表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
367/1883

第二十一話 ていうか、ドラゴンさん達の探索終了! 結局見つからず……。

 朝になって、ようやくドノヴァン特攻隊ドラゴン部隊が戻ってきた。


『ド、ドノヴァン特攻隊……?』


 気にしないで。エイミアの黒歴史なんだから。

 そして、アブドラから詳しい調査報告を受けることになった。


『おほん! ……では詳しい事を説明します。まずは堕つる滝(フォーレンフォール)入口より約20m下で見つかった横穴について……』


 入口から20m下!? 意外と近い場所にあったのね。


『調査の結果……スカイスネークの住処でした』


 がくっ。


『続きまして……その35m下にて見つかった亀裂について……』


 亀裂か。大きさによっては、何かを隠すこともできるわよね。


『調査の結果……ただの亀裂でした』


 がくっ。


『続きまして……その右斜め下にあった横穴について……』


 ………。


『調査の結果……何もありませんでした』


「ちょっと待って。横穴って全部で何ヵ所あったのよ?」


『全部で、ですか? 亀裂も含めれば………一千万ヶ所以上の報告があがっています』


 ……ちょっと待て。


「それ、全部調査してくれたのよね?」


『無論』


「……その結果を、全部読み上げる気?」


『無論』


 ……無言で深爪した。



『いだい! いだい! いだあああい!』


 泣き叫ぶアブドラから調査報告書を奪い、ザッと目を通す。


「…………あ、たまに武器や装備品も見つかってるのね。それって集めてあるの?」


 音竜(ソナードラゴン)達は尻尾をブンブン動かしながら頷いた。犬かよ。


「それ全部エイミアに献上して」


 音竜(ソナードラゴン)達は『喜んで!』という顔をしながら、エイミアの前に戦利品を積み上げていく。


「へえ……結構あったのね」


「ど、どうします、これ……」


 山のように積まれた武器や装備品を、呆気にとられた顔で見上げるエイミア。


「とりあえず、あんたの無限の小箱(アイテムボックス)に収納しときなさいよ。落ち着いたら詳しく見てみましょ」


「は、はい」


 エイミアは戦利品の山を、一気に無限の小箱(アイテムボックス)に放り込んだ。


「……一気にこれだけの量が消えるって……何度見ても圧巻ですね」


 ヴィーの呟きもわからないではない。無限の小箱(アイテムボックス)を獲得してから結構経つけど、収納時のインパクトにはいまだに慣れないのよね……。


「あと……相当数のモンスターの死体もある……か」


 流石にモンスターの死体は……当然素材はいっぱい取れるけど、剥ぎ取りだけで何年かかるやら……。


「ドロップアイテムだけは貰うわ。あとはあんた達が好きにして」


 音竜(ソナードラゴン)達から歓声? があがる。


『ぐすんぐすん……サーチ殿、本当に貰っていいのか、と音竜(ソナードラゴン)達が申しておりますが……』


 ……深爪くらいで、大のドラゴンが泣くなっつーの。


「いいわよ。私達じゃ処理に困るだけだし。剥ぎ取りしようにも、時間がかかり過ぎちゃう……」


『わかりました。音竜(ソナードラゴン)にとっては一番のご褒美となりましょう』


 そうなの?


音竜(ソナードラゴン)達はもうすぐ繁殖期の為、今のうちに食糧集めに精を出すのです』


 なるほど、切実だな。


「ワイバーンはいいの?」


『我らは魔素が食糧となります故、全く問題ありません』


「……だからダンジョンの近くに住み着いてるのね」


 ダンジョンの近くは魔素が濃いからね。

 あ、魔素ってのは、空中を漂う魔力みたいなモノの総称ね。


「ただ……結論から言えば、『七つの美徳』の象徴らしきモノは……発見できなかったのね」


『はい……申し訳ありませぬ』


 別にアブドラ達を責めるつもりはないわよ。


「それに……ダンジョンの壁を探さなくてもいいってのは、堕つる滝(フォーレンフォール)ではマジでありがたいし」


 九割以上壁だからね。


『成程……調査すべき場所は、自ずと限定されますな』


 ……誰も到達したことがない……最下層。



「……リジーの様子はどう? もうそろそろ来れそう?」


 最下層に行くのなら、リルとリジーの戦力は不可欠なので、念話水晶でリルに連絡をしたんだけど……。


『ダメだな。まだいまいち安定しないんだよ』


「そう……じゃあ、まだ無意識で≪化かし騙し≫(トリック)を発動しちゃう?」


『……悪いときは、寝ながら発動しやがんだよ……』


 そりゃダメだ……ちょっと連れていけないわね。


『何だ? まだダンジョンへ潜ってないのか?』


「ヴィーのアイディアでさ、音竜(ソナードラゴン)の力を借りたのよ」


音竜(ソナードラゴン)!? どうやって!?』


「エイミアの≪竜の絆≫よ。効果てき面だったけど……結局見つからなかったわ」


音竜(ソナードラゴン)でもか……』


「で、可能性が残されたのは、まだ誰も到達したことがない最下層ってわけ」


『なーるほどな……それで私に声をかけたってわけか……すまねえな』


「仕方ないわよ。他の助っ人を考えるわ」


『他の助っ人? ……ま、まさか!?』


「そ。まさか」



「……というわけでリルとリジーは不参加決定」


「え!? それは困りましたね……」


 夜。

 私達は夕ご飯を食べがてら、リルとリジーが欠員することへの対策を話し合っていた。

 すると、エイミアが得意気に言った。


「大丈夫じゃないですか? アブドラさんや音竜(ソナードラゴン)さんの力を貸してもらえば」


「……あんたさあ……アブドラの話を聞いてなかったの?」


「へ?」


 聞いてなかったのね……。


音竜(ソナードラゴン)達はもうすぐ繁殖期だって言ってたじゃない。今は準備で大事な時期だから、あまり迷惑はかけられないでしょ」


「そ、そうですね……うーん……」


 さっきの勢いはどこに行ったのか、急に静かになるエイミア。あんたが言ったことは、とっくに検討済みよ。


「魔王様に……頼んでみますか?」


「ヴィーもムチャ言うわね……ソレイユはMP切れでウンウン唸ってたわよ?」


「うー……そうなんですが……」


 さて……そろそろかな。


「そういうわけで、私が個人的に助っ人を呼んじゃいました」


「「ええ!?」」


「たぶんあんた達じゃ伝がないと思ってねー。ビックリしたでしょ?」


「い、一体誰ですか!? 私の知ってる方ですか?」


「そーねー……ヴィーは知ってるでしょうけど、会ったことはないわね」


「はい! はい! 私は!?」


「あんたが知らないはずはないわ」


「「う、う〜〜ん……」」


 ……ヴィーはともかく、エイミアがわからないのはダメだからね……。


「…………あ、わかりました!」


 エイミア、どうぞ!


「リフター伯爵夫人ですね!」


 ……あ、背後でコケた気配が。来てるのね。


「ブッブー。違います」


「……もしかして……秘密の村の死霊魔術士(ネクロマンサー)ですか?」


「ブッブー」


「あ! 帝国の革命の時の……〝下弦の弓〟!」


「ブッブー」


「……デュラハーンさん?」


「ブッブー」


 ……この問答が三十分続いた。だんだん飽きてきたわよ。


「もういいわ! 正解ね……出てきていいわよ」


「………………しくしくしく」


「……え? この声は……」


「もうワシの事を忘れたのじゃな、エイミア……しくしくしく」


 エイミアは口をパクパクさせてから、叫んだ。



「マ、マーシャン!」

ついにマーシャン降臨。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ