表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
340/1883

第二十一話 ていうか、明かされる真竜誕生の秘密!

『お、お前達は何なんじゃ! 人を散々、瀕死状態にまで追い込みおって……!』


 はいはい、ごめんごめん。


「それより〜七冠の魔狼(ディアボロス)〜について〜さっさと〜教えなさいよ〜〜」


『な、何じゃ! 異様にムカつくな……』


「まあまあ。ここは私に任せてくれよ」


「リルが……? まあいいけど……」


『おほ♪ ビューティフルヒップのリルちゅわんではないか♪』


 ……やべ。今全身を悪寒が走った。トリハダが一気に……。


 ごっ!

『あぎゃあ!』

 ごっごっごっ!

『いだあい! 止め……いで! いでえ!』

 リルによる向こうずねへの連続攻撃! あれは痛い……。

「もうめんどくせぇのは御免なんでな……さっさと七冠の魔狼(ディアボロス)について、知ってること全部吐け」


『な、何ちゅう無体な真似を……!』

 めきっ

『いぎゃああああ! 小指、小指があああ!』

 うわあ……足の小指へのピンポイント攻撃! 器用ね……。


「さっさとしゃべれ」

『痛いーー! 痛い痛い痛いいいいい!』

「痛い痛いうるせえんだよ!」

 めきっご! めきっご! めきっご! めきっご!

『あぎゃらばやはらはー!!』


 スゴい、向こうずねと小指への波状攻撃!


「……次は本命の深爪いくけど……」


『わかった! わかりました! 言う! 言います! 言わせていただきます〜〜! だから堪忍してえ〜〜……ウワアアアアアアン!!』


 あ、マジ泣きしちゃった。


「サーチ。これが死なない程度の攻撃(つっこみ)のお手本だ」


 ……確かに向こうずねや足の小指をいくら攻撃されても、致命傷に至ることはないわね……。


『ぶくぶくぶく……こひゅー……ぐふっ』


「リル姉、瀕死になっちゃった」


「な、何ぃ!? げ、脈がない! ……ヴィー、あの……」


「……本当に疲れてるんですけど……。何回≪回復≫(リカバリー)をやらせる気なんですか?」


『おお……天にまします我らが神よ……今、お近くに……』


「リル姉、魂が天に召されかけてる」


「げええっ!? 逝くな、逝くんじゃねええ!! 頼むヴィー! マジで頼む!」


 スゴいわ、リル。魂の尻尾を捕まえて、昇天を防いでる……。


「やってあげて、ヴィー。リルをコキ使う権利三日分で」


「それには一切興味ありません」


「……私との混浴」


≪完全回復≫(フルリカバリー)の三乗!」


 ……このヴィーのやる気の源、何とかなんないかなあ……。



 ……めっちゃムダな時間を浪費しまくって、ようやく本題に入れた。


『……七冠の魔狼(ディアボロス)〝八つの絶望〟ディスペア・オブ・エイトを巡っておるのは知っておるな?』


「ええ。それぞれの属性の力を集めて、自らの存在を安定させるんだって」


『成程。大体の(・・・)事は知っておるようじゃな』


 大体の?


「何よ、その言い方だとまだ何かあるような感じがするんだけど?」


『その通りじゃ』


 え?


『お前は知っておるか? 〝八つの絶望〟ディスペア・オブ・エイトが、かつては〝七つの絶望〟ディスペア・オブ・セブンであった事を』


 ……そういえば……闇深き森(ディープフォレスト)だけは、マーシャンが作り出したダンジョンだったのよね。


「……闇深き森(ディープフォレスト)だけが後から作られたダンジョンだから……じゃないの?」


『お、知っておったのか。中々に博識じゃのう』


「サーチはくだらねぇことばっか知ってるからなぐぼぉ!」


 リルに教えてもらった「死なない程度の攻撃(つっこみ)」をリル自身に試してみた。

 ……リルは悶絶して崩れ落ちた。


『……お前は仲間にも容赦ないのう』


「ほっといて。それで? 闇深き森(ディープフォレスト)が出てきたってことは、マーシャン……サーシャ・マーシャも関わってるの?」


『何と! ハイエルフの女王を知っておるのか!』


「パーティメンバーよ」


『な、何と……。どうやらお前達は、大きな使命を担っておるようじゃの……』


「そんなの知ったこっちゃないんだけどね……。で? 続きは?」


『あ、うむ。〝七つの絶望〟ディスペア・オブ・セブン。これを魔王様が作った理由はわかるか?』


「秘密の村のカモフラージュと、真竜(マスタードラゴン)への嫌がらせでしょ?」


『そこまで知っておるのか……本当に魔王様と友達なのじゃな……』


 まあ一緒に温泉にも浸かった仲だしね。


『その真竜(マスタードラゴン)じゃが……属性を司っているのは知っておろう。実は司っておるのは、属性だけではない』


 ははあ……七つ(・・)だもんね。


「……七つの大罪ね」


『そういう事じゃ。滝の真竜(アクアマスター)は「暴食」、炎の真竜(ファイアマスター)は「怠惰」、地の真竜(ランドマスター)は』


「『色欲』よね」

「『色欲』だな」

「『色欲』一択」

「……あの方は『色欲』以外はあり得ないと思いますけど……あなたも『色欲』なのですか?」


 あ、そうだわ。こいつも「色欲」以外はあり得ない気がする。


『私か? 私は「強欲」じゃ』


 あ、それがあったか。


「ていうか『強欲』って確か『物欲』よね? あんた女性を『物』扱いしてるわけ?」


『私からすれば人間など「物」と同様』


 最低だな!


『さてと。ここまで言えば〝七つの絶望〟ディスペア・オブ・セブン七冠の魔狼(ディアボロス)が立ち寄る理由が、属性だけではないとわかるな?』


「それぞれの真竜(マスタードラゴン)が七つの大罪を司ってる……。どう考えても七冠の魔狼(ディアボロス)と何か繋がりがある、と考えるのが自然よね……」


『……そうじゃな……』


「それは話してくれないの?」


『全ては語らぬよ。多少はお前達自身にも、御足労願おう』


「じゃあリルに御足労願いましょう」


「向こうずねか? 小指か? それとも……深爪か?」


『私達真竜(マスタードラゴン)は元々七冠の魔狼(ディアボロス)の力の一部じゃったんじゃ!』


 あっさりゲロったな!

 ていうか力の一部ですって!?


『自らの頭同士の争いを悔いた七冠の魔狼(ディアボロス)は、己の力を分離して各地に封印した。そして再び過ちを犯さぬよう、監視役として真竜(マスタードラゴン)を生み出したのじゃ』


「……その割には七冠の魔狼(ディアボロス)には『様』付けせずに、魔王(ソレイユ)には『様』付けするのね」


『当たり前じゃ! 生むだけで放りっぱなしの輩と、私達を何かと気にかけてくださった魔王様とは違うわい!』


「え? 確かソレイユは『真竜(マスタードラゴン)への嫌がらせ』って言ってたけど……?」


『……魔王様は素直ではないからのう……』


 ……ああ、ツンデレってことか。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ