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第二話 ていうか、今回は仕返し回! エイミアを侮辱してきたクソ女には、徹底的に仕返ししてやる!

「お、おい! 呼び出しは前回のパーティ名変更の件じゃなかったのかよ!?」


「……それだけじゃなかったってことよ。しまった、私もパーティ名変更の件と混同してたわ……」


 ……とはいえ……エイミアが思い出したのもダンジョン内だったわけだから、どうしようもならなかったわけだし……正直に話した方がいいか。


「申し訳ありませんでした。こちらのミスですので、すぐにギルドマスターに取り次いでいただけますか?」


「……あー、それには及びません。もうギルドマスターからの裁定が出ています」


 はあっ!? ちょっと早すぎるんじゃないの!?


「では、読み上げます……『ギルドからの出頭命令を無視することは、如何なるパーティであっても許されるモノではない。よって……』」


 これは……どういうことなの?


「『パーティは解散、全員のギルドの資格を剥奪するモノとする』……以上です」


 ………………は?


「「「「はあああああああああああああっ!?」」」」


「………」


 そ、そんなバカな裁定、あり得ないわよ!


「ギ、ギルドマスターに直接話すわ! 呼んできて!」


「……ギルドの資格も持たない野良(・・)冒険者と、ギルドマスターを面会させるわけないでしょ。邪魔だからとっとと帰って」


 ギルド職員はニヤニヤしながら私達に手を振った。

 む、ムカつく……!


「あのなあ、たかが一都市のギルドを仕切ってるヤツが、勝手にギルド資格の剥奪なんてできるわけねえだろ? そこら辺を理解してねえギルドマスターの言うことが、まかり通るのか?」


 おお、リルいいぞー! やっちゃえー!!

 愛してるわよー!!


「!! ……な、何だ? 今の寒気……」


 ……どういう意味よ。


「? 何故でしょうか? リルを殴りたい衝動が……」


 ……ヴィー? テレパシーなの?


「……ギルドマスターの裁定は絶対です。こちらから本部に連絡をすれば、その時点で裁定は確定されます」


「じゃあ、本部で裁定が覆される事は……」


「しつこいわね、この野良ブタ(・・・・)!! もう決まった事だって言ってるでしょ!! いい加減にしないと警備隊呼ぶわよ!?」


 ……野良ブタ。

 私はヴィーに近寄り、耳打ちする。ヴィーはニッコリと笑って(・・・・・・・・)頷いた。

 よお〜し。やったるか。

 私の親友であるエイミアを侮辱した罪、償ってもらうわよ。地獄に行くよりもヒドい目を会わせてやる……!



「ちょっと失礼しますね、ヒラ職員(・・・・)さん」


「ヒラ!? な、何て失礼な野蛮人なの!?」


「野蛮人なら失礼なのは当たり前でしょ? そんなことも知らないのかしら〜……っていうか、ヒラ職員。私達全員の資格を剥奪(・・・・・・・・・・)ということでいいのね?」


「何度言わせるのよ! そうだって言ってるでしょ!!」


「みんなー、聞いたわねー? いい、もう一度聞くわよ? 全員で間違いないのね?」


「……本当にしつこい……! そうだって言ってるんだよ! さっさと消えろ野良ブタ!!」


 ……また言った。絶対に許さない。


「何を騒いでいるのかね?」


 ……私達とヒラ職員の言い争いを聞きつけたのか、奥からバーコード頭のデブが出てきた。


「あ、ギルドマスター……実は例のパーティがゴネてまして、業務に支障をきたしております」


「……業務に支障をきたしてるのは、あんたの能力の問題じゃないかしら〜」


「何ですって!?」


「まあまあ、落ち着きなさい……言い分は私が聞こうではないか」


 言い分を聞く!?

 あんな裁定をしておいて何を今さら……!


「でしたら私達への裁定を、もう一度考え直して頂けませんか?」


 ヴィーがハゲ頭……もといギルドマスターに嘆願(おねがい)した。たぶん効果はないだろうが……。


「……条件を呑んでいただければ構わないよ」


「「「「「……へ?」」」」」


 ……それはまた、あっさりとまあ……。


「な、何故ですか! このようなパーティは、存在するだけで害となります!」


 ずいぶんな言い様だこと。今度、闇討ちしちゃおうかしら。


「……ひっ!? な、何故寒気が……?」


 エスパーばっかかよ!


「ギルドマスターである私が決めた事だ。従いたまえ」


「……はい。わかりました」


 あ、ギルドマスターの手がヒラ職員の肩に置かれた瞬間、おもいっきりイヤな顔した。ギルドマスター嫌われてるみたいね。


「……条件とは?」


「いやいや、大した事ではない。何せ麗しい女性ばかりですから……」


 ……ああ、なるほど。何となくわかってきたわ。


「私と食事「「「「「無理です」」」」」……そうですか」


 ……瞬殺だったわね。


「そちらがそのような態度ですと……こちらも協力はしかねますねぇ……」


 ニタァ……とイヤらしい笑いかたをする。これが嫌われてる原因なんだろうな。


「……再考の余地は一切さりませんな。さっさと解散して、路頭に迷うとよろしい。それと装備品は全て没収しますから、そのつもりで」


「……なあ、サーチ。こいつらぶっ殺してもいいか?」


 許可しようかしら。


「……サーチ。ここに売るつもりだったダンジョンコアは、別の町で売りましょうか」


「当たり前よ。こんなギルドに売ってやるモノは、石ころ一つもないわ」


 ギルドマスターは「ダンジョンコア」という単語を聞いたとたんに、顔色を変えた。


「ダンジョンコアだと!? も、もちろんそれも没収だ! 出したまえ!」


「まだ本部が承認したわけじゃないんでしょ? ならあんたの命令に従ういわれはないわよね?」


「屁理屈を言うな! 出せ! 出すんだ!」


 そう言って私に詰め寄るギルドマスター。


「あ〜れ〜」


 私はバランスを崩して、背後に倒れる。


「うおっ!?」


 その拍子で私に引っ張られた(・・・・・・・・)ギルドマスターは、私の上に覆い被さった。


「きゃあああ〜!! チカンヘンタイゴーカンマ!!」

 ぼかっ!!

「ぎゃぶっ!!」


 ぶっ飛ばされたギルドマスターは、地面に転がって気絶した。あーー、スッキリした!


「なっ!? あなた、何て事を……警備隊を呼びます!」


『その必要はないのう』


 警備隊を呼ぶためにヒラ職員が取り出した念話水晶。そこには、緑色の髪をした女性の姿があった。


「……!? だ、誰よあなたは! 何故このギルドの念話水晶に……!」


『無論、そなたに用があったからじゃよ』


「私に用って……」


『先ずは名乗るとしよう。妾はサーシャ・マーシャという只のA級冒険者じゃ』


「A級冒険者? サーシャ・マーシャって……まさかハイエルフの女王の!? し、失礼致しました!」


『いやいや、どうやら妾もギルドから追放される事になりそうでの。詳しい事を聞きたかったのじゃ』


「へ、陛下が追放!? 滅相もない! そのような事はあり得ません!」


『そうかえ? 妾が所属しておるパーティが解散、更に全員の資格を剥奪すると聞いたのじゃが……妾だけ例外という事は無かろうて』


「え? ど、どういう事でしょうか?」


 そろそろ追い込み開始しますか。


「あらあ? ギルド職員なのに知らなかったのお? サーシャ・マーシャは私達のパーティに所属してるんですけどお?」


「え!?」


『ふむ……ギルドマスターの決定ならば致し方無いかの……』


 ヒラ職員の顔色が真っ青になる。


「ちょっとお待ち下さい! まだ本部には……」


「あれれ〜? さっき『ギルドマスターが裁定した事は絶対』だって言ってたの、あなたじゃなかったっけ〜?」


「ああ、そうだったな」

「そうでしたそうでした」

「間違いないですね」

「確定」


「う、うぐ……!」


『……どうなのじゃ? はっきりとさせよ』


「……そ、そうです。その通りです……」


『ならば良い。認めたのじゃから問題無かろう? ニーナよ』


『はい。話は全て聞かせて頂きました。ギルドの権限の悪用に他なりませんね』


「こ、今度は誰よ!?」


「んん? あ、この人はね、偶然(・・)リジーと会話していて、今回の事の次第を全て聞いてくれてた証人、アタシーのギルドマスターのニーナさんで〜す」


「アタシーの……ギルドマスター!?」


『あなた達が提出した船の底抜きボトム・フォールアウトの解散届は、私の権限によって無効としました。ですのであなた達の主張は全て法的根拠はありません』


「……っ!」


『ああ、それからじゃが……我が友人たるエイミアを、ブタ呼ばわりしてくれたそうじゃな』


 ヒラ職員はさらに顔色が悪くなった。


『ニーナ殿。妾はハイエルフの女王としてギルドに要請する。我が同胞たるエイミアを侮辱し、我が心の拠り所を潰そうとしたこの女、真に許し難し。見せしめとして打ち首の後に我が森に晒す故、引き渡してもらいたい』

『どうぞどうぞ』


「そ、そんな! 打ち首なん」


 何か喚いてたヒラ職員は、突然姿を消した。


『……身柄は預かった。ご協力感謝する、ニーナ殿』

『いえいえ……陛下にはお手数をお掛けしました』

『全くじゃ……この件は借りにしておくぞ。ではな』

『……では私も失礼しますね』


 マーシャンとニーナさんの念話が切れた。


「……いつの間にこれだけの罠を……?」


「ん? 私が仕組んだの。ヴィーが実行犯よ」


「「「サーチとヴィーが!?」」」


「……それでヴィー姉の姿が無かったの」


「ごめんねリジー。急にニーナさんと通信するよう言われて、びっくりしたでしょ?」


 ヴィーがヒラ職員と話してる間に、私がリジーに頼んだのだ。


「全く無問題」


 あとはこのハゲだけど……これもニーナさんにお願いするか。

 これにて、一件落着ってね。


『あ、すいません。忘れてました。一応ギルドの出頭命令の無視は事実ですので……罰金刑です。では、繊細は後程』


 ……一件……落着……ですよね……。

ちなみに、ヒラ職員は打ち首になりません。しばらーくマーシャンのおもちゃです。

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