか？」

　ふふーん。ちゃんと考えてあるのだ。

「実はこれを大量に作ってきたのよ」

「それは……？」

　取り出して見せたのは、石と石をヒモで縛って繋げただけのモノ。

「これはね、ボーラっていうの。本来は相手の足に絡ませて、行動を阻害するための投擲武器ね」

「そ、それを使うのですか？」

「そ。敵の翼にね(・・・・・)」

「あ、成程……」

　鳥はもちろん、空を飛ぶ生き物にとって翼は超重要な箇所だ。そこに片方でも、石が二個もぶら下がったら……ま、飛ぶのは不可能ね。

「そうなったら墜ちていくしかないから、当然戦闘不能よ」

「戦わずして勝つ、という訳ですか……。流石サーチです」

　……何て言ってたら……早速おいでなすったわよ！

「右からスネークフライ四匹！　各自戦闘準備！」

「了解！」

「了解なのじゃ！」

「きいあああ！　スカートが、スカートがあああ！」

「……エイミア使えねえ……ヴィー！　マーシャン！　キツいの一発ぶちかまして！」

「うむ！　行くぞ蛇の女王！　≪風撃弾≫(ウィンドバレット)」

「ヴィーと呼んで下さい！　≪聖風弾≫《ホーリー・ウィンドバレット》！」

　二つの風の弾がスネークスカイを貫く！

　グギャア！　ゲア！

　……血飛沫を散らしながら、三匹が落下していった。

　グオオオッ！

　生き残った一匹がエイミアに迫る！

　ブウンッ！　ぐるぐる！

　ギアッ！？

　スネークスカイの牙がエイミアに届く前に、投げたボーラが翼に絡みつく。飛べなくなったスネークスカイは無念の叫びをあげながら闇に消えていった。

「エイミア！　スカートにばっか気を取られてちゃダメよ！　もっと集中しなさい！」

「す、すみません！」

　エイミアはスカートをギュッと縛って固定する。

「……これで大丈夫です！　すいませんでした！」

「もうフォローできないからね！？　……ちっ、次が来たわよ！　左側から氷結鳥三羽！」

「ヴィー、斜め下の氷結鳥を頼む！　≪火炎球≫(ファイアボール)！」

「わかりました！　≪聖火弾≫《ホーリー・ファイアバレット》！」

　ズドオン！　ジュウウ……

　クワアアアッ！？

　高熱に翼を溶かされて、氷結鳥は墜ちていった。

「ナイス連携！　息が合ってるじゃない」

「いえ、陛下がリードして下さるので」

「いやいや、ヴィーの純粋な腕じゃよ。見事なモノじゃ」

「ですって、ヴィー。マーシャンに評価されても、あんまり名誉ではないけど」

「ひどっ！？」

「そ、そんな事はありません！　陛下に評価して頂く事は、とても名誉な事です！」

「……私に誉められるのとどっちがいい？」

「勿論サーチに決まってます！　サーチに誉められるのと比べたら、陛下のなんか下の下の下です！」

「下の下の下……」

　あ。マーシャンが傷ついてる。

「でもマーシャンはハイエルフの女王なのよ？」

「たとえハイエルフの女王でも、サーチに誉められるのには敵いません！　陛下の評価なんか(・・・)、ゴミ箱にポポイのポイです！」

　……なんか……ポポイのポイ……。ヴィーが毒を吐きまくってるよ……。

「う、うぐ……そ、そこまで言わなくても……う……うわああああああん！」

　あ、泣いた。

「は！？　わ、私ったらなんて恐れ多い事を！？　陛下、申し訳ございません！」

「うわああああああん！　わあああああん！」

　あーうるさい。

「マーシャン。ヴィーが添い寝してくれるって」

「「なっ！？」」

「本当か！！　よし、ならば今「止めて下さい！　サーチ、言って良い事と悪い事がありますよ！　何で私がそんな穢らわしくて(・・・・・・)悍ましい(・・・・)事をしなくてはならないのですか！？」……ひ、酷過ぎるのじゃあああ！　うわああああん！」

「あーあ……止めを刺しちゃった……」

「わ、私ったら何て無礼な事を……！」

「いいのよ。マーシャンの扱いは、いっつもこんな感じだから」

「は、はあ……」

「じゃあスピード上げるわよ〜！　エイミアもちゃんと付いてきなさいよ！」

「はい！」

　そう言うと空気抵抗の少ない体勢になり、一気に落下スピードを上げた。

「うわあああん！　うえええええええん！」

　……盛大に泣くマーシャンを置いて。

　ぶおんっ！　ぐるぐるぐるん！

　イギィアアアァァァ……

　ボーラが翼に絡みつき、モンスターが墜ちていく。そろそろボーラのストックが……。

「前に来たときに比べたら、モンスターが少ないわね」

　アブドラ達が探索がてら、かなり片付けてくれたようだ。感謝感謝。

「それにしても……随分墜ちてきた気がしますが……全く最下層は見えてきませんね……」

　うーん……そろそろ浮遊石のストックもヤバくなってきたのよね……。

「……一体どれだけの深さなのやら……。ヴィー、もし浮遊石が無くなったら脱出聖術をお願い」

「わかりました、お任せ下さい………………って脱出聖術！？」

「え？　あるでしょ？」

「脱出聖術なんて聞いた事ありません！　私には使えません！」

　は、はいい！？

「何で！？　マーシャンだって使えるよ！」

「≪脱出≫は魔術です！　聖術には存在しません！　少し前に話したはずですが！？」

　そ、そういえばそうだったっけ！？

「マーシャン！　ぷりーずへるぷみいいいいいっ！！」