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第二十二話 ていうか、マーシャンが加わって戦力増強!

「いいもん、いいもん。どうせワシなんか……」


 あ〜あ、めっちゃ拗ねた。


「エイミア〜……あんだけマーシャンが離脱するときに泣いてたの、あんたでしょ……一番忘れてちゃマズいんじゃないの?」


「う゛っ! ……そ、それはそうなんですけど……」


「折角、助けに来てやったというに……ああ、心に傷が……」


 マーシャンの鋼鉄の心には、傷一つつかないでしょうが。


「あの、えと……ごめんなさい……」


 エイミアがシュンとして項垂れる。その瞬間、マーシャンの目がキラーンと光った。


「この心の痛み……エイミアの胸で癒すのじゃあああああっ!」

「え……ぎゃああああああああ!」


 隙をついて、マーシャンはエイミアの胸の谷間に飛び込んでいった。


「……エイミアもいい加減に、マーシャンの姑息な手段に慣れなさいよ……」


「あの、サーチ? あの変態……じゃなくて御仁はどなたですか?」


「あ、そっか。ヴィーは初対面なのね。マーシャンって言って、私達のパーティのメンバー」


「え? このパーティの? という事は………ま、まさか……ハイエルフの女王、サーシャ・マーシャ陛下ですか!?」


「そ。普段は単なる変態ロリババァなんだけどね」


 ヴィーが驚きの声をあげている間に、マーシャンは引き剥がされて地面に転がった。


「……な……な……何をするんですかあああっ!」


 エイミアの≪蓄電池≫(バッテリーチャージ)≪鬼殺≫(バーサーク)が発動する。


「ま、待てエイミア! それは洒落にならん! 待つのじゃ! 冷静に……」

「絶対に……許しませえええええんん!!」


 どがごおっ! めごっ! ばきゃ! ごすごすごす! ずどばきゃあ!


「がっ! ぶっ! た、助けでぃえ! し、死ぬぶぅ! ぎぃ、ぎぃあああああああああ!!」


 うーん、久々の光景で感慨深い……。


「ちょっ! サーチ、止めなくていいんですか?」


「大丈夫大丈夫。これ、いつものことだから……」


「い、いつもの事って……サーチ達は陛下であっても容赦ないのですね……」


 ……あ、そうだった。ヴィーも要注意だったんだ。


「ヴィー、あんたも気をつけなさいよ。たぶんマーシャンのタイプだから、夜中に忍び込まれたりしかねないわよ」


「…………わ、わかりました」


 ヴィーへの注意喚起が終わったころ、エイミアのお仕置きも終わったらしく……。


「……ひ、ひでぶぅ……」


 マーシャンがズタボロになって倒れた。


「だ、大丈夫ですか!?」


「ぐ、ぐふ……お、お主は……?」


「私はへヴィーナと申します。最近このパーティに加入させていただきました。どうぞお見知り置きを」


「お、おお……お主が……サーチが言っておった蛇の女王じゃな……よろしく頼む……のじゃ!」


「なっ!?」


 ……やっぱりマーシャンのフェイントか。まんまとヴィーの胸元に飛び込んだ。


「な、何をなさるのですか!?」

「連れないのう、蛇の女王よ。挨拶じゃよ、あ・い・さ・つ」


 ヴィーは私に視線を向ける。私は「殺っちゃえ」という意思の元、縦に首を振った。


「むー、柔らかいの『がぶっ』あいだだだだだだ! な、何事じゃ!」


 マーシャンの頭には、デカい蛇が噛みついていた。


「……陛下。いくら何でも……お戯れが過ぎませんか?」


「あ、いや、冗談じゃ。冗談じゃよ。わ、ワシは新しい仲間との親睦を図ろうと……」


「親睦を図る? 謀るの間違いではありませんか?」


「そ、そんな事は……」


 あ、冷や汗をだらだら流してる。


「それと言っておきますが……」


「な、や、止めい! 飲み込むでない!」


私の胸(これ)を弄んで良いのは、サーチだけです。以後、お気を付け下さい」

「むごごごご……ん〜〜〜……」


 ごっくん


 あ、飲んじゃった。


「……ヴィー。一応ハイエルフの女王だから……」


「大丈夫です。程よく(・・・)消化しますから」


 ……消化するのに程よくもクソもないような……。


「あ、それより。サーチも気をつけてくださいね?」


「ん? 大丈夫よ。私は慣れてるから」


「……そうですか。サーチの胸(わたしのモノ)が汚されたらどうしようかと……」


「……ヴィーさん? 今、字と読み方が一致してなかったんじゃない?」


「気のせいです」


 ……ま、いいけど……。



「……それじゃあ、前回堕つる滝(ここ)に潜ったときと同じ方法で?」


「うむ。それしか手段はないじゃろ」


 確かに。


「浮遊石はあるか?」


「もちろん買い足してある……はず」


「あ、大丈夫です。私の無限の小箱(アイテムボックス)に入ってます」


 なら大丈夫ね。


「な、何ぃ!? お主ら、いつの間に無限の小箱(アイテムボックス)を!?」


「え? 旅の途中で……ていうかマーシャン持ってないの?」


「持っとらん! 何故か魔王の許可が下りんのじゃ!」


 ……魔王の許可?


「何で無限の小箱(アイテムボックス)持つのに、ソレイユの許可が必要なわけ?」


「ん? 知らぬのか。まあ知っとる者の方が珍しいからの」


「……?」


無限の小箱(アイテムボックス)を創造したのは、他ならぬソレイユじゃよ」


 そ、そうなの!?


「わ、私も知りませんでした……」


 ヴィーでも知らないとなると……よっぽど知ってる人は限定されるわね。


「あやつはいい加減に見えるが、魔王の器である事は間違いない。〝知識の創成〟(アカデミア)でも成し得なかった事も、あやつなら出来よう」


 ……すごい人だったんだ。


「……ねえ、サーチ。もしかしたらですけど……ソレイユが本気で取り組んだら、私達よりも先に七冠の魔狼(ディアボロス)の件を解決できちゃうのでは?」


 ……私もそれは思った。


「無理じゃな」

「無理ですね」


「え? 何で? ていうか何でヴィーまで否定?」


「……魔王様はお忙しいですから……」


 ……?


「ま、あやつにはあやつの戦いがあるのじゃ。お主達に打ち明けぬ理由は、察してやるのじゃな」


「……すみません……。私からは言えません……」


「そ、そんな! 私達仲間じゃふごっ!?」


 エイミアの口を塞ぐ。ちょっと黙ってなさい。


「マーシャン、ヴィー。気にしないで。ソレイユの事情は聞かない。ただ……私達はソレイユに何かあったら、私達は必ず助けに行く。これは船の底抜きボトム・フォールアウトの方針です! みんな、異議はある!?」


「ないのじゃ」

「ありません!」

「私もありません……魔王様が聞いてたら泣いちゃいますね」


「よし! ソレイユが心配をかけまい、とがんばってるんだから! 私達も負けずに堕つる滝(フォーレンフォール)の最下層を攻略するわよ!」


「「「おー!」」のじゃ」



「……ねえ、リル姉」


「ん? 何だよ?」


「私、大分制御できるようになってる。別に行っても大丈夫だったよ?」


「…………いいんだよ。まだ不安がないわけじゃないからな」


「……自分が高い場所が恐いからじゃないの?」


「ななな何のことだ?」


「……動揺し過ぎ」

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