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第十八話 ていうか、氷の壁を越えた先にあったのは……?

 氷の壁が開いた先にあったモノは。


「ダンジョンコア……じゃねえな」


 そこにあったのは、複数の氷でできた台とテーブル。

 正面には真っ平らに磨き上げられた、映画のスクリーン並みの大きさの氷があった。


「何これ? 映画でも観ろっていうの?」


「えいが?」


「念話水晶に映し出されるような動く絵を、大画面で観られるようにしたヤツ」


「動く絵……なるほど……」


 動画って言っても通用したかな? まあいいか。


「座ればいいんでしょうか?」


 そう言ってエイミアが氷の椅子に座った。すると。


『御一人様、エントリー』


 ……と、氷の画面に文字が浮き上がった。


「え、えんとりい……??」


 エイミアが一人混乱している。座ったらエントリーって出たわよね……椅子の数は五つだから……つまり全員座りなさい(エントリーしろ)ってことか。


「みんな座りましょ」

「わかりました」


 ヴィーが率先して座る。すると。


『御一人様、エントリー。現在、二名』


 ……やっぱりそうなのね。なら……私も座ることにする。


『御一人様、エントリー。現在、三名』


 隣を見ると、ヴィーがニコニコしながら、私の腕に手を絡めてきた。


「………」


 そのさらに隣のエイミアが、なぜかブスッと剥れていた。


「次は私だな」


 そう言ってリルが座った。


 パンパカパンパンパーン♪


「「「「!?」」」」


 すると、突然ファンファーレが鳴り響く。当然、全員びっくりしてキョドってると……。


『ワーオ! イッツアビューティフルヒップ!!』


 ……という文字が画面に現れた。つまり……。


「な、何よこの椅子!? 単なるセクハラじゃないのよ!?」


『HAHAHA!』


 うるせえよ!


「げぇ〜〜……何か座りたくないな……」


「我慢しなさいよ。別に貶されてるわけじゃないんだし」


「……まあな。それよりもサーチ。お前に熱い視線が二人分突き刺さってるぜぽげぇ!」


 私をからかおうとしたリルの顔面に、エイミアの釘こん棒がめり込んだ。


「え、エイミア? あんた最近つっこみが激しくなってない?」


「自業自得です!」


 確かにそうだけど……おーい、リル。生きてますかーー?


「………」


「……へんじがない。ただのしかばねのようだ」


「しかばねじゃねえ!」


 あ、生きてた。

 血をダラダラと流しながらも、リルは着席した。


「……ねえ、ヴィー。リルを回復してあげたら?」


「全力でお断り致します」


「……だってさ。嫌われたわね〜リル」


「何でだよ!」


「「サーチを貶したからです」」


「貶してねえよ、からかっただけだよ!」


「「同じです」」


「ぐっ……! くそ、何だってんだよ……くぅ」


 リルは少し乱暴に椅子に座ると……そのまま夢の中へと旅立った。


「……サーチが?」


 ヴィーの問いに頷く。座る椅子に、即効性の眠り薬を塗った毒針を仕込んだのだ。


「何故?」


「結構ヒドい出血だったじゃない。だからおとなしくさせたほうがいいかな〜……と思って」


「……本音は?」


「リルって剥れるとブツブツうるさいから……って何を言わせるのよ!」


「……よくわかりました。やっぱり非情なサーチも素敵だと……ポッ」


 ……何でそうなるのかな……可愛いけど。


「あ、しまった」

 ごすっ!

「……っ!」


 いきなり釘こん棒が飛んできて、私の足元に刺さった!


「あ、危ないわよ、エイミア!」


「すいませ〜ん。何故か(・・・)手が滑りました〜……」


 ……エイミアが最近怖いんですけど……。



 ……ていうか話が逸れた。


「忘れてたわ、リジーも座って……って、うわ!?」


「……現在進行形であります」


「び、びっくりした……! ていうか、いつの間に座ったの!?」


「サーチ姉が『ルって剥』と言ってた辺り」


「わかりにくいわよ! もうちょっとわかりやすく答えてくれないかな!?」


「……世界標準時間の午後三時二十八分十八秒から二十九分二十二秒の辺り」


「……もういい」


 リジーにまともな答えを期待した私がバカだったわ……。


「でも画面には何も出てないけど……」


『ようこそ! 勇敢な五人の戦士達よ!』


 ……こいつもリジーのことを完全に忘れてたわね。


『私はこのダンジョンを守る守護神(ガーディアン)、知識の王なり!』


「え? ここの守護神(ガーディアン)って、もう倒されたって聞いたけど?」


『あれは前座の守護神(ガーディアン)に過ぎぬ。私こそが真の守護神(ガーディアン)なり!』


 守護神(ガーディアン)に前座なんてあるわけ!?


『ダンジョンコアにたどり着きたければ、私を倒す事だなり』


「はい」


 どがんっ!


 リジーが梯子で殴りつけた。


『ぐああ!? い、いきなり何をするなり!』


「何をするって、倒せと言ったから攻撃した」


『わ、私を倒すのに必要なのは力ではなく知識なり!』


 そう言う割には、リジーの攻撃はかなり効いてたみたいだけど……。


『私より知識が優れている事を示せ! それが私に勝つ条件なり!』


 なりなり、うるさいわねぇ……コロッケが好きなサムライロボットかっつーの。


「じゃあさ、どうやって知識を示せばいいのよ?」


『………HAHAHA!』


 ……考えてなかったのね。


「じゃあ、あなたが問題を出しなさい! それを私達が答える。これでどう?」


『何? 私に問題を出せと? ……フフフ……フハハハハハ! 笑止千万! 私が出す問題に答えられると!? 面白い。その提案、採用なり!』


「あの……答える時は、手を挙げればいいですか?」


 流石にこの世界にクイズの早押しスイッチはないだろうし……。


「それでいいんじゃない?」


『では間違えた時は?』


「ブッブーー! でいいんじゃないかな?」


『何なのだ、その間抜けな音は!』


「間抜けな音だからこそ、間違えたときの音に最適なんじゃない?」


『うぬ……確かに。ならば間違えた者には、この音を鳴らして辱しめるなり!』


 ……辱しめになるの? あの音。


「何て屈辱的な音なんでしょう……!」

「生理的に嫌悪感を感じる……」

「こんな醜い音が存在するなんて……!」


 めっちゃ辱しめられてるし!


「あ、あんな音を浴びせられるくらいなら……氷水かけられる方がマシです!」


 はっ!?


「「そうだそうだ!!」」


 はああああああっ!?


「ちょっと待ちなさいよ! 少し冷静に……」


『ならばそれを採用なり!』


 ウッソでしょおおおお!?



『問題! 世界で一番硬い金属は……』


「はい! オリハルタイト!」


『……ですが、一番重い金属は何? で、答えは……グラビティコアなり!』


 知るかあああああっ!


『はい、間違えたので……氷水なり!』


 ばっしゃああああん!


「ひえええええええええ………」



 結局、全員一回以上は氷水を被るハメになった。

 


 ばっしゃああああん!


「に゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!」


 ……寝てただけのリルも。

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